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第10話 副業×呪いの人形(8)

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

年度初めのバタバタで短めの更新です。

―――楠家―――



暗闇の中、係長はリビングのソファに一人、座っている。

時刻は午前2時を過ぎた頃。


窓を全開に開けているため、外からのひやっとした空気と静寂が辺りを包み込んでいる。

無表情に窓の外を眺める係長の目から一筋の涙が流れ落ちた。



―――数時間前 桃山寺―――



「おとり作戦は断固反対する!」

係長は涙目になりながら訴えた。


「あの人形をおびき寄せるにはそれしかない。」

雛子は冷静に話す。

「じゃ…じゃぁ、雛子ちゃんと和馬で俺を両方から挟むポジションを取りたい!」

「俺らが横にいたら、警戒して出てこないだろ。」

「安心しろ。私と板橋は近くに潜んでいる。」

雛子は半紙に筆で何かを描きながら話す。


「俺が一瞬で殺されたらどうするんだよ!?」

「あの人形の性質上、それはない。人が苦しんでいるのを楽しむやつだから時間をかけて殺すはずだ。」

和馬は真顔で説明した。


「解説ありがとよ!!余計に怖くなったよ!!」

「パパ、落ち着いて。パパは頑丈だから大丈夫よ。」

春子は係長の背中をさすりながら励ました。


「呪いを解くってどうやったらできるの?」

怯える父の横であかねは雛子に質問した。

「呪いをかけている奴と呪いを受けているパパさんの間には強力な縁が結ばれている。その縁を断ち切るしかない。」

「断ち切るってどうやって?」

「人形の中にパパさんを呪うための物が入っているはずだ。例えば、パパさんの髪や爪とか。だから、まずは人形の動きを封じて、捕まえる。そして、お焚き上げで呪いの解除が完了する。」

「なぁんだ、簡単じゃん!」

「説明は簡単だが、実際やるのは別問題だ。」

雛子はそう話すと、書き上げた半紙を楠家と和馬に見せながら、“パパさんの呪いを解こう作戦”の全容を説明した。


―――月の草 2F―――


「パパ泣いてる。」

涙を流す係長が映ったモニターを見ながら、あかねはつぶやいた。


雛子の私物である暗視カメラを家の周り、リビング、2F廊下、主寝室に設置し、遠隔で春子とあかねが監視している。


「ピッ…こちら楠家の雛子、家の周りで異常はないか?」

トランシーバから雛子の声が聞こえた。


「こちら、あかね!異常はありません!」

あかねは張り切って報告した。

「なんか、警察の張り込みみたいでわくわくするわね!」

春子は楽しそうに話した。

「わかるわかる!ママ、張り込み用のあんぱん食べよ!」

絶望に打ちひしがれる父とは対照的に母と娘はきゃっきゃっとはしゃぎながら、あんぱんを頬張った。


2人があんぱんに夢中になっている間、家の周りを移す暗視カメラにノイズが入り、黒い影が横切った。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

無理のないペースで投稿は続けていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします!

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