またね。ネブラ様
「食えよシアン。アタシが食べさせてやるんだからよ」
「アタシの魚の方が美味しいですよ。シアンさん。なあ。食べろよシアンさん」
両サイドをガッチリ固められてしまった。
「また魚を釣ってきてくれてたんだね。ユキが提案したの?」
「そうですね。もう山菜のストックもなかったですし、用意しておかないと困るかなーって」
「えらいね。ユキ」
「えらいといえばアタシだろうがよ。提案したのはユキでも、実際釣ったのはアタシだぜ。ほら。褒めろよ」
「はっ。テメーはシアンさんが危険な目に遭ってることも知らず、のうのうと釣りしてただけじゃねーかよ。何偉そうにしてんだ」
一方、騒がしい二人を無視して黙々と自分の分を食べていたネブラは、しっかりデザートのドライフルーツまで平らげていた。そして
「よし。皆のもの。聞くのじゃ!」
大きな声で呼びかけた。一応みんな耳を傾けてみる。
「うむ。この度は皆大義であった。わしは心の底から感謝しておる」
「大事なものが見つかって良かったね」
「うむうむ。お主には特に苦労をかけたのシアン」
「たいしたことはしてないよ」
「ははは。謙遜するか。ういやつじゃ。さて、本題じゃがな、お主達はどこか街を目指しておると言っておったな」
「うん。ロクサンヌという街だよ」
「そうじゃったか。まあどこでも良い。わしは実は転移魔法が使えるのじゃ」
「転移魔法?」
「その名の通り、対象を転移させる魔法じゃ。わしはまだ自分自身を飛ばすことはできんが、お主達を街まで飛ばすことぐらい容易い。此度の礼じゃ。今からその街まで飛ばしてやろう」
急な話に驚く一同。自分で偉大だとは言っていたけど、まさかそんなすごい魔法が使えるなんて思ってもみなかったのだ。
「ネブラ様はどうするの?」
「わしか?わしはまあ、ゆっくり飛んで帰るわ。帰ったらどうせ、姉様に説教されるじゃろうしな」
微妙な顔でそう返すネブラ。
「そっか。またどこかで会えるといいね」
「うむ。きっとまた会えるさ。お主は良い星のもとに生まれておる。わしに会いたいと願えば、それも叶うじゃろう」
「……まあ。探し物見つかって良かったわねネブラ。また会いましょ」
「うむ。ネブラ様じゃ」
「もう落とすんじゃねーぞ!クソガキ」
「うむ。お主はまあ。よいわ。直らんじゃろ」
「また会おうね。ネブラちゃん」
「ああ。お主もまあ良い。元気での」
「さよならは言わないぜ」
「……お主も元気での」
ではいくぞ。ネブラがそう言った瞬間、ネブラの頭部にドラゴンらしいツノが現れた。どうやってしまってたんだろう。みる間にツノがぺかーっと光だし、五人は眩い光に包まれていった。
「また会おう。気が向けば、そのうちコンサートにも行ってやる」
最後にその言葉だけ聞こえたかと思うと、気付けば五人は知らない街の入り口に立っていた。ロクサンヌである。




