ジャンヌの提案
「ねえジャンヌ」
「何か用かい?」
「よかったら、ジャンヌたちのこと聞いてもいい?今までの話から、なんとなく高位の騎士なのかなって思ってるんだけど」
「そうだね。あまり不用意に他人に話すのは良くないんだけど、シアン君なら大丈夫だろう。オボロ君も悪い子ではなさそうだし」
「拙者は誇り高き忍者でござるゆえ」
「私は王国近衛騎士団の副団長だ。ベアトリスは私付きの副官になる」
「近衛なんだ。なんとなく上品な人だなあとはずっと思ってたけど。しかも結構なお偉いさんだね」
「肩書に恥じない気品というものは、備えているつもりだよ。……というよりも、思ったより反応が薄いね」
「実はアリアからそうじゃないかって言われてたからね。でも、ちゃんと聞いておきたくてさ」
「なんだ。君の驚く顔が見てみたかったんだけどな」
残念だあなあ、と首をやれやれと横に振るジャンヌ。
「意外といたずら好きなのかな?」
「人並みにはね。ただ、君はずっと飄々として余裕がありそうだからね。ちょっと違う顔も見てみたくなったんだ」
飄々としてるのはジャンヌの方だと思うけどな。
「気になる相手に、いたずらをしたくなったってことかな」
「……それも少しあるかな」
「えっ」
いつも真っ直ぐにこちらを見て話すジャンヌが、少し頬を染め、俯きながらそう言った。めっちゃかわいい。からかうつもりだったのに、不意打ちでこっちが照れちゃう。
「……ふふ。少しは君の余裕を崩せたかな」
言われてジャンヌを見ると、すました顔でこちらを見ている。
「……これは一本取られたかな」
「一本とってやったね。……おや、見えてきたね」
「ん?ああ、ほんとだ。そっか、もうそろそろ二人とはお別れなのか」
「そうなるね。なんだい?私との別れが寂しいのかな」
ちょっとにやけた顔で行ってくるジャンヌ。真面目な顔で言い返してやりたくなった。
「……寂しいな。今度、また会いに行ってもいいよね?」
「……ふむ。本気で私と別れるのが寂しいと思っているのかな?」
「本気だよ」
「……いいね。君にそう求められると、なんだかつい嬉しくなってしまうな。……ベアトリス」
「いかがいたしましたか」
「ひと足先に戻って、宿舎に客人用の部屋を確保しておいてくれ。二部屋でいいね?」
「拙者でござるか?シアン殿が世話になるというのであれば、拙者も世話になるでござるよ」
「承知いたしました。それでは」
さささっと駆けていくベアトリス。私より全然足が早いぞ。すごいな。
「……急展開だね」
「どうせ今まで散々寄り道したんだろう。なら、少しばかり私の気まぐれに付き合ってくれても構わないじゃないか」
「……そうだね。ジャンヌともっと仲良くなれるのなら、それは嬉しいことだしね」
「拙者とも、もっとお話しようでござるよ。シアン殿」
「もちろんだよ。オボロ」




