聞いてない【5話】
若干のホラー展開注意
これは夢だろう。そう確信したのは、森で寝たはずなのに真っ暗な空間が広がっていたからだ。
どこまでも暗い場所で、ひとり立っている。
「……ものとこ、集合〜………」
突然、背後から声がした。振り返る。誰もいない。
「いつものとこ……集合〜」
今度はすぐ耳元で聞こえた。ぞくりと背筋が冷える。そういえば野外で寝たから風邪でも引いたかな。
足元を見ると、暗闇の中から何かが這ってくる。
ずる……ずる……。
血に濡れた手が足を掴んだ。垂れ下がった白髪で顔は見えない。
顔がゆっくりと持ち上がり、真っ赤に染まった口は不気味に笑った。
「しゅ〜う〜ご〜お〜……」
「っ!」
謎の少女は、ハッと目を覚ました。しばらく黙って空を見つめる。
そして、ぽつりと呟いた。
「……ったくあの女神め……」
────────────────
がろは困っていた。
冒険者パーティーの仲間たちと魔物狩りをしていたはずなのに、気付けば森の中でひとりだった。
がろ以外は全員初心者だったため、前衛のがろが大剣を振り回して魔物へ突っ込めば、当然ついてこられるはずもない。
そのうち一匹の魔物が逃げ出した。
「待てー!」
追いかけた結果、仲間とはぐれたらしい。
「……ここ、どこだ?」
その時、森の奥から巨大な狼のような魔物が現れた。
「……でっっか」
さすがのがろも、この大きさの魔物と戦うのは初めてだった。
苦戦するがろのもとへ、森を歩いていたガッデムと謎の少女は偶然通りかかった。
「誰かが戦ってるようだ」
「行ってみる?」
「……わざわざ行くのか」
「だって面白そうだし」
「はあ……」
二人は木陰から戦いを眺めていた。
「……あれじゃ隙が多すぎる」
ガッデムが小さく呟く。
(いやいやあの戦い方は危なすぎるだろ……)
「……大物を相手にするなら、もう少しこう……」
(というか、あの魔物でかすぎないか?俺でもあんなの相手にしたことない)
その時魔物の爪が迫りがろは慌ててガードをしたが間に合わなかった。
「おい!受け身をとれ!」
ガッデムは思わず声に出して叫んでいた。
吹き飛ばされたがろに謎の少女が声をかける。
「痛そー、大丈夫?」
「あ、はい!自分丈夫なんで!ありがとうございます!」
「タフだね〜」
「それが自分のうりなんで!それよりあなたたちは……」
「んー、魔王とその相棒?的な?」
「ま、魔王?!」
「そ。まー見ててよ」
ガッデムは魔物と対峙した。
(いやいつ相棒になったんだよ?!)
「ふっ……我輩に任せておけ」
(……やるしかない。やらないと威厳が死ぬ…!)
ガッデムは杖を構え、飛び上がる。
「そこだ!」
ドゴンッ!
魔物の頭へ杖を叩き込む。
(よし、効いた!)
魔物はよろめきながらも爪を振るった。
「こっちだ!」
(危なっ!なんだ今の!こわ!)
その間、謎の少女は木陰で膝を抱えていた。
「頑張れ〜」
「あなたは参加しないんですか?相棒?なのに」
「あーそれはほら、また別の問題なんだよね。まあ何もしないのはあれだから、ちょっとだけ手助けはするけど」
謎の少女がおもむろに魔物へ手を振り上げ、下ろした。
「伏せ」
ドォンッ!
魔物が地面にめり込んだ。がろは目を見開いた。
しかしガッデムはそれに気付かなかった。
(よし、隙ができた!やられる前にやる!)
「とどめだ!」
もがきながら起き上がろうとする魔物に杖を振り下ろした。
ドゴンッ!
魔物はついに動かなくなった。
「ふっ……我輩の一撃が効いたようだな」
(……勝った。俺、勝ったぞ!)
がろはガッデムに駆け寄り尊敬の眼差しで見つめた。
「すげえ……こんなでかい魔物をあっさり倒すなんて。さすが魔王様!弟子にしてください!」
「弟子など取らん!」
「そこをなんとか!」
「いらん!」
「じゃあ勝手について行きます!」
「勝手にしろ!」
「ありがとうございます!」
「話聞いてる!?」
(弟子とか絶対めんどくさい!!)
謎の少女が笑う。
「なんか増えたね」
「我輩は認めてないぞ!」
「でもついてくるみたいだよ」
「勝手にしろと言ったのだ!」
「じゃあ決まりだね」
(全然聞いてない…)
誤字脱字等ありましたら教えてくださいませm(_ _)m




