帰る前日
現在俺は、姫と父さん、王と4名のみで応接室にて説教を受けていた。
「うーむ。使徒を叱りつけるのはどうかとも思うがいくらなんでもやり過ぎであろう?」
「そうだよハル。それに内密にしようと言ったのはハルなのに、あんなに人に見られたら誤魔化すのが大変なんだよ?分かってる?王が皆んなに口止めはしてくれたけど」
「すみましぇん。」
俺は素直に頭を下げる。
「それにシスカ。お前も何故決闘などという危険な行為をしてしまったのだ?」
姫は俯いたまま答えない。
反抗期って奴か?
王は悲しそうな表情を浮かべ1つ溜息を吐き、俺を見る。
「ハルよ。娘が迷惑をかけた事、誠申し訳なく思う。決闘の条件をどう決めたのかは分からんがハルの事を信頼し、何卒ご慈悲をお願いしたい。この通りだ。」
王はいきなり打って変わるように真剣な眼差しで俺の目を見ると跪いた。
「え?な、にゃんで?」
その王の行動に姫は驚きをみせていたが、俺自身も驚き動揺する。
それを見た父さんがフゥと呆れたように一息吐いて俺に尋ねる。
「ハル、もしかして知らないでやったの?」
「えっ!何?」と訳がわからない俺に父さんは説明してくれた。
「いいかい。決闘というのはね。相手が承諾したが最後、絶対に敗者は相手側の条件を飲まないといけないんだ。これは法で決められた事で王も簡単には覆す事は出来ないんだよ。それが死であってもね。」
「そうなの!!?」
エゲツない法だな!
ってか拒否権あったんだ!!
よくよく考えたら当たり前か。なかったら政治が崩壊する。
何で頭が回らなかったんだ俺!
「で、どうするのハル」
父さんの一言で王と父さん、そして姫に緊張の糸が走る。
条件か‥。
うーん。何でもしていいと言われれば女の大人だったら‥ムフフ。
ってバカ!!!俺のバカ!!!
今何を考えたんだ?ゲスいぞ!!
俺はそんな人間では無い!!
本当なんだからな!断じてだ!!
皆んな!勘違いしちゃダメだぞ!!
「えーと。じゃ、じゃぁ姫様と友達になりたいと思いましゅ。」
「な!なんと!!?」
王は目を見開き驚く。
「ハルよ。ほ、本当にそれだけで良いのか?」
「えぇ。」
俺はそう言って笑顔で返すと、王は目に涙を浮かべて俺を抱きしめた。
「感謝する!!」
苦し!!
そんな俺の条件に歓喜する王に対して父さんも満足そうだ。
そして俺は姫に視線を送ると姫は唖然とした表情を浮かべていた。
王の羽交い締めから逃れると、俺は姫の側に行き、手を差し出す。
「なので姫様はこれから俺の友達でしゅ。宜ちくね。」
満面の笑みで言うと、姫様は少し頬を染め上げフイっと顔を背ける。
「し、しかたないわね。なってあげるわよ!じょ、条件なんだし。」
そう言って姫は俺の手を取り握手を交わした。
こうして事は事無きを得た。
それから3日後。
俺と父さんは明日領土へと帰る日となった。
「えぇ!!明日帰るの!!?何で!?聞いてない!!」
俺とチャコが居る子供部屋で一際大きな声で俺に駄々をこねる姫様。もといシスカ。
この3日とコミュニケーションを取るためクリエティブを駆使し、新しい人生ゲームや、オセロなどを紙で作り遊んだ結果、すっかりと懐いてしまい、「わ、私を友達と呼ぶならシスカと呼びなさい!」と上から目線で言われ、今ではシスカと呼んでいる。
またオセロに限っては父さんや王までもが興味を示し、ルール説明後、王城にある魔道書を見せてもらうのを条件に夜中まで付き合わされた。
良い子は早く寝ないと身長伸びないんだよ?
っつか幼児を夜中まで付き合わすでない!
「せっかく友達になれたのに‥」
悲しそうにするシスカの肩にチャコが手を乗せ優しく声をかける。
「姫様。それではハル様を困らせてしまいますよ。」
だがシスカが出した答えは「嫌!!」
やっぱりしっかりしているように見えてここは子供だな。
「ちかたないんだ。母しゃんもきっと帰りを待ってるだろうち。」
「むぅ。知らない!!!」
そう言ってシスカは顔を膨らましたまた部屋を飛び出していくと「姫様!!ちょ、ちょっと待っていて下さいねハル様!!す、直ぐに戻りますので。」といってチャコもシスカを追いかけるように部屋を出た。
その慌ただしさに、はぁ、と俺は1つ溜息をつくと、ある事を思いだす。
そういや豚は何してるんだろうか?
#城内__ここ__#にちゃんといるだろうか?
帰るのは明日の朝だし、ちょっと様子を見に行くか。
えーと。【#捜索__サーチ__#】。
俺の脳内で半径一キロメートル内に豚がいないかを探索する。
因みにこれも父さんの書斎で見つけた魔導書に書かれていたものだ。
使った感覚としては見えると言うよりもゲームのマップみたいな図が真上展開で脳内に表示され、探す対象がその図の中で赤く点滅する感じだ。
ふむふむ。ん?納屋にいるかと思いきや、その隣の施設にいるようだ。
隣は確か家畜小屋だったかな?
やっぱり豚だから豚小屋ってか?幻獣の名が泣きますな。
さて行きますか。
ってかチャコに何か言われたような?
まぁいいか。
そして俺は家畜小屋に赴くと衝撃の瞬間が目に飛び込み驚愕した。
「ブヒィン!ブヒィン!!ブゴォオ!!」
『おらおらどぉ!次こいど!次ぃ!!!オデ様が女を教えてやるどぉ!!グヘヘへどぉ!』
「ブゴォ!!ブヒィン!!」
それは黒く一際大きな豚が、ダラシない顔をして白い雌豚を犯している瞬間だった。
そして雄豚であろう白い豚達は小屋の隅で魂を抜かれたかのようにヨダレを垂らして倒れこんでいる。
俺は近くにあった農業用のフォークみたいなデカイやつを浮かして手に取る。
フォークは重くフラフラとするが、そのま目を血走らせる豚の背後に回り込み‥
「何をちとるか馬鹿者!!!」
ガコォン!!!『ぐえぇ!!!』
重さを利用して豚の頭にフォークを落としてやった。
〇〇
『むぅ。俺様の神聖なる義を‥。』
頬を膨らませる豚。
ガコン!!『ぐえ!!』もう一度フォークを頭に落としてやった。
「#節度__しぇつど__#を弁えろバカ!!ってかその姿はどうちたんだよ?鼻もまんま豚になってるち。」
『む?あぁこれかど?。これはオデ様の本来の大きさど。鼻は邪魔だから縮めたんだど?なぜなら交尾するには‥』ガイン!!!『ぐえぇ!!』
もう一度頭にフォークを落とす。
「それ以上言わんでよろしい。」
それにしてもデカイ。それにただ太った豚とは違い、脂肪の下には筋肉がある事を感じさせ、威厳すら感じさせる。
大人ぐらいなら軽く背中に乗せれそうだ。
まぁ、中身はバカだけどな。
俺は「はぁ。」と溜息を1つ吐き出すと明日帰る事を豚に説明した。
『む?そうなのか。ならここの豚どもともおさらばか。』
少し寂しそうな表情をする豚。
この場合自分の欲求を満たせない事への悲しみと言うべきか。まぁ、もうさせないけどね。くくく。
おっと、悪い顔をしてしまった。
顔を元に戻すと、興味本位で豚に触れ、ステータスを念じてみた。
==============================
プータン・ベルダリス・グラディラスト 5歳
種族・半幻獣種。
性別・雄。
Lv 10
魔力量10
============================
固有スキル。
夢喰い(Lv:10)硬質化(Lv6)嗅覚(Lv:6)キノコ探知(Lv:10)闇耐性(Lv10)
============================
適正魔法
【#催眠__スリープ__#改】(Lv:10)【#擬態化__パーサニフィ__#】(Lv:10)
============================
何々‥。どうやら見れば幻獣と人間とではステータスの違いがあるようで適正スキルではなく適正魔法で使える魔法が予め決まっているようだ。
それに加護の欄も無かった。
ってか此奴の名前長っ!!!それに結構カッコいい苗字なのに本命プータンとか可愛いすぎだろ!!アホの癖に名前負けしてんぞ!
『ハル!!何でオデを触るど?。』
その一言で俺は我に帰る。
そうだよな。
無詠唱だから自分がステータスを見られているなんてわからないし、むしろ普通に側から見れば黒豚に触れて考えこむ変態だ。
誤魔化しとくか。
「い、いや。乗れそうだにゃと思って。」
『む。オデ様は#雌豚__おんな__#には乗るがど人はのせんど。』ガコン!!『ぐえ!』
「お前に拒否権は無い!」
さて、名残惜しいが明日の早朝には此処をたつ。
せめて景色だけでも目に焼き付けるべく、城の敷地内にある外周りを回ってみるか。
「行くじょ、プータン。」
俺はプータンの上に勝手に跨る。
『なっ!何を勝手に乗って‥て、何でオデ様の名を!?』
「いちゅまでも豚じゃ、家畜豚と区別ちゅかんからな。さぁいけ!」
その後、王と父さんにまた呼び出しを食らったのは言うまでもないだろう。
〇〇
一方チャコは
「ハル様!?ハル様どこに行かれたのですか?ハル様ぁ!!」




