004
ベルナンド達がギルドを後にしたのを確認した俺は改めて魔物の素材を売ろうとギルドのカウンターに向かうのだった。
リリもとことこと俺の後についてくる。
そんな俺を周りの冒険者やギルド職員は化け物を見るような目で見てくる。
あんな雑魚をどうこうしたくらいで何をそんなに怯えているのか俺には分からなかった。
でも、周りの冒険者が避けるように道を開けてくれるおかげで待たずしてカウンターにたどり着くことができた。
その辺は数少ない良かった点と言えるだろう。
俺は1人の受付嬢の目の前に来ると口を開いた。
「魔物の素材を売りたいんだがどこで売ればいい?」
「え?」
俺のその言葉が理解できなかったのか受付嬢はキョトンとした表情をするばかりであった。
「だから魔物の素材だよ。ギルドで買い取ってくれるんだろう?」
「は、はい。確かにギルドでは魔物の素材を買い取っています。ただ、冒険者以外の方ですと手数料で少々引かれてしまいます。今後も継続的に納品いただけるのでしたら冒険者の登録をおススメいたします。」
冒険者と冒険者以外でそんな違いがあるのか。
確かに今後も不毛の大地で狩りは続けるから何度も納品することになりそうだ。
しかし、わざわざ登録するほどか?
そもそも登録って何をするんだ?
もし登録の作業中にボロが出て魔王だと気づかれると厄介だな。
ここは登録なしで買い取りだけしてもらった方がいいかな。
「いや、買い取りだけでいい。登録するとさっきみたいな諍いがあった際に冒険者ギルドが助けてくれなくなるんだろう?」
俺は皮肉を込めてそう口にした。
それを聞いた受付嬢は目を反らして慌てだす。
それでも業務に忠実にあろうと気を取り直して俺に向き直り口を開いた。
「それでしたら一番奥のカウンターで買い取りを行っています。魔物の素材を持ってそちらに行ってください。」
「分かったよ。ありがとう。」
俺はお礼を口にして言われた一番奥のカウンターに向かう。
魔物の素材を何も持っていない、手ぶらな俺がすぐさまそのカウンターに向かったことに受付嬢は怪訝そうな視線を向けるが無視する。
「魔物の買い取りはここでいいんだよな?」
俺は魔物買い取りのカウンターにいたギルド職員に声をかけた。
「そうですけど、見たところ魔物の素材は持っていないようですね。魔物の素材を持って出直してください。」
「いや、魔物の素材と言うか魔物の死体は持っているぞ。」
「何を言っているんですか?それならここに出してください。」
職員はそう言うとカウンターを手で示した。
そこはオオカミ1匹出したら一杯になる程度のカウンターだった。
「本当にここでいいのか?」
俺は確認する。
間違いなくここに俺が持っている魔物の死体を出したらカウンターが壊れる。
確認せずにそれをやるのは気が引けた。
「くどいですね。ここでいいですよ。出せるものならね。」
「そうか。なら………。」
俺は空間魔法でレッサードラゴンの死体を取り出しカウンターの上に置いた。
―ドン、バキッ
案の定カウンターは壊れてしまった。
だから聞いたのに………。
それとも毎回壊しているのかな?
その光景を見てギルド職員は目を見開いていた。
「な、な、な、何ですかこれは?」
「す、すっごい!!何これ!?」
興奮したような表情でギルド職員とリリがそう口にした。
俺は2人のその疑問に答えるためにゆっくりと口を開いた。
「レッサードラゴンだ。」
リリは1人、「すごい!すごい!」と喜んでいるが、相も変わらずギルド職員は目を見開いて驚いている。
いや、目を見開いているのはそのギルド職員だけではない。
その時冒険者ギルドにいた冒険者とギルド職員は全員が目を見開いてそのレッサードラゴンの死体を眺めていた。
「ど、どこから出したんですか!?」
驚きながらも思考が復活したのかギルド職員は俺にそう聞いてきた。
俺は素直にその疑問に答える。
「空間魔法ってやつだよ。」
「え?それって、伝説上の魔法じゃ………。」
再び驚きで言葉を失うギルド職員。
「ユーイチはすごい魔法使いなの?」
リリが目を輝かせながらそう聞いてきた。
俺はリリの頭を撫でてやりながら答える。
「ああ。俺はすごい魔法使いなんだよ。」
そして、言葉を失い唖然としているギルド職員に向き直り話しかけた。
「まだ、あるんだが全部ここに出せばいいか?」
俺のその言葉に慌てたような声を上げて、ギルド職員はあたふたとする。
「え?ま、待ってください。え、えっと。これも一度しまってもらえますか?」
「ああ。」
俺はそう答えると今出したレッサードラゴンの死体を空間魔法でしまった。
それを見てギルド職員はまたも驚いたような表情をする。
「で、どうすればいい?」
「あ、こ、こっちについてきてもらえますか?」
ギルド職員はそう言うと部屋を出ていった。
それについていくと倉庫のようなところに通された。
「普段から大物はこちらで受け取っています。」
「じゃあ、ここで出せばいいか?」
「はい。」
ギルド職員のその言葉を受けて俺はその場に魔物の死体を出していった。
倉庫の中に山となって取り出された死体を前にギルド職員は目を丸くして今にも倒れてしまいそうであった。
「………これで全部だ。」
俺は空間魔法に納めていた魔物の半分ほどを取り出してそう言った。
念のためだ………。
万が一ここで適切に買取されなくとも他で損を取り戻せるように俺は魔物の死体を残しておくことにした。
そんなことを知らないギルド職員はそれでも多い魔物の死体を前にして興奮が隠せないようであった。
そして1つずつを検分していきしばらくして口を開いた。
「すみません。数が多すぎてすぐに清算することができそうにありません。明日改めていらしていただいてもよろしいでしょうか?」
ギルド職員の言ももっともだろう。
確かにこれだけの魔物の素材となるとすぐに鑑定してそれに見合った報酬を用意することはできるはずもない。
「分かった。じゃあ、今日はこれで失礼する。」
だからこそ俺はそう言ってこの日は冒険者ギルドを後にした。
--
時刻は夕刻に差し掛かろうとしていた。
日は傾きかけ、ほんのりと茜色に色づいていた。
「さてと………。」
俺はリリの方に向き直り口を開く。
「今日泊まる場所をまだ決めていないんだ。できれば宿屋を紹介してもらえないか?」
俺のその言葉を聞いてリリは考え込むようなしぐさをする。
すぐに表情を戻すと「任せて!」と一言言って歩き出した。
俺はその小さな背中を追う。
「ここ!ここが評判の良い宿屋だよ!」
しばらくすると一件の宿屋の前で元気いっぱいにリリがそう言った。
そこは清潔感漂う2階建ての大きな建物だった。
リリにお礼を言って俺は宿屋の中へと入っていった。
入口すぐにカウンターが設置されていた。
奥は食事をするスペースとなっておりさらに奥に階段が見える。
客室は2階なのだろうか?
そんなことを考えていると受付に人が来た。
その人は栗色の毛並みの年若い女性であった。
「いらっしゃいませ。」
元気よくそう口にしたその人はこの宿屋の店員なのだろう。
愛想よく微笑むその顔を見つめながら俺は口を開いた。
「しばらく宿を取りたい。」
無機質にそう口にする俺を前にして特に気分を害しているということはなさそうだ。
店員はにこにことした表情を崩さずに口を開く。
「はい。1泊、大銅貨7枚となります。食事や湯あみ用のお湯は別料金となりますがよろしいでしょうか?」
「全部入れるといくらだ。」
「はい。朝と夜の食事とお湯を入れると1泊銀貨1枚となります。」
「わかった。とりあえず10泊お願いする。」
俺はそう言って大銀貨を2枚渡す。
それを見て店員は怪訝そうな顔をする。
「あの、10泊でしたら銀貨10枚。大銀貨ですと1枚で十分ですよ。」
その説明を聞いて俺は後ろのリリを示して口を開いた。
「いや、こいつの分も含めてだ。」
「は?」
「え?」
店員とリリの声が重なった。
2人とも驚いて固まってしまっていた。
いち早くその状態から脱したのは店員だ。
「えっと、そちらの方は魔族ですよね?」
「そうだが、それがどうした。」
「あの、魔族の方のご利用は………。」
「そうだよ、ユーイチだけで良いよ。」
店員は言いにくそうにしながらもリリの利用を断ろうとする。
リリも一緒になってそれを固辞した。
しかし、そんなのは俺の気持ちが許さなかった。
俺はリリの言葉を無視して店員に食って掛かる。
「なぜだ?」
「はい?」
「なぜ魔族の利用は駄目なんだ?そもそも最初にそう説明したか?」
「いえ、あの………。」
店員は体を小さくしながらそう言いよどむ。
これでは弱いものいじめをしているようでは無いか。
俺は努めて冷静にそして語気が強くならないように気を付けて話す。
「別に責めているわけじゃない。何で魔族の利用が駄目なのかその理由を聞いているのだ。」
そこまで言ってようやく店員は口を開いた。
「あの、魔族の方は魔王の僕なので………。」
「魔王の僕だったのはずっと昔の話だろう?今を生きているリリには関係ない。何よりそれならば、そもそも町にいることさえも忌避されるはずだろう。それが許されている以上その理由は妥当ではないな。」
俺は勢いよくそう口にした。
その言葉を受けて店員もたじたじの様子だった。
そして最後には………。
「もういいです。」
そう言って折れるのだった。
そして俺は部屋の鍵を受け取るとなおも固辞しようとするリリを抱えて部屋へと向かうのだった。
俺の後ろで「店の評判が………。」という声が聞こえた気がするが気のせいだろう。
--
「もう!ユーイチは強引すぎ!」
部屋に入るなりリリがそう口にした。
頬を膨らませながら腕を組みいかにも怒っていますと言った雰囲気を醸し出していた。
しかし、そんな様子が可愛らしくて俺は思わず笑ってしまうのだった。
「何を笑っているの?リリは起こっているんだよ!?」
「ごめん。ごめん。」
なおも憤慨するリリを俺はそう言ってなだめる。
しばらくすると受付で頼んでいた湯あみ用のお湯が運ばれてきた。
「リリ、これで体洗ってしまえ。」
「え?それはユーイチが使ってよ。」
「俺は別に汚れていないからいいんだよ。」
俺がそう言うとリリは自分と俺の姿を見比べる。
埃と垢まみれの自分の姿を見て少し恥ずかしそうに顔を俯かせる。
そして無言で体を洗いだした。
リリは少し恥ずかしそうにしていたが、俺も手を貸してやり念入りに体を洗う。
………やっぱり結構汚れているな。
湯もこれ1つじゃ足りないか?
リリはそれだけ汚れていた。
今や湯あみ用に張った桶の中の湯は真っ黒だ。
それでもまだリリの体は洗いきれていない。
仕方ないか………。
リリにはこうして体を清潔にするような余裕は無かったのだろう。
だからこそ、これほどまでに薄汚れてしまっていたのだ。
俺は魔法を使って新しく湯を生み出す。
そしてリリの体が綺麗になるまで根気強く洗い続けるのだった。
その手つきはさながら壊れ物を扱うかのようなものであった。
「よし。綺麗になった。」
しばらくして綺麗になったリリを見て俺は満足そうにそう言うのだった。
リリの姿は見違えるようであった。
埃だらけでボサボサだった髪の毛はしっかりと元の色を取り戻し櫛を入れて整えた。
垢まみれだった体に関しても綺麗に洗い流し真っ白な肌を取り戻していた。
後は服かな………。
そう、服だけが今のリリに合わずボロボロのままだった。
しかし、それは今同行できるものでは無かった。
ここまでボロボロだと洗ってもどうにもならないからだ。
俺は新しい服を買ってあげようと決意するのだった。
リリの体を洗っている間に日はすっかり暮れてしまっていた。
しばらく待っていると夕食のしたくができたことを知らせに店員が来た。
食堂かで食事をとるか、部屋でとるかを選べたので俺たちは部屋を選んだ。
その答えを聞いて店員もほっとしたような表情をした。
きっと、魔族がこの宿に泊まっていることをできるだけ隠しておきたいのだろう。
俺自身もリリに嫌な思いはさせたくないので衆人に見られる恐れのある食堂は避けたかった。
しばらく待っていると食事が運ばれてきた。
俺とリリは2人で向かい合わせに座ってその食事に舌鼓を打った。
その食事は野菜と肉を煮込んだスープに硬いパンと言う簡素なものであったがリリは美味しそうにそれを口にしていた。
その表情を見て俺も嬉しくなる。
硬いパンをスープに浸して柔らかくしながら口に運ぶ。
塩気が少ないその味はどこか物足りなさを感じさせるがそれでも今こうしてリリと食べる夕食は美味しいと思えるものであった。
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食事をとったリリは今はすやすやと寝ている。
その安心しきった表情を眺めながら俺は微笑んでいた。
不意にリリの巻角に触れる。
魔族。
それは遥か昔の魔王が生み出した種族。
人類の敵対種である魔王自らに生み出されたことで魔族そのものが人類の敵とみなされているという。
彼女の言葉に嘘は無いのだろう。
事実今日1日一緒にいてリリに向けられる視線、言葉は決して良いものでは無かった。
彼女は毎日あんなものをその小さな体に受けながら耐え忍んでいたのだろうか?
それを思うと胸が苦しくなる。
だからどうか今だけは安らかに休んでいてほしいと願う。
「なあ、アディ。魔族って何なんだ?」
俺は不意にそんなことを呟いていた。
それはリリの言葉を疑ってのことではない。
ただ、客観的に見た意見を聞きたかったのだ。
アディならその辺はわかってくれるだろうと期待して。
『リリのいう通りです。今から4,000年程昔にいた魔王が生み出した種族です。その作成方法は多岐にわたりますが共通しているのは当時の人類種と魔物の両方の因子を持って生まれていることです。』
「人類と魔物の因子?」
『はい。代表的な作成方法としては人間と魔物を交配させる方法です。』
「人間と魔物を交配。」
俺の予想を超える答えが返ってきた。
人間と魔物を混ぜ合わせた存在。
それは果たして人間と言えるのだろうか?
いや、今こうして寝ているリリを見て確信する。
彼女は人間だ。
間違いなく人間種なんだ。
そんなことを迷っているとアディはなおも言葉を続けた。
『他にも魔法を用いて人間と魔物を混ぜ合わせたりなどもしていたみたいです。』
「そうやって作られた存在は人間なのか?魔物なのか?」
リリは間違いなく人間だと言い切れる。
でも、魔族すべてがそうであるかは俺には判断できなかった。
『生物的に人間種と魔物に明確な境界線はありません。人間社会の中でよく口に言われるのは知能の差ですが、魔物の中には人間種以上の知性を持った種族も存在しています。そのため、人間種と魔物の境界線があるとすれば人間種が同族と判断するかどうかと言うことになるかと思います。』
アディのその言葉に俺は頭を殴られるような気がした。
と言うことはなんだ?
この町の人から認められていないリリは人間ではないというのか?
怒りが沸々と胸の内から湧いてくる。
そんな俺の気持ちはさておきアディの話は続く。
『ただし、これは人間種の立場での話です。』
「………と言うと?」
『はい。世界を包み込むシステムの立場では人間種と魔物に明確に差異があります。これはマスターだからこそ知っていることです。』
「俺だからこそ知っていること?」
アディのその言葉に首を傾げる。
俺には心当たりが無かった。
アディは何を指してそんなことを言っているのだろう。
『マスターの【ダンジョン作成】スキル。その<魔物召喚>で召喚できるものは魔物であり、そうでないものは魔物ではないという判断ができます。』
アディのその言葉を聞いて納得した。
確かにその通りだ。
と言うことはどうなるんだ?
魔族は魔物なのか?
「魔族は魔物なのか?」
『いえ。マスターの<魔物召喚>を使っても魔族を召喚することはできません。そのため魔族は魔物ではないと言えるでしょう。』
「そうか。」
アディのその言葉に俺は安どするのであった。
魔族は魔物ではない。
その事実が今はとても嬉しいと感じていた。
俺だけが納得していても仕方が無いことはわかっている。
それでも安心したのだ。
リリは間違いなく人間だと声高に宣言した俺の言葉が間違いではないことに。
「なあ、このことは俺みたいなスキルを持っているものな気付く可能性があるんだよな?」
『確かにその可能性はあります。しかし、それで人類の見方が変わるかと言うと難しいかと思います。』
「なんでだ?」
『魔物関連スキルの多くは魔王のみに許されたスキルとなります。稀に人間が魔物を従えている場合がありますが、あれは知能の低い魔物を調教しているか、知能の高い魔物と取引して力を借りているに過ぎません。人間がそう言ったスキルを持つことは無いのです。』
魔王に呑み許されたスキル。
俺自身魔王だからこそダンジョンと言うものを持つことができるようになった。
他の魔王もそれに準ずるスキルを持っていることは予想できた。
しかし、人間がそう言ったスキルを持っていないのでは確かに期待できない。
魔王が魔族を人間種だと言っても他の人間はそれを聞き入れないだろう。
何処かに無いだろうか。
リリが安心して生きていける場所が。
「なあ、魔族を人間として扱う国はあったりしないのか?」
『ありません。』
アディは俺の質問をバッサリと切り捨てた。
しかし、その答えだけで納得できるわけは無かった。
だって、4,000年も昔のことなんだぞ。
そんな昔のことは知らないという国があったっていいじゃないか。
「本当に全くないのか?4,000年もあれば現存する国の多くは知らない歴史だろう?なら関係ないと断じる国があってもいいんじゃないか?」
『確かに魔族の生まれは4,000年前の魔王によるものです。しかし、魔族が魔王に与したのはそれが最後ではないのです。4,000年前の魔王が討たれた後も何度となく魔王に与し人類の敵となっていました。もっとも最近では300年前に討たれた魔王に魔族は種族単位で協力していました。』
アディのその言葉を聞いて俺は気落ちする。
確かにそれでは種族として信用されないもの理解できてしまうのだ。
300年前ともなればリリには関係ないだろう。
でも、人類の歴史から消し去るには近すぎたのだ。
俺はその事実を知って頭を悩ませていた。
これではリリが安心して暮らすことのできる国なんてない。
なら、いっそのこと………。
『マスター、リリ個人を救うのはマスターの自由ですが魔族全体をマスターのダンジョンに抱え上げるのは思いとどまってください。』
俺の表情から俺の考えが読めたのか、それとも口に出していたのかは分からないが今まさに考えていたことをアディに制されてしまった。
「なんでだ?」
『魔族は今まで魔王に与していた歴史があるため信用を失っています。ここで魔王であるマスターが魔族を登用すればまた同じことの繰り返しとなります。』
確かにその通りなのだ。
俺が魔王であるのは変えられない事実なのだ。
そんな俺が手を貸すのは魔族と言う種族にとって危険でしかない。
だからこそ………。
「今は何もできないのか?」
『はい。』
その言葉を最後に部屋に静寂が訪れた。
リリは1人安らかにすやすやと寝息を立てていた。
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