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これは『勇者』と『魔王』の物語  作者: 東の雲
ルクス村編

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マオさんとの修行

 ジャカンへの旅は船旅へ入り、明後日の昼にはジャカンに到着する。


 相変わらず修行は毎日続いている。

 魔法をくらう修行が始まってからというもの、毎日ボロボロになっている。


 ジークの修行は、ぼーっとするか魔法をくらうかのどちらかばかりで、思い切り体を動かせるのはマオさんとの実戦修行だけ。


 それが私とリガンにとって唯一の楽しみになっていた。


 とはいえ、マオさんも攻撃はしてくるのだが…。


 リガンが連続で突きを繰り出し、マオさんの気を引きつけ、私がその死角を突いて背後から斬りかかる。


 がマオさんは紙一重でそれを躱す。


 くっ!

 これを躱すか!


 渾身の一撃を躱された動揺もあり、マオさんの蹴りへの反応が一瞬遅れ、回避が間に合わない。


「ぐはっ」


 しまった。

 避けられたからって何を動揺してるんだ、常に戦いの間は集中しないと。

 マオさんの蹴りの威力は凄まじく、私はその場にうずくまった。


 結局今日も私達の攻撃はかすりもしなかった。

 この修行の中で私とリガンはマオさんに触れたことがない。


 私達がどれだけの策を練ろうと、どんな攻撃を仕掛けようとも、剣や腕で受け止めるまでもなく、すべて躱してしまう。


 どうしたら、私達の攻撃は当たるんだ……。


 私は思い悩んでいた。

 これまでにリガンと様々なコンビネーションを考え試してきたが、どれも通用しなかった。


 茶化されるかもしれないけど、ジークに相談してみようかな。


 夕食の後に私はジークを探した。


 甲板に出ると、ジークはベンチに座って、暗くなった海を眺めている。

 隣にはマオさんが座っていた。


 さすがにマオさんと戦うアドバイスをマオさんの前でもらうわけにはいかないな。

 諦めて踵を返そうとすると、2人の会話が聞こえてきた。


「それにしてもマオちゃんは、本当に教えるのが上手いね」


「私は何もしていないぞ。ただ暇つぶしにあの2人を小突いてるだけだ」


「とかいってさ、いつもあの2人のギリギリを攻めてるじゃん。

攻撃が当たりそうでギリギリ当たらない。

避けられそうでギリギリ避けられない。

ギリギリだからこそ悔しくて、次の攻撃をどうしたら当てられるのか、次はどうしたら避けられるのかを考える。

あの2人の成長が早いのはマオちゃんのおかげだね。

まぁ、2人が強くなっていった分に合わせてマオちゃんも力を調整してるから、2人とも自分が強くなってることに気づいてないだろうけどね」


「ふん。そういうお前の修行こそ。

あんな腕輪まで付けさせて」


「あら!!やっぱり気付いてた?」


「あの腕輪と修行内容を見てればよくわかる。よく考えられた修行だ」


「あぁ。あの修行の本当の意味を知った時、あの2人は一気に強くなる。あの2人は素直だから、これからもどんどん伸びるだろうな。

もし俺たちが元の世界に戻ることになってもきっと大丈夫だろう」


 そんな風に思ってくれてたなんて。


 …ジークに今回のことを相談するのはやめよう。

 きっと自分たちで考え成長していくことに意味があるんだ。


 私は踵を返して船内へと戻っていった。

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