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21話 研修旅行

 「…あぁねみい…。」

いくら四月とは言え、まだ日が昇る前の北海道は寒い。

なんでこんな時間に集合なんだ…。帯広なんて家からそこそこあるのに…。

「おはよーございまーす。」

「はいざいまーす。」

あくびをしながら先生に挨拶をする。

名簿に記入されたのを確認して、駅構内へと進む。

非常に眠い。今日三時半起きだ。

昨日だって結構早く寝たのに。

眠い目をこすりながらベンチをめがけて歩く…。

「きゃ!」

「わ!」

前を横切った誰かにぶつかったらしい。

力を抜いて歩いていたのが災いして後ろに跳ね飛ばされてしまった。

ただ眠いせいでろくに痛みも感じない。

「ごめん…。大丈夫?」

目を開ける。

…うん知ってた。

これ去年もあった。

だろうな。

案の定月川だった。

「全然大丈夫。朝が早すぎて目開いてなかっただけ。」

「早すぎるよね。まあ怪我がなさそうでよかった。」

「ま気にしないで。」

外はまだ真っ暗だ。

何が悲しくて始発一時間半前に集合をかけてるんだよ。

おかげで日の出五時なのにまだ暗いじゃないか。

それに特急は九時半に出るんだ。

なんで池田散策があるんだよ…。おかげでとんでもない時間に集合になってるじゃないか…。

「東雲おはよう。相変わらず眠そうだね。いつも通りか。」

そうこうするうちに徒歩勢が次々と集まってきた。

その中の一人、望月は朝から絶口調のようだ。

好調ではない。

口がキレッキレなのだ。

普段からそんな眠そうに見える、俺…。

「…ああおはよう。」

ああ悔しい。

こいつに何としてでもカウンターを浴びせたかったのに…。

そうだ、こいつとは宿泊班が同じではないか。

よし、ここで技を盗む以外の選択肢はない。

なにがなんでも煽り返せるようにしてやる。

「はーい全員集まりましたかー。」

颯太が背伸びして呼びかける。

が別に背が高くないので埋もれている。

少し面白い。

「じゃあクラスごとに四列に並んでくださーい。」

指示に従って一斉に移動が始まった。

俺らもそれに合わせ、並ぶ位置を移動し始めた。

ふと外を眺めた。東の空がほのかに明るくなっている。

「ようやく、日の出か…。」

徐々に差し込まれる光に照らされ、帯広の街並みが美しく輝いていた。


 「…ようやくついた…。」

日はすでに沈みかけだ。

やっと網走についた。

午前中は池田で散策して、そのあと特急で釧路に移動してそこで昼食を食べた。

しばらくゆっくりした後、ようやく鈍行に乗って網走についたところだ。

ああ眠い。さっさと民泊先に移動して寝たい…。

「はーい高校の皆さんはこちらに移動してくださーい。」

先生の声で隊列が進み始めた。

いくら四月とは言え、いまだに雪は残っている。

ああ寒い。

そうこうするうちに隊列は止まり、全員に座るように合図が出た。

「帯広の皆さん。ようこそ遠い中お越しくださいました。観光協会の佐呂間です。」

六〇歳ぐらいのおじさんが前に出てきた。

佐呂間さんってたしか、うちの民泊の人だった気が…。

「まあ今日は遅いので、皆さん早速民泊先へと移動しましょうか。」

各自立ち上がって班でまとまる。

俺は颯太を探した、が、なかなか見つけられない。

おかしいな。すぐそこにいるはずなのに。

「わ!」

背後から急に声が聞こえて思わず飛び上がってしまった。

声の主は、もちろん颯太だ。

「ちょ、おま…。何を四天王?」

「ちょっと驚かしてみただけ。さ行こうぜ。」

何はともあれ合流できたようだ。

俺らはほかのメンバーも集めると、駆け足で佐呂間さんの元に向かった。

「うちの民泊に来るのは君たちか。私は佐呂間源一だ。よろしくな。」

「よろしくお願いしまーす!」

ここは野球部としての見せ場だ。

向こうの山にこだまするほどの大きな声で挨拶を返した。

「おお元気いっぱいだな。そしたら車で民泊向かうか。」

佐呂間さんは軽く微笑むと、全員を車の方へ案内してくれた。駐車場には大型のワゴン車が止まっていた。

「さあ乗って。」

次々に乗り込む。中はゆったりしていて圧迫感がない。車酔いがある俺からしたら大助かりだ。

「出発するぞ。」

安全を確認して佐呂間さんが乗り込み、アクセルを踏む。

駅前の駐車場を出発し、車は山の方へと走り始めた。

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