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先祖代々勇者です。  作者: ばなな
7/8

6 私VS天然王子

少し遅くなりました。楽しんでください。

目を開けると、豪華な装飾の施された天井、視界の端には、シャンデリアが見える。

起き上がってみると、そこには、いかにも王家の貴族が愛用していそうな、テーブルや花瓶、ランプなどの、様々な小物があった。


これだけを見て、やっと今の状況を理解した。

ここは、王宮の一室。

私がダンジョンから出て、かなりでかいドラゴンに遭遇し、助けた王子的な奴に深刻な質問をされ、パニクって、気絶した・・・ ー のだと思う。


記憶は確実では無く、曖昧だった。

もしかしたら、嘘の記憶を作り出しているのかも。

自分の体を見ると、装備が外されていた。

くっそ。蔵でやった時、外れなかったのに・・・


ガチャリ。


ドアの開く音がした。


第二の魔物のお出ましだ。


「大丈夫でしたか。」


優しく話しかけてくる。

完全私得の魔物に、こみ上げてくるにやけと鼻血を抑えながら、曖昧な返事を返した。


魔物はベッドの横に座った。

また、深刻な例のアレを質問される・・・

よし。言い訳を考えよう。


私が勇者であることは確かだ。

だが、もとはといえば、女子高生。

まあ、異次元で女子高生なんて通じないけどなー。

ここは、私の先祖がこの地へ来ていたのかを質問するのが、一番の適切な対応だと思う。


だけど、こいつ何言ってんの 的な感じになって、もっとややこしくなる可能性は高い。


うーん。


ストレートに分かりませんと言うのか・・・


魔物は口を開いた。


「何処から来たのですか?」


はっ??


予想はまたもや大外れ。

そうか。

若年性アルツハイマー病かと思ったら、質問に答えてなかったな・・・

で、なんて答えればいいの。

現実世界から来ました~ってのが事実だけど、向こうからすれば、異世界だし。


「異世界から来たんです。」


私は、適当に返事したつもりだった。

それが、事をややこしくする原因とも言えるだろう。




「本当ですか!!?」


魔物は、私の手を掴み、ぶんぶん振る。


「分かりませんっ 分かりませんって・・・」


魔物の脳内がどうなっているのか、今の私には分からない。

とにかく、状況を整理しよう。


異世界から来たなどと適当な事を言った事が始まり。

まあ、事実といえば事実なのだが。


この国は、10年ほど前までは、かなり栄えていたらしい。

ところが、何者かによって、平和だった国の大半を、魔物の住処にされたらしい。


これに似た出来事が何十年前かにあったらしく、その時に、異世界から来た勇者が救ったという。

それが私だという解釈をしているのだ。こいつは。


「この国も遂に救われる・・・!」


何か希望に満ち溢れている時に申し訳ないが、正直言って、ウザイ。

私も好きでこの世界に来たわけじゃないんだけど。

最初は完全私得と思っていた魔物は、今はもはや魔物を通り越して、私の強敵である。

やばい。こいつに勝たないと現実に帰れない。

くっ。

物理攻撃+精神攻撃とは・・・


「さあ、今すぐ我々の国を救って下さい!!」


そう言って連れてこられたのは、王宮の地下にある武器庫。

剣やら銃やら、所狭しと並べられている。

私が蔵から持ってきたクソダサい剣とは月と鼈ほどの差がある。


「さあ、好きな物を選んで下さい!」


え、どうしよう。

使い方分かんないし。

だいたい、こーゆー奴を見る目がありませぬ。

そこで私は、一番近くにあった銃を手に取った。


なにこれ・・・ 重っ!!


銃ってこんなもんなのかな・・・

現役女子高生にこんなもん持たせて戦わせるとか、ただの虐待だろっ!

あ・・・私、勇者でしたー。(一応)


「武器、選んでくれませんか。」


魔物にそう話しかけると、快く引き受けてくれた。

魔物が差し出してきたのは、一本の剣だった。

光沢のある刃。柄には龍の彫刻が施されている。


「この剣は、我が先祖から代々受け継がれているのです。この龍は、この王宮で飼っている、一番大きな

龍の親がモデルになったと言われています。」


ふーん・・・

ん!?

何かサラーっと言ったけど、何かとてつもない事言ったよ!?

王宮でドラゴン飼ってるって言ったよね!?


ガオオオオォォォ-


あっ(察し)


何かごっつい鳴き声がしたかと思えば、私の背丈くらいあるドラゴンが、武器庫を荒らしていた。

魔物は、何食わぬ顔で、ドラゴンを撫でている。

じゃれているのか・・・?

どう見ても魔物に噛み付いているようにしか見えない。


ガシャガシャ・・・


武器が音を立てて壊れていく。


あーあ。もういいや。なんでも。

私は勧められた剣を手に取ると、こっそりと部屋へ戻った。




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