さすがに不安になったスカーレット〈幕間〉
さすがに遅い。遅すぎる。いくらなんでももう連絡が入ってないとおかしい。まさか砂漠を越えることもできずに力尽きた?でもそんなやわな男には見えなかった。もっとバイタリティに溢れていて。筋骨隆々で。ああシアン。私をそのたくましい胸に抱いて、何も言わず今すぐここから連れ出して!
……ふう。戻ってきた。今日もまたトリップしてしまった。最近だんだん妄想グセが酷くなってきたかもしれない。このままじゃいつ現実と妄想の区別がつかなくなってもおかしくないわ。そんなことを思いながらスカーレットは、本棚の隅から引っ張り出してきた魔術書を広げ、なにやら魔法を唱えた。どうやら通話魔法のようだ。
「……もしもし?聞こえてるかしら。リース。ちょっと頼みたいことがあるのだけれど」
「久しぶりだねスカーレット。しかしなんだい。突然人にものを頼むなんてあんまりらしくないね」
「いいから。数ヶ月前に私のところからあなたのところへ人間の男を向かわせたのだけれど、まだきてないかしら」
「私は知らないよ。というか男だって?天変地異の前触れかもね」
「人が住む世界のことなんて知らないわ。で、その男のことなんだけど、あなたのところから使いを送って、無事に進めているか見てきて欲しいの。本当なら今頃あなたのところに辿り着いていてもおかしくない頃なんだけど」
「ふむ。君のところからだと、エルード、ロクサンヌ、アドリアを通ってくる、といったところかな。一応使いは出しておくが、あまり期待はしないでおくれ」
「助かるわ」
「ふむ。リズリー!」
「お呼びでしょうか。ご主人様」
「どうせ聞いてたんだろ?男を探しに行ってきてくれ。褒美は……ほら、これで美味しいものでもたくさん食べてこい」
「ははー」
何やら新たな出会いの予感?




