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わから聖女~いいんですか? 神の声が聞こえるわたしを本当に追放しちゃうんですか?~  作者: 藤村灯
マジですか? 大聖女様の登場です!

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19/20

第19話 アリーセ主催のパーティー開催ですか?

 伯爵(はくしゃく)の城に帰ったソーニャは、さっそく、置き去りの形になった子供たちに取り囲まれた。


「ママ、またアリーセをのけ者にして!」

「ごめん、ごめんって。ほら、大聖女(だいせいじょ)様がお菓子をたくさん持たせてくれたから。これで機嫌(きげん)直してよう」


 コウモリの(つばさ)で羽ばたきながら、頭頂部をぽかぽか叩いてくるアリーセをなだめつつ、ソーニャはおみやげのバスケットを引き渡す。


「ママ、ワグルーの家、作ったぞ!」


 少女の姿のワグルーに修道服(しゅうどうふく)のスカートを引っ張られ、ソーニャは城内の廊下(ろうか)を引き回される。


「わたしの部屋にテントが張られてるー!?」


 ソーニャが寝室(しんしつ)に割り当てられた部屋に入ると、床の真ん中に子供用サイズのテントが張られていた。支えるためのロープが部屋を横断し、ロープの先は床に()かれた絨毯(じゅうたん)ごと、打ち込まれたペグで固定されている。


「あー、せめてワグルーの部屋決め、済ませてから出ればよかったよ」

「ワグルーのママじゃないでしょ!」

「わふ! テント入れてやらないぞ!!」


 (おのれ)の留守中に、人生で初めて手に入れた私室の半分を失ったソーニャは、取っ組み合いを始めた魔族(まぞく)の子供たちを残し、ふらふらと部屋を出る。


「ソーニャ様❤ お(つか)れさまでしたァ!」

「ぐふぅッ!」


 気を抜いた横っ腹に、レーネのタックル気味の抱擁(ほうよう)を受け、ソーニャは低い呻き声を漏らす。


大聖女様(だいせいじょさま)とヤり合って生きて帰るなんて、マジパねぇです、ソーニャ様❤」

「やり合ってはいないよ? お茶飲んでお菓子出して貰っただけだから」

朝飯前(あさめしまえ)って意味?」

「違うけど。あ、アシュレ、マナありがとね。助かったよう」


 レーネが首から下げる小瓶(こびん)をのぞき込み声をかけると、(びん)の中の水が応えるようにちゃぽんと()れる。


 シリルの庇護下(ひごか)に入ったレーネだったが、ソーニャがアメルハウザー伯爵(はくしゃく)の城に戻ると聞き、そのまま付いてきたのだ。

 人の多いトラーシャより、堅牢(けんろう)山城(やましろ)のほうが安心だとの言い分だが、ソーニャにくっついていられるからというのが本音のようだ。


「レーネはハスレに帰んなくていいの?」

「帰ってだいじょぶそかは、メルぴが仕入れのついでに調べて報告してくれるって❤」

「メルぴ? ああ、宿屋のメルちゃんか」

「シン・マナドリのレシピが完成したら、いっしょに売り(さば)――違った、(おろし)ルートを開拓(かいたく)する約束なんだ」


 ぽろっと口を(すべ)らせるレーネに、ソーニャは思わずジト目になる。


「え? あれ全国に売るつもり? ハスレでは聖堂騎士団(せいどうきしだん)がお得意様(とくいさま)だからよかったけど、国に目を付けられるようなもの作ったら、今度こそ破門(はもん)からの牢屋(ろうや)行きだよ?」

「だいじょぶだいじょぶ。今度は飲めばテンション爆上(バクあ)がりで、リピートしたくなる商品(しょうひん)目指すだけだから。合法的(ごうほうてき)に❤」

「えぇー、だいじょうぶかなぁ」


 それから数か月、ソーニャは伯爵(はくしゃく)の状態を確認しつつ、近隣各地(きんりんかくち)のマナの流れや、魔晶石(ましょうせき)(そだ)てると(おぼ)しき施設(しせつ)探索(たんさく)を続けていた。


        §


「あんたさぁ、入ってくれりゃ売り上げが爆上(ばくあが)がりするんだから、もうちょっとシフト増やせないのか?」

「うへぇ、頑張(がんば)ってみるよ」


 トナルを訪れるたび、女将(おかみ)はソーニャに給仕服(きゅうじふく)を着せ、働かせようとする。

 アリーセが城から持ち出す宝石や金貨があれば、西方辺境(せいほうへんきょう)を渡り歩く程度の路銀(ろぎん)には、困ることはないのだが――


「なんか、ちっちゃい女の子のお金を頼りに生活するなんて、聖女どころか、大人としてどうかって話だしねぇ」

『聖女様が、生足晒(なまあしさら)して客に酒呑ませるのも、どうなんだよ?』

「自分でお金(かせ)いでるんだから、働かないフテネルにとやかく言われたくないよ!」


 大聖女(だいせいじょ)クローディッドと対面した際、フテネルとは(たが)いに面識のあるような口ぶりだった。

 あれ以降、クローディッドと面会する機会があっても、フテネルは姿を現さない。どうにも気になるソーニャが(たず)ねてみても、


『知るか! あんな恩知(おんし)らず!!』


 とへそを()(おこ)るだけで、どんな関係なのか、いまだに教えてはもらえない。


 シリルはよりいっそう大聖堂(だいせいどう)でのお(つと)めに(はげ)み、ソーニャとも西方辺境(せいほうへんきょう)で行動を(とも)にする機会(きかい)が増えた。

 西方大聖堂(せいほうだいせいどう)滞在(たいざい)する、クローディッドに呼び出されることも多く、危険な北方への旅の準備を続けているようだ。


        §


 ソーニャが定例(ていれい)となった、伯爵領(はくしゃくりょう)のマナの流れの調査(ちょうさ)から帰還(きかん)すると、お留守番(るすばん)を言いつかっていたの魔族(まぞく)の子供たちが、()(ばし)を渡った先の正門まで、出迎(でむか)えに来ていた。


「ママ―、おかえり!! 今日はアリーセ主催(しゅさい)で、ワグルーの歓迎会(かんげい)とレーネのありがとう会、それに、ママの毎日お疲れ様会を開くよ!!」

「最近外に連れてけって言い出さずに、大人しいと思ったら。わたしが最後のつけ足しみたいのが気になるけど、アリーセ、何をするのかな?」


 アリーセに手を引かれ、ワグルーに押されて進むと、庭園(ていえん)の奥に木製(もくせい)(へい)(かこ)われた一角があり、白い湯気が上がっているのが見える。


「ソーニャ様、ついにやりましたぜ……」

「あれ? みんななんか()せた?」


 元・傭兵(ようへい)、現・城の警護兼(けいごけん)庭師兼(にわしけん)雑役夫(ざつえきふ)たちが、(うつ)ろな笑みを浮かべソーニャに道を開ける。(へい)のその先には、お湯をたたえた石造りの浴場(よくじょう)造成(ぞうせい)されていた。


「レーネがアシュレのために、マナの豊富(ほうふ)水源(すいげん)を探してたら、偶然(ぐうぜん)温泉(おんせん)見付けちゃいました❤ 毎日マナドリ飲ませてあげてるのに、おっさんらがよわよわすぎ。おかげでお披露目(ひろめ)するまでに、ちょっと時間掛かっちゃいましたけど❤」

「それ、ちゃんと大丈夫なほうのマナドリ?」


 ごめんねぇと、レーネの代わりに暴言を代わりに()びつつ、ソーニャは興味深(きょうみぶか)げに(へい)の内側の(あら)()見渡(みわた)す。


「ママ、あったかいよ! 早く入ってみようよ!」

「に……()られるのか……」

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