6 私VS天然王子
少し遅くなりました。楽しんでください。
目を開けると、豪華な装飾の施された天井、視界の端には、シャンデリアが見える。
起き上がってみると、そこには、いかにも王家の貴族が愛用していそうな、テーブルや花瓶、ランプなどの、様々な小物があった。
これだけを見て、やっと今の状況を理解した。
ここは、王宮の一室。
私がダンジョンから出て、かなりでかいドラゴンに遭遇し、助けた王子的な奴に深刻な質問をされ、パニクって、気絶した・・・ ー のだと思う。
記憶は確実では無く、曖昧だった。
もしかしたら、嘘の記憶を作り出しているのかも。
自分の体を見ると、装備が外されていた。
くっそ。蔵でやった時、外れなかったのに・・・
ガチャリ。
ドアの開く音がした。
第二の魔物のお出ましだ。
「大丈夫でしたか。」
優しく話しかけてくる。
完全私得の魔物に、こみ上げてくるにやけと鼻血を抑えながら、曖昧な返事を返した。
魔物はベッドの横に座った。
また、深刻な例のアレを質問される・・・
よし。言い訳を考えよう。
私が勇者であることは確かだ。
だが、もとはといえば、女子高生。
まあ、異次元で女子高生なんて通じないけどなー。
ここは、私の先祖がこの地へ来ていたのかを質問するのが、一番の適切な対応だと思う。
だけど、こいつ何言ってんの 的な感じになって、もっとややこしくなる可能性は高い。
うーん。
ストレートに分かりませんと言うのか・・・
魔物は口を開いた。
「何処から来たのですか?」
はっ??
予想はまたもや大外れ。
そうか。
若年性アルツハイマー病かと思ったら、質問に答えてなかったな・・・
で、なんて答えればいいの。
現実世界から来ました~ってのが事実だけど、向こうからすれば、異世界だし。
「異世界から来たんです。」
私は、適当に返事したつもりだった。
それが、事をややこしくする原因とも言えるだろう。
「本当ですか!!?」
魔物は、私の手を掴み、ぶんぶん振る。
「分かりませんっ 分かりませんって・・・」
魔物の脳内がどうなっているのか、今の私には分からない。
とにかく、状況を整理しよう。
異世界から来たなどと適当な事を言った事が始まり。
まあ、事実といえば事実なのだが。
この国は、10年ほど前までは、かなり栄えていたらしい。
ところが、何者かによって、平和だった国の大半を、魔物の住処にされたらしい。
これに似た出来事が何十年前かにあったらしく、その時に、異世界から来た勇者が救ったという。
それが私だという解釈をしているのだ。こいつは。
「この国も遂に救われる・・・!」
何か希望に満ち溢れている時に申し訳ないが、正直言って、ウザイ。
私も好きでこの世界に来たわけじゃないんだけど。
最初は完全私得と思っていた魔物は、今はもはや魔物を通り越して、私の強敵である。
やばい。こいつに勝たないと現実に帰れない。
くっ。
物理攻撃+精神攻撃とは・・・
「さあ、今すぐ我々の国を救って下さい!!」
そう言って連れてこられたのは、王宮の地下にある武器庫。
剣やら銃やら、所狭しと並べられている。
私が蔵から持ってきたクソダサい剣とは月と鼈ほどの差がある。
「さあ、好きな物を選んで下さい!」
え、どうしよう。
使い方分かんないし。
だいたい、こーゆー奴を見る目がありませぬ。
そこで私は、一番近くにあった銃を手に取った。
なにこれ・・・ 重っ!!
銃ってこんなもんなのかな・・・
現役女子高生にこんなもん持たせて戦わせるとか、ただの虐待だろっ!
あ・・・私、勇者でしたー。(一応)
「武器、選んでくれませんか。」
魔物にそう話しかけると、快く引き受けてくれた。
魔物が差し出してきたのは、一本の剣だった。
光沢のある刃。柄には龍の彫刻が施されている。
「この剣は、我が先祖から代々受け継がれているのです。この龍は、この王宮で飼っている、一番大きな
龍の親がモデルになったと言われています。」
ふーん・・・
ん!?
何かサラーっと言ったけど、何かとてつもない事言ったよ!?
王宮でドラゴン飼ってるって言ったよね!?
ガオオオオォォォ-
あっ(察し)
何かごっつい鳴き声がしたかと思えば、私の背丈くらいあるドラゴンが、武器庫を荒らしていた。
魔物は、何食わぬ顔で、ドラゴンを撫でている。
じゃれているのか・・・?
どう見ても魔物に噛み付いているようにしか見えない。
ガシャガシャ・・・
武器が音を立てて壊れていく。
あーあ。もういいや。なんでも。
私は勧められた剣を手に取ると、こっそりと部屋へ戻った。




