称号………異能者?
あ、そう言えば、称号が追加されていたんだっけ?
メニューを操作し、称号を見た。
「えと?対人キラー…魔物キラー……シリアスキラー………異能者………異能者!?」
同時刻、
「お?」
さらに、
「あれ」
「なんだ?」
……、さらに複数のプレイヤーが、称号を見て、疑問の声を上げた。
「異能者…?ですか、それは、もしかして、MP回復高速化と関係があるんじゃないでしょうか?」
「まぁ、ソウデスネ。じゃ、シャド達と合流しようか」
◇ ◇ ◇
「何か大変だね。レベル上げって」
「私も手伝うから、早く塔登ろうね。それより、私に異能者っていう称号出たよ!」
「うん知ってるー。ご主人さまはチート使いだもん」
「違うよ?え、え、違うよ?」
シャドにまで、チーター扱いされるとは、堕ちたものだな。
「がう!」
「え、なに?あ、スキンシップか、そういえば最近していなかったな」
よし、今日帰ったら、小一時間程で良いから、スキンシップしてあげよう。
これで、また私への忠誠心が生まれる。
「ようし!今から、私がモンスターを宙に上げていくから、みんな倒していってね」
クロヒメは浅海とはいえ、モンスターが泳いでいる場所へ向け、手を伸ばし、
「風よ舞え、全てを舞い上がらせよ、暴風」
「ぐがァ!?」
「グぇ!」
2体の水棲モンスターがクロヒメの目の前を舞う。さらに風の威力を強くして、さらに上空へ、
そこに、クーは風魔法で、シャドは闇魔法で、くろりんは唯一使える攻撃魔法のライトブレスで攻撃をした。
さらに、全員がパーティーを組んでいるため、味方が倒したモンスターから、得た経験値は全員が同じ量を貰っている。
うんうん、確実に経験値が入ってきてる。
え?私が攻撃しない理由はなんだだって?それは、みんなのスキルのレベルを上げていくためだよ。私が攻撃したら、ここら辺のモンスターは10秒も経たないうちに、消滅するらしいよ。
「グオォォォォォォ!!」
とそこに、さっき倒した、水棲モンスターの上位種らしきモンスターが姿を現した。
「暴風!!」
くっ、流石に上位種相手に、こんな魔法じゃ…吹き飛ばせない。
どうすれば、どうすればいい。
「クロヒメ様、私も風の使い手です。一緒にやりましょう」
「え、あ、クーか。……よし、やるか。と、その前に避けろ!」
「飛翔!」
「わわ!?」
やはり、一筋縄ではやらせてくれないよな。
それに、あの上位種、また魔力を溜めている…、さっきより、強いし、禍々しい…、禍々しい?
クロヒメは、自分の思考に自分で驚いていた。
確か、禍々しいと、まさか、あれは!
「やっぱり……、」
クロヒメは上位種の眼を見て呟いた。
「どうしたんですか?」
「今、教えるから、とにかく走って避けて。っ、あいつは、魔物になりかけている。紅い眼が、その証拠だ!」
「では、そのまま置いておけば?」
「うん、前のガウ…、いや、ライオンの魔物と同じ位か、それ以上の戦闘力になるはずだよ」
クロヒメはそう自分で言ったが、正直何もわからない。上位種の魔物と戦うのは今回が初めてだからだ。
ライオンの魔物と同じ位の戦闘力であれば、すぐに倒せるはずだ。
しかし、上位種の魔物となると、どうだか…。
「あ〜、これは骨が折れますな。なんで、私が行く先々で面倒なことが起きるんだ。…展開、シンプルカノン」
「それは、運が悪いんですよ。っ、風壁展開!私は魔法を少し弱めます」
「そーだね、ご主人さまは強敵と戦うことが出来る運を持っているからね。影よ絡め、影鎖」
皆、口々に愚痴を言いながらも、それぞれが魔法を展開する。
クロヒメは上位種に攻撃を当てながら、雑魚処理も出来るシンプルカノン、クーは風の壁を前線に展開し、相手の魔法を弱めるもの、シャドは影を自由自在に操り、上位種の動きを止める。
それぞれが攻撃、防御、支援と、役割を果たしているため、チームワークが完璧とも言われるだろう。
しかし、問題なのは、
「問題なのは、この攻撃があれに届いているか、どうかですね」
そう、今、クーが指摘したことこそが問題だ。今は使用不可能のトライデント無しであれを倒せるか、どうかだ。
…、少し早いけど、一部魔法の封印解除をした方がいいのかもしれない。
「それに、今は早まるな、って言う仲間がいないしね」
本当に、あの時のクロノ君は面倒だった。
「確かに早まっているかもしれない。封印を解いたところであれを倒せるかは分からないから」
「あの、クロヒメ様?さっきから、何を、ブツブツと言っているのですか?」
「いや、ごめん。だけど、今から私がすることを、疑問にもたないで……静かに受け流して欲しい」
「えっと……」
「お願い」
クーは動揺した。いつもはこんな時でもふざけている主なのに、今回は少し冷静だからだ。
しかし、冷静だからと言って、動揺はしない。本当の理由は、いつもより目付きが鋭く、目を離したら別人になりそうなほど、主の面影が失せようとしているからだ。
「ここからは危険な賭けだ。もしも、失敗したら、君達を殺して、私は変わるだろう」
「私の魂に封印されし者、私の呼び声に応じよ。」
クロヒメは、魔力を解放しながら、自分がかつて、封印した精霊を呼び出す。
「ここで私情を交じえるのは、危険だが聞いて欲しい。……、今、私では倒せない魔物が現れた。かつて、汝が憎んだ魔物だ」
どくんっ、と魔物というキーワードに反応するように、クロヒメの魔力は震えた。
「いるの?」
「あぁ、久しぶりだな。主」
クロヒメの中でそれは応えた。
◇ ◇ ◇
その頃、称号に異能者と書かれていた青年が浅海エリアを探索していた。
やはり、彼もレベル上げでもしようとしているのか。
「お、早速あった」
そう言って、彼が拾ったものは、貝だった。
彼は、今夜の夕食のための食材を集めていた。
「あいつらも、結構食うだろうし。たくさん集めないとな」
この青年はクロノ。クロノはあるギルドに所属していた。
ギルド名は、『解放の騎士団』
そこは、ほとんど (ソロ以外)の攻略組が所属しているトップギルドだった。
そんな彼は、ギルドでは実力を隠し、この世界で、平凡に生きていた。
基本、優しく頼りになるが、眼はやる気が無さそうに開いている。
しかし、そんな彼はある一つの出来事で変わった。
頭の中のネジにオイルが流し込まれたというべきだろうか。
とにかく、眼が変わった。
それは、称号にある異能者という三文字だ。
確かに彼には剣聖という、スキルがあり、剣を扱う実力は誰も追いつけなかったほどだ。
その時、彼は思った。遂に、システムに選ばれた、と。
「お、また、貝だ。ん?カニもいるな、」
そんなことを思いながら、彼は食材を拾っていた。
……………………………………………、
一時間後、
「たくさん取れたな。早く帰ろう……ッッ!?」
なんだこの魔力は…誰だよ!こんな弱い奴しかいないエリアでこんなに強い、魔力を出しているのは!
そう思いながらも、クロノは、好奇心を抑えられずに、魔力の方向を読み、草むらから、観察をした。
クロノが見ている先で、少女が魔力を解放していた。
…馬鹿ッ、そんな使い方をしていたら、そのうち魔力も………、ほら、無くなった。
しかし、クロノがそこから飛び出して行くことは無かった。他人の戦闘に介入して文句を言われることが多々あったからだ。
しかし、何かがおかしいな。魔力が無くなっているはずなのに、あの人は何を言っているんだ?しかも、かなり余裕そうだ。
そして、クロノが見た物は驚愕していた。
少女の背後に展開された、砲の数に驚いた。
「おいおい、俺はもしかしてとんでもないものに遭遇したんじゃ?」
「それに、あの人のパーティーの人達も強い。魔法の使い方もなかなかだ」
「あの人は、雑魚処理にも気を使っているのか。だけど、そんなんじゃ、あれは倒せないぞ…、ダメージはまだイエローにも達してないだろ」
俺が出ていって、助けるか?いや、だけど…、また何かを言われるのか…。
一応、剣だけ抜いてと、
「は!?」
いきなり、見ていたクロノは驚いた声を上げた。
それは、少女の声を聞いたことによる、反応だった。
「は…、はは…。戻っていたんだな、クロヒメ」




