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雑草令嬢は野獣令息の腕のなか〜背徳契約から始まる復讐錬金術〜  作者: gen.


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14. 始動





 アデリナは耐えていた。

 隣にいるはずのカミロは、級友へアデリナを紹介するのもそこそこに今は自分たちの――正しくは父ものだが――会社へ投資するよう、それが如何に利益になるかを呼び掛けていて全くこちらを見ようともしない。

 何人かはカミロの熱心に聞いている、あるいはそのフリをしているが、多くの卒業生たちはそんな彼らを遠巻きにしており、そこには奇妙な空間の壁が出来ていた。

 遠巻きにしている人々はその空間を絶対に超えてこようとはしない。しないどころか、冷笑を浮かべて隣の相手と何事かを囁き合って、見るものは見たとばかりに去って行く。

 これではまるで、檻に入れられた珍獣のようではないか。


 去年で十六になったアデリナだったが、まだデビュタントすら受けさせてもらえていない。去年は義姉に財産を差し押さえられてそれどころではなかったし、今年はまだシーズン前だ。それでもカミロがどうしてもというから一緒に出席したというのに、カミロは自身の正装をビスポークで揃えたあと、残ったわずかな金でアデリナにドレスを新調しろと言ってきた。できるわけがない。結局新しいドレスの中から比較的華やかな型のものを選んで、パーティー向きのドレスになるよう仕立て直してもらったのだ。

 そんな状態であるから、アクセサリーや靴といった小物にまで手が回るわけがなく、アクセサリーは配当金が入った時カミロが買ってくれたものを、靴はドレスと色が似ているものを選んだ。

 そうまでして体裁を整えた、これがある意味での社交界デビューの日だというのに、カミロの周りに集まっているのは男性ばかりで、カミロはアデリナを級友の女性たちに紹介しようともしてくれない。

 

 だからアデリナはじっとしたまま笑顔だけを浮かべて、耐えている。

 しかし動かずにいると、嫌な考えばかりが脳裏に過ぎり、見たくもないものが見えてくる。

 それがあの卒業生たちの冷笑だったり、自分のコーディネイトのちぐはぐさだったりするのだが、一番は。一番見たくないものは。

 ()()は、楽団の音楽に合わせて、この大ホールの中心で優雅に踊っていた。

 シャンデリアの明かりを受けて、きらきらと輝く裾を靡かせて、逞しい腕に抱かれながらなんの苦悩もないかのように。

 最初は誰かも気づかなかった。きっと高位貴族のご令嬢なのだとすら思った。

 それが振り返って、こちらを見るまでは。

 確かに見た。確かに目が合ったはずだ。しかしそれは浮かべていた笑みをわずかも崩すことなく、ふい、とその視線は外された。

 漆黒の腕に添えられた、その肌の一部のように吸い付いているロンググローブの左手には、金のブレスレット。そしてその薬指には――――アデリナがどんなにねだってもいまだにカミロが買ってくれない、金の婚約指輪。

 一体いつの間に。愕然とするアデリナを置いて、それはパートナーなのだろう長身の男性の腕に導かれて、彼らを迎え入れる人垣の中へと戻っていった。

 漏れ聞こえてきた囁き合いによれば、あれは卒業生の中でも最も成績優秀なペアで、二人とも多くの宮廷任官の要請がありながら、その全てを蹴ったらしい。


(最も成績優秀?――――あの女が?)


 その噂話をしている卒業生たちを捕まえて詳しく話を聞きたかったが、いまのアデリナにそんなことができる筈もない。

 一方、カミロは成績の話をほとんどしなくなった。自分は会社の幹部になるのだから任官など不要なのだというのがその言い分で、しかし特待生特権が剥奪され、アカデミーの学費を払う、払えないの騒ぎになったのは記憶に新しい。


(どうなってるの、一体何が、どうなってるのよ……!!)


 あの女が――――義姉のロサがタウンハウスを出ていってから、アデリナの世界は急変した。執事を始めとする使用人はいなくなり、贅沢品は失われ、母アデラがつけていた帳簿を自分がつけなくてはいけなくなった。やり方などわからないのに。

 それでもなんとか、必死に水面へ顔を出して息をするようにやりくりしてきたというのに、名前貸しとかいう商売で小金が入ってくるようになってからは、ますます家の中がおかしくなった気がする。

 まるで目隠しをさせられたまま舟に載せられているような、見えないところで何かが動いているような。

 けれどカミロはその流れに乗ろうとしているし、父は栄光を取り戻したかのように踏ん反り返って酒浸りがますますひどくなっている。入ってくる小金は入った傍から消えて行く。

 アデリナに、それらをとめる手立てはなかった。







 卒業パーティーに出されていたシャンパンは、流石王家主催というだけあって大変美味でした。もちろんちゃんと水を飲んだり、食事もとりましたが。やはり一番は勝利の美酒というものでしょう。

 ああ、いいえ、まだ完全な勝利ではありませんでした。寧ろこれは勝利の始まりの美酒、というべきでした。


「機嫌がいいな」

「ええ、とっても」


 とはいえ、扇の風だけでは拭いきれない酔いの熱は少し冷ましたほうがよさそうです。

 一人でバルコニーに出た私でしたが、すぐ後ろから伸ばされた逞しい腕に捕まってしまいました。

 大人しく収まったままくすくす笑っていると、不意に頬へ手が添えられて――――抱き竦められた腕の中で、私の唇は深く奪われてしまいました。

 熱を冷まそうと思ったのに、と頭のどこか冷静な部分が考えますが、美酒に酔った大部分はこの快楽を悦んで享受しています。舌先に残るシャンパンの後味すらも塗り替えられるほど深く口づけられてからようやく解放されて、私はほう、と息をつきました。

 イシドロの腕はまだ、私を抱いたまま離そうとしてくれません。


「……興奮してますね」

「ああ、お前の目が」

「私?」

「久々に、捕食者のそれになってるからな」


 どうやら、というよりもやはり、この人の目は欺けないようです。


「今度はどんな()を嗅がせてやったんだ?」


 カントリーハウスから戻ってきて、この卒業パーティーに至るまでの数週間。

 私はイシドロの手配した "目" からの報告で把握した父の行動スケジュールを基に、二種類の手紙をしたためては方々に送っていました。

 一つ目は、父がシルベストレ男爵として名前を貸している企業の取材を促す、ある意味該当企業を賞賛するような内容です。しかし、経営実態のない『名前貸し』たちにとっては、新聞からの取材など巣を突かれるような迷惑千万なものでしかないでしょう。あるいは大胆に取材を受けるのかもしれませんが、私が送った二つ目の手紙が、その足を引っ張ります。

 それは一つ目の手紙とは真逆の、企業の経営実態などないのではないか、という調査を促す声があるという手紙。これは企業自体に送りつけてあります。


 彼らは悟ったでしょう。 "時期がきた" と。

 すでに彼らは十分過ぎるほど金を引っ張れたはずです。なにせ王立アカデミーという、その中でなら身分差をおおよそ気にせず様々な人材を取り込める絶好の場に、ネズミを放つことができたのですから。

 折しも、卒業パーティーの翌日は父シルベストレ男爵が貯まった書類にサインをするだけ、という "仕事" のために彼らのオフィスを訪ねる日。

 さあ、彼らはどんな風に名ばかり社長を迎えるのでしょうか。まだそこにいるのでしょうか。それとも。


「……なるほどな」


 私を膝の上に乗せたイシドロが、笑みを隠すことなく呟きます。


「まだそこに居座っているようなら、どうする気だ?」

「そうですね……今度こそ『名前貸し』の疑いがあるとして、新聞に売りつけてしまいましょうか」


 まあ、そのあたりは機を見るに敏でなくばやっていけない人種たちですから、問題はないでしょうけれど。

 イシドロが笑みを深めて、私の体を抱き寄せました。


「やはりお前は、怖い女だな」


 それを笑って聞いているあなたも、大概ですよ。

 そして三月の夜風が互いの熱を十分に持って行ってくれた頃、私たちは華やかなパーティーの続く大ホールへと戻っていったのでした。



 明けて翌日、私たちは私たちで忙しい時間を迎えていました。

 今日こそはこのバルラガンハウスの離れ屋敷を引き払い、私が買い上げたタウンハウス、というか裏通りの工房付き物件へとお引越しするのです。

 元々私物と言えばあの旅行鞄に詰め込んだ教本や錬成道具、わずかな衣類だけだった私ですが、一年近くお世話になってる間に荷物、というかドレスの増えたことと増えたこと。いずれもイシドロや侯爵夫人からの贈り物なので、荷馬車を追加して箱を載せるだけで一苦労です。

 それにルシオの私物や教材、衣装も随分と増えました。衣装は例によって侯爵夫人からの贈り物です。今回はマダム・セルダの荷物もあります。

 とはいえ、実際に載せる作業はすっかり顔見知りになったバルラガンハウスの従僕の皆さんや、メイドの皆さんがやってくださったんですが。

 一年足らずとはいえ、実際はそれよりずっと長い時間お世話になっていたような気分です。


「本当にありがとうございます」

「いえ、この程度でしたら、いつでも……」


 言いかけたメイドさんがはっとした顔になるのを、思わずメイドさん本人と顔を見合わせて小さく笑ってしまいました。


「お元気で、朗読手(リーダー)様……いえ、ロサお嬢様」

「ありがとうございます。皆さんもお元気で」


 そうして最後の挨拶を交わしているところに、静かな靴音が訪れ、従僕の方々やメイドさんたちがさっと両脇に退きました。


「侯爵夫人……」

「ご迷惑かと思ったけれど、やはり見送らせていただきたくて」

「迷惑だなんて、とんでもありません」


 夫人の微笑みにはわずかな寂しさのような、苦みのような複雑なものが混じっていました。私がこの屋敷でしたことを思えば、そしてこれからすることを思えば当然なのですが。

 彼女の明るい緑色の瞳が、私の頭上へと向けられます。


「イシドロ」

「……何だ」

「ロサさんと仲良くね。それと……いつでも帰ってらっしゃい」

「…………ああ」


 侯爵夫人の表情が、目に見えて安堵で綻びました。

 侯爵家の令息があるゆる任官士官を蹴って市井に下る、という選択は普通の貴族なら耐えられないことでしょうが、少なくとも侯爵夫人は前向きに受け入れてくれているようです。

 この場にいない侯爵閣下は、どうだか分かりませんが。これも彼なりの、そう言った選択をした息子へのけじめのつけ方なのかもしれません。


「お嬢さん、時間です」


 雇われ御者からの声に頷いて、改めて私は侯爵夫人と礼を交わしました。


「大変お世話になりました」

「……お元気で。いつでもいらしてね」


 顔を上げて一つ頷くと、私は傍らへと振り返り。


「ルシオ、侯爵夫人にご挨拶を」

「大変お世話になりました。いつか必ず、お礼に参ります」

「まあ……!ふふ、お礼だなんて、気にされずに、またいらしてちょうだいね」


 ルシオの隣のマダム・セルダも深く一礼を交わしたのを見届けて、私たちは馬車に乗り込み、侯爵邸――――バルラガンハウスを後にしたのでした。

 向かうは下町、という表現も生温い、冒険者向けの宿やらいかがわしい酒場の顔をした情報屋などが軒を連ねる裏通り。そこの二階建ての建物を買い上げて、壁をぶち抜いて一件にしたという工房付きの家です。

 ルシオとマダム・セルダには環境の激変に耐えてもらう必要がありますが、まあこれも勉強ということで。そう長く暮らす予定もありませんしね。


『お帰りなさいませ、奥様』

「ただいま。早速だけどこの荷物、右棟の中に運び込んでしまって頂戴」

『畏まりました』


 それでも人手は必要。ということでこつこつと特待生(スカラー)になってから手紙でギルド募集をかけて選別してきた使用人たちに指示を出します。

 ルシオは扉を開けるなりわらわら出てきた出自も体格も、来てる服さえ様々な使用人たちに驚いた様子ですが、これも慣れです。慣れ。


「さ、皆おりてらっしゃい」


 新しい、錬金術師ロサ・デ・シルベストレの住居の中を案内しなくてはね。







 憂鬱な日である。

 ベッドを降り、アデリナに急かされながら着替えをし、男爵らしい服装を整える。

 だが窓から見える厩舎(ミューズ)は瓦礫の山のままであり、タウンハウスの前に停まっているのはその日いくらで雇った辻馬車だ。今日からはそこにすっかり婿気取りのカミロまで付いてくるというのだから、憂鬱さは倍増である。

 それでも配当金を得るため、そしてサインをするという唯一の "仕事" をこなすために、ブラウリオは外出せねばならなかった。


「男爵閣下、足元にお気を付けください」


 恭しく振舞ってはいるが、アデリナと一緒にいつ自分の代がくるのかと手ぐすねを引いて待っていることを気づかないブラウリオではない。

 それでも従僕が増えたようなものだと思うことにして、ブラウリオは今日を乗り切ろうとした。

 その努力が全くの無駄になるともしらずに。


「――――……?」

「どうしたんでしょう。今日は社長がいらっしゃることは分かっているはず……」


 辿り着いた金融街、いくつかのオフィスが入っているビルの最上階にそのオフィスはあった。その階段を上るのもまた憂鬱の種だったのだが、酒臭い息を切らしながらブラウリオが上り切った先、一番奥の扉をカミロが開けようとしたが、ドアが開かない。カミロがノックをした。反応がない。人気がないのだ。すりガラス越しに、こちらに近づいてくる人影も見えない。


「……これを使え」

「は、はい」


 偶然、全員が出払っているときに来てしまったのかもしれない。

 だがそう言うときのため、ブラウリオはオフィスの合鍵を託されていた。

 カミロへ寄越したそれが、オフィスのドアノブの下に差し込まれ、回る。ガチャリと確かに錠が開く音がして、ほっとした表情のカミロがドアノブへと手をかけ、今度こそオフィスの扉が開いた。

 はずだった。


「――――」


 そこは、投資会社のオフィス、のはずだった。たくさんの書類をファイリングしたファイルが棚の中に所狭しと納められ、磨き上げられた机の上には真新しい事務用品が整然と置かれ、いつも社長である自分を、恭しく出迎える社員たちがいる筈だった。

 だが、どうしたことだ、これは。

 棚も引き出しもすべてが開け放たれ空となり、床や机の上には書類だけが散乱している。

 空き巣かと思ったが、窓も、何より今入った扉にも異常は見当たらない。

 異常なのは――――異常なのは、この部屋だけだ。


「なん、だ……?」


 カミロの呆然とした声が聞こえる。その声に何を返すでもなく、ブラウリオは中に死を踏み入れた。

 途端、床に散らばった紙切れがつま先に当たり、カサリと乾いた音をたてる。

 ステッキに頼りながら拾い上げてみれば、それは――――借用書だった。自分のサイン入りの。


「…………!!」


 ブラウリオはその借用書を投げ捨て、急ぎ副社長のデスク、書類が山積みになっているそこへと向かう。

 そして改めた。膨大な書類を。すべて、すべて、すべて。

 小さい紙きれは、いつもなんだかんだと理由をつけて書かされていた小金の借用書だ。大きい書類は、金を借りるため、引き出すため、配当を約束するため、自分のサインがしてあった。

 だが、社員は?社員たちの、副社長のサインした書類はどこにいった?


「探せカミロ!!」

「さ、探すって、なにを……」

「あいつ等のサインした、借用書に決まっとるだろうが!!」


 鞭に打たれた駄馬のように、のろのろと、だが紙切れたちの内容に気づくにつれて動きが早くなったカミロが机を、引き出しをあさり出す。

 だがどれほどたっても、それこそ机の上のものをすべて床に投げ捨てるまで改めても、ついぞ、ブラウリオ・デ・シルベストレ男爵がこの会社の投資信託の責任をもち、それによって銀行や投資家たちから巨額を引き出していた、という証拠の書類しか出てこなかった。


「……ばかな……」


 今朝浴びるように飲んだシェリー酒のアルコールが、いまさら頭に回り始めたというのか?

 これは一体、なんだ。何がどうなっている。青ざめたカミロは何故こっちを見たまま微動だにしない。


「……馬鹿な、うそだッ……!」


 よろけて、踏みつけた書類で足を滑らせかけた。ステッキでバランスを取ろうとしたが、そのステッキもまた紙を突いて滑った。


「うわあッ!!」


 紙が舞い散る。ばさばさと自分の上に被さってくるそれを、自分のサインを、ブラウリオは半狂乱で振り払いながら立ち上がった。カミロの手は差し伸べられもしなかった。


「こん、こんな馬鹿なことがあるかッ私は、私は知らん!知らんぞッ……!カミロ!!」


 鬱々とした光りのない目がブラウリオに向けられる。


「片づけておけ!!」

「……はい」


 その言葉を最後に、ブラウリオはその場から背を向けて逃げた。逃げ出した。

 さっき転げたせいかアルコールのせいか、よくわからないが定まらない足を震わせながら、一心不乱にそこから遠ざかろうとした。追ってくる静かな足音にも気づかないほど、彼の気は動転していた。

 だから、階段の端に手をかけたとき。




「片づけなくちゃ」




 そんな声が聞こえたのも、幻聴だと思った。

 背中を強く押されたのも、足を踏み外したのも、視界が回るのも、すべて。

 すべて、なにかのまちがいだと思ったまま。

 壁に "何か" がぶつかる、折れる音と共に、ブラウリオの全ては途絶えた。







 埃一つなく掃除しておくようにとは言いましたし、実際そうしていたようですが、やはりこれだけの人数がいったりきたりしたら埃の一つもたちますよね。

 まだ肌寒い時期ですが廊下に面した窓は開けさせました。ルシオたちは暖炉のある居間に入っていてもらい、居間の暖炉だけ火を入れて、扉は閉じておきます。

 私は歩き回りながらあれこれ指示をしている身なので、少し暑いくらいです。

 窓から入ってくる冷たい風も、心地いいくらいでした。


「ロサ」


 そんな最中、使用人に交じって荷物の分配や離れから持ち出した、もとはシルベストレ邸にあった家具を配置していたはずのイシドロが、感情の浮かばない顔で階段を上ってきました。


「?イシドロ、何かありましたか――――」


 窓の外を見れば、フードマントを被った人影が遠ざかっていくのが見えました。何となくその背中を追ってしまった私の腕を掴み、身をかがめたイシドロが、私以外には聞こえないだろう低く小さな声で耳打ちしてきました。


「…………」


 私は、瞬きを一つ。それから、溜息を一つ。イシドロが私の腕を放して上体を起こした時には、ええ、思わず、舌打ちを。


「あれだけ精々長生きしてくださいと申し上げましたのに――――それすらできないなんて」

 


 


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