ベアトリスの趣味
「ベアトリスってさ、普段何してるの?」
出会ってからというもの、仕事をしている姿しか見ていない。ふとそう気づいたので、尋ねてみた。
「私も興味があるね」
「ジャンヌも知らないんだ」
「この子はいつでも私のために働いてくれてるからね。実はオフの姿を見たことがないんだ」
「ジャンヌ様のために働くことが、いまのわたくしの全てでございますから」
「すごく想われてるみたいで羨ましいよ。ジャンヌ」
「もちろんそれは嬉しいことだけどね、きちんと休めているのかなとは前々から思っていたことなんだ」
「お休みはきちんといただいておりますので、ご心配には及びません」
「とはいえ、ずっとこんな感じでね。自分はちゃんと休めてるから問題ないと言いながら、ろくに休暇を取ろうとしないんだよ」
「……うーん。趣味とかないの?」
「趣味でございますか……手芸でしょうか」
「手芸」
「ふむ。そういえば昔はよく、一緒に人形遊びをしていたね。君が人形用の服や小物をたくさん作ってくれたっけ」
「はい。大切に保管してあります」
「本当かい!見にいってもいいかな」
「もちろんでございます」
「ジャンヌも意外と少女趣味だったんだね」
「……意外?こんなうら若き乙女を捕まえておいてかい?」
普段の振る舞いが中性的というか、なんならちょっとヤンチャな男の子ぐらいの印象なんだけど、本人は自覚がないんだろうか。
「……そうだね。そう言われればそうだ。私が間違っていたよ」
「……釈然としない言い方だね」
こないだ大変な目にあったし、変に挑発しないでおこう。
で、ベアトリスの部屋までやってきた。
「この棚がそうです」
人形用の服やバッグ、アクセサリーはもちろん、ドールハウス用の家具もある。この辺りは……料理だ。すごく丁寧に作り込まれている。
「すごいね。数ももちろんだけど、一つ一つがすごく綺麗に作られてる」
「懐かしいなあ。これなんて特に懐かしい。姉上が着ていたドレスがとても素敵だったから、無理を言って再現してもらったんだよね」
「そんなこともございましたね」
「思えば、君はあの頃から変わらず、ずっと私のそばにいてくれているね」
「ずっとおそばにいると、そう約束いたしましたから」
「そうだね。……これからも、変わらず私を支えてくれるかい?」
「もちろんでございます」
友情だなあ。こういうのって心温まるよね。
「ありがとう。ベアトリス……」
「ジャンヌ様……」
……友情だよね?




