何て理不尽な
「はぁ、はぁ、」
息を切らしながら、森の中を走る少女がいた。
肌は異様に白く、髪の色は金か銀かは良くわからないが、艶が良く、太陽の光に当たるときらりと反射した。そして、背中には何か羽のような…いや、白い羽が生えていた。
「おい、神霊種に仕える、幻獣種…、いや、あれは天霊種か。早く、捕まえようぜ」
「おうッ!!」
「…ッ!」
突然、少女は急停止した。
「…痛いけど……ッ」
羽を一つ抜き、さらに形状変化でナイフのようにし、自分の手首を切り裂き、反対側の指で拭い、地面に血で、五芒星を書いた。
その様子を見る者が見れば、分かるだろうが、手際が良く、さらに恐るべき速度で書いているということが分かった。
「五点を彩る、流るる星の如き、煌めきよ」
「火、木、水、土、光の精霊よ、五芒に属性を与え、魔を除け、光を与えん」
「縛陣……名前なんてあったっけ?」
「決めた……、縛陣、魔の拠らん、安らぎ処をこの場に」
詠唱を終え、魔力を纏った、手のひらを地面に押し当てた。五芒星が光り、少女の周りに不可視の結界が広がる。
その結界が空間を包むと、そこは周りの風景に溶け込むように、消えた。
当然、少女を追いかけていた輩達は、
「な!?見失っただと!?」
森林に溶ける天霊種を当然のように見失った。
◇ ◇ ◇
「クロヒメ様、そろそろ職業選択をしても良いのでは?そして、新しい幻獣をテイムも出来るのでは?」
「職業…?あ、そっか、初回はメニューから選ぶことが出来るんだっけ」
そう言い、システムウインドウを操作し、メニューから、職業選択欄を押した。
ズララララ………
メニュー画面がいきなり職業選択欄に変わり、取得できる様々な職業が表示された。
五分間見つめた。
…………、何か、使える職業が色々あって迷うなぁ。
さらに十数分…
「何だか、絞れないなぁ」
「一応、私にも職業の候補を教えてください」
「んー?えーとね、魔法師、料理人、鍛冶師、精霊術師かな?」
「えっと、それぞれはどこに魅力があるのですか?」
「魔法師は魔法スキルの攻撃力微上昇をレベルが上がるごとにどんどん付くらしい。料理人はみんなに料理人を振る舞えるよ!あとは包丁とか料理道具の攻撃力がやはり微妙に上昇する。鍛冶師は素材を使って、新しい武器や防具を作れるようになるよ。精霊術師は精霊を介して、色々出来るよ。え?ちゃんと説明しろ?分かったよ。魔法に精霊の力を込めたり出来るって!」
「精霊術師にしましょうか。単純に便利だと思います」
「おけ」
精霊術師の欄を押した。すると、様々な数値が上から流れ出した。
えっと?
『職業が精霊術師になりました』
あー、データが流れ込んだっていう設定ね。あれ?これまたバグとか紛れ込んでないよね?
一応ステータスを確認した。
「うーん、変わったのはスキルが追加されていただけか。精霊会話、霊付着、と」
とりあえず、バグは無しっと。良かったね、また色々な人に疑われる事は無さそうだよ。
「で、シャドとくろりんは、どこ?」
『ピーンポーンパーンポーン、あら?間違えて口で言ってしまいました。』
「とりあえず、これを聞きましょう」
『ところで、お金の方は余裕、ありますか?ありませんよね?だって、クエストというものが存在していなかったので!というわけで、冒険者ギルドを設立いたしました。そこでは、様々なクエストをNPCを介して受けることが出来ます。さらにランク制限、レベル制限がある、高難易度クエストも登場します。さらに!緊急クエストがあり、ランダムにボス級モンスターの討伐等、受けることが出来ます。これでレベル上げ、お金儲けも捗りますね。やりましたね』
『二つ目、新たなモンスター解放します。神霊種に仕えるとされる天霊種を解放します。さらに武器、魔銃と銃を解放します。称号を解放。皆さん集めてみては?私も早速、卵マスターの称号を手に入れました。』
『最後に、皆様達はこのゲームのクリア方法を知っていますか?呑気にレベル上げをしている暇もありませんよ。…え?、知らない?当たり前です、まだ言ってませんもの。明日、午前10:00より、草原エリアを解放します。そして、さらに巨大な塔が現れます。この塔の100階のボス…つまり、ラスボスを倒せば、クリア出来ます。ちなみに1階事にボスを配置しました。そして、最後に大事な事を言います。塔の中で死亡すると、他のエリアとは違い、現実世界で死亡します。』
「「「「「「────ッッ!?」」」」」」
一瞬、この放送を聞いているほぼ全てのプレイヤーの呼吸が停止した。
『これで終わります。ピーンポーンパーンポーン』
「……つまり?クリアしたけりゃ、塔を登れ、しかし、死んではいけない、と?」
「えぇ、そういうことになりますね…。ちなみにシャド達は浅海エリアでレベルを上げています。ご主人さまの足を引っ張りたくないようですよ」
私のレベルは今、7…
明日の09:00までにレベルをまず上げていこう。
しかし、唐突なデスゲーム化か…。悪くない…、クーとシャドに聞かれたら、頭おかしいんですか?とか言われそうだが、何だか、この時を待っていたという自分がいる……とても、楽しみだ。
「ニヤニヤしていますね」
「──は!?」
「そんなに楽しみでしたら、私達を守れるくらいまでに強くなってください。大丈夫です、私達はあなたにどこまでも付いていきますから」
あなたは私達の大切な御主人様ですから──と、
キングクリムゾンしていいんですかね?
まぁ、だめですね




