姫様おいたがすぎます。
「さぁ行くわよ!!【サンダーボール】!!!」
人の頭ぐらいの雷弾がバチバチ音を鳴らし、姫の手から俺目掛けて放たれた。
ドガァン!!!
その衝撃で辺りの土を巻き上げ、俺の姿は土煙の中へとのまれた。
それを見た姫はあたかも勝ったかの様にそっぽを向く。
「一応死なない程度にしてあげたけど。次はないか‥ら‥ってえ?嘘でしょ!!!?」
姫は驚き動揺し、見る野次達も驚愕し口を大きく開けていた。
何故なら俺は咄嗟に無詠唱で【マジックバリア】を使ったからだ。
コレは父さんの書斎にあった魔導書の中にあった魔法で、目の前に透明な防御壁を作る魔法だ。
地味に攻撃魔法は書斎で放つ事は出来ないが防御魔法は試す事が出来たので、練習していたのだ。
そして基本、魔法を放つ時には詠唱を行わないといけないようだが、何故か俺は念じるだけでできるということも実証済みだ。
「なっ!何で立ってるのよ!!?」
「何でって、バリアをはったからでしゅかね。」
「ば、バリアー!!?まさか貴方!マジックバリアを使ったとでもいうの!?」
その一言で更に辺りはザワつきだす。
「マジックバリア!?今マジックバリアって言わなかったか?」
「嘘だろ?バリアっていったら上位魔法だぞ。」
「バカ!なら何であの子供、埃1つ体に浴びてねぇんだよ!」
皆の声が俺の耳に入り、思わず高揚感にかられヘラっと顔が緩む。
おっと口元が!と口元を手で正す。
「ってかそもそもちゃっきの魔法は1歳児の子供にむける魔法じゃないだろ!!そこが子供扱いちゃれる理由なのではと俺は思う!」
俺は正す場所は絶対に正す!
俺の言葉に姫様は俯き拳を握りしめ、魔力を集めだす。
どうやら更に怒らせてしまったようだ。
辺りの砂利がまた小刻みに揺れ動きフワフワと浮き上がる。
おいおい。まだなにかする気か?
これはもはや子供の遊びじゃすまされんぞ。さっきの魔法だって子供が撃ち合って良いレベルではないだろ?
ってか何で皆んな止めないんだ?この世界ではコレが普通なのか?
でもまぁ、今はそんな事はどうでもいい。
姫様はおいたが過ぎている!
こうなったら俺も自分の魔法を見てみたいし、当てない程度に威圧してやるよ!
おぉほほほう!想像したら楽しくなって身震いきちゃったぜ。へへへのへぇい!!
また口元がゆるむ。
それに対して姫は更にイラつきを増したのかツリ目で俺を睨みつける。
「そのヘラヘラした顔を次で粉砕してやるんだから!!」
姫はそう言って両手を真上に掲げると、俺と姫の真上に大気を吸い込む様、黒い雲が急に現れた。
そのタイミングで王と父さんがチャコの知らせを聞いて慌てて訓練場にチャコと駆けつけた。
それを見た辺りの者達はすぐに跪くが父さんも王もそれに目もくれず俺達を見る。
「王!!アレを!」
父さんが王にそう言うと王は顔を顰める。
「くっ。シスカ!!」
王はすぐに姫へと呼びかけ、姫はそれに「お父様!?」と直ぐに気づいた。
だがもう匙はなげられた状態だ。
姫は再び俺に向き直り顔を引き締める。
「私の最大魔法!【ライトニングスマッシュ】!!」
ピカ!!ゴゴゴ‥
ドガァァァァン!!!!!!!
俺目掛けて激しい稲妻が迸る。
また砂煙がたち上がる。
これには王も父さんも表情が固まった。
だが、土煙が無くなると同時に現れた無傷の俺を見てさらに驚愕する。
もちろん【マジックバリア】だ。
耐性があるから一度喰らってみるのも実験で良いかと思ったがそこまでの勇気はなく、再度使った。
「な、何なの貴方。」
姫は驚き、後ろへと一歩下がる。
「姫様。僕が勝ったら何でもしていいんでちたよね?」
「なっ!!?」
「姫様には、お仕置きが必要でしゅな。」
「何よ!平民の癖に!私は姫よ!!」
「ほう。姫様でちたか。ですが今は決闘とかいうルールにのっとってやってる決闘でしゅ。自分の言葉に#責任__ちぇきにん__#を持ってこそ大人というものでしゅよ。」
俺の言葉に動揺する姫様。
子供を虐める趣味はないがビビらすに越したことないだろう。それにあの程度なら前に俺がだしたファイヤーボールの方が威力があるとみた。
前の事例もあるし下手に上の魔法を使うよりもファイヤーボール辺りで威嚇ぐらいが丁度いいかもしれん。
俺は手を上に掲げ、手の平にファイヤーボールの弾を出現させる。
ボォォウ!!!
やはりでかい。大きさは通常のボール系の20倍近くあるんじゃないだろうか。
「なっ!!何よそれ!!?」
姫は驚き恐怖する。
そして周りも驚愕し声も出せずにいる。
「何?ってファイヤーボール。」
「嘘よ!!そんなファイヤーボールなんてないわ!それに貴方詠唱すらしてないじゃない!」
むう。信じてもらえないか。ならもう一個詠唱して出してみるか。
「【ファイヤーボール】」
ボォォウ!!!
出来た。
俺の真上に2つの炎の弾がメラメラと燃え上がる。
心なしか辺りの温度も上がった様に感じるな。
姫を見ると驚きのあまり腰を落としていた。
そして周りの野次達も喉を詰まらせたかの様に青い表情を浮かべている。
王と父さんなんかはアゴが外れるんじゃないかと思うくらい開けて石みたいに固まっていた。
やっぱり俺のファイヤーボールは他のファイヤーボールとは違うようだな。
姫もこれで懲りたろう。
「さぁ姫様。負けを認めましゅか?」
迫りくる威圧に姫は何度もクビを立てに降った。
分かればよろしい。
俺は首を縦にふると姫の座る場所からほのかに硫黄の匂いが漂う。
ってかオシッコ漏らしちゃってるし!!
あちゃーやり過ぎたか?
これはこの子の将来に影響するんじゃないか?
なんとか皆んなにバレない様に出来ないものか?
そう思うと1つの魔法を思いついた。
気象魔法。【#大雨__スコール__#】。
勿論言葉には発さず無詠唱で唱える。
すると急に空色が暗くなりポツポツと雨が降り始めた。
「あれ?雨?」
「さっきまであんな晴れてたのに?」
そして徐々に雨は強さを増し、激しく降り始める。
その影響で俺のファイヤーボールは消えてなくなり姫の汚名も守れた訳だが‥
「ちょっ、!なんだ?」
ドドドドドドドド!!!!!!
「痛え!!!この雨痛いぞ!!!」
「な、なんだってんだこれ!!!」
「むぅ!どうなっておる!!?」
「王!!取り敢えず中へ!僕は姫とハルを迎えに行きます。」
そう。とにかく痛え!!!雨が撃的に痛いのだ!!
ギャラリー達もその痛さに悲鳴をあげ散り散りに屋根のある場所へ逃げていく。
どうも俺は普通の魔法でもその倍の威力を出してしまうようだ。
ってそんな悠長な事を考えている場合じゃない。姫が雨に打たれ悶えている。
大人でも痛いんだ。子供ならもっとだ。
まぁ原因俺なんですが‥
と、とにかく【マジックバリア】で身を確保すると、すぐに姫の側に寄りマジックバリアの中へと入れてあげた。
するとその行動に姫は首を傾げる。
「な、何で?」
何で?って聞かれてもな。
「俺がやった事だから‥かな。それよか大丈夫?」
俺はそっと姫の肩に手を置くと姫は俯き具合で「ええ。」と答えた。
しかし困ったな。
俺じゃ姫を運べないぞ?
あっ。#浮遊__レビテーション__#を使えばいいか。と使おうとすると「ハルー!くっ!姫様ぁ!うぉ!」と父さんが痛さを耐えながら来てくれた。
「父さん!!早くこにょ中に!!」
父さんをマジックバリア内に入れる。
「ふぅ。助かったよ。助けにきたのにその必要はなかったかな?」
「ううん。ありがとう。」
父さんはニコっと笑い俺の頭を撫でると踵を返す。
「よし!姫様を中へ」
「うん」




