第19話 副業×廃旅館(6)
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前回の続きです。
和馬と係長、林巡査部長、薮下巡査は、朝露支所の小さな打ち合わせ室で小さな机を囲んで座っていた。
「それで、何か分かったことは?」
林巡査部長は和馬と係長に向かって尋ねた。
2人は戸田裕也が行方不明になった日の目撃情報はなかったこと、天野隼人から朝露旅館が禁足地になっていること、高校の友人の話を報告した。
「その失踪事件、記録が残っていました。男子高校生が行方不明になって1週間後に旅館近くの森で意識不明の状態で発見されたようです。発見された当初は低体温症でかなり危ない状態でしたが、一命を取り留めたと。」
林巡査部長は床に置いてあった段ボール箱から茶色いファイルを取り出す。
中には事件の記録や写真が入っていた。
「その子から何か聞けたのか?」
係長はファイルを見ながら尋ねた。
「何も。事件についての記憶はすっかりなくなっていました。得られる情報もなく、結局、酒を飲み過ぎたことにより錯乱した上、自ら失踪したという結論になりました。」
「分からず仕舞いか。」
係長は渋い顔をしながら呟く。
「そっちは何か分かったか?」
和馬は林巡査部長と薮下巡査に尋ねた。
「こっちは大いにあった!村中が朝露旅館の噂だらけですよ!!」
「いや、肝心な情報はなかっただろ。あの写真に写っている人数が本当にいたのであれば、何かしら目撃されていると思いましたが。」
林巡査部長は薮下巡査を制し、ため息交じりに話した。
「呪いのことについて話してくれた人はいたか?」
「村の人間によって、内容は違っていました。行ったら行方不明になるとか、死ぬとか、実際に死体が見つかっただとか。」
「こうなったら、張り込みするっきゃないですよ!!刑事は張り込んでなんぼでしょ!!」
薮下巡査は身を乗り出し、目を輝かせながら話す。
「薮下、落ち着け…。」
「林さん!目撃情報もないのであれば、現場で探すしかないでしょ!!」
「薮下巡査の言うことも一理あるな。俺も現場に行ってみるべきだと思うぜ。」
「じゃあ、これから早速!!!」
「いや、行くのは、夜だ。」
和馬は勢いよく飛び出していきそうな薮下巡査を止める。
「よ…夜かぁ…。」
係長は絶望した。
「戸田裕也は夕方に、天野隼人の友人は夜中に行方不明になっている。恐らく、その時間帯に行くことで何か手がかりが見つかるかもしれない。」
和馬は日中に訪れた朝露旅館が不気味なほど、静まり返っていたことが気になっていた。
人が近づけない理由があるなら、それは夜に現れるのかもしれない。
朝露村は温泉街ではあるものの独特の雰囲気があり、よそ者を嫌うような、排除するような風潮もある。
そしてこの土地に残る禁足地と呪いの噂は今回の失踪事件に関連しているのか。
「早速、今夜から始めよう。」
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回、朝露旅館の夜の調査が開始します。
引き続き、よろしくお願いいたします。




