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022▼場所:『ハイビームが眩しい小部屋にて』……語り手:『やさ男』

 ◆◆◆場所:『ハイビームが眩しい小部屋にて』……語り手:『やさ男』

「お前がやったんだろ! そうなんだろ。そうだと言え! 『女子高生』に(みだ)らなことをやっている『性犯罪者』め。なぜ、お前はあのようなことをしたんだ? 我々、警察が来なかったら、あのままお前の毒牙にかけていたのだろう。暗闇にまぎれて、暴行を働いて。――そうか。お前が一連の『解体(バラバラ)殺人』の犯人だったんだな。あのように、いたいけな少女を暴行し、市中連れ回しの上、解体して処分するつもりだったんだな! そうか。お前が犯人だったのか。『一斉捜査パトロール』していた甲斐があった。そうか、そうかお前のような学生が犯人だったのか。――なぜやった? 何が目的であのような凶行に及んだんだ!」

 《さぁ、答えろ!》と、『頑固一徹いがぐり』みたいな中年が、『ガンガン』机を叩く。

 ……いや、今時それはねぇよ。

 『強制尋問(クソ眩しい電灯)』をこっちに向けるのもねぇよ。これは何かの『コント』で、警察に対する偏見だろうってぐらいに、『不法逮捕』で『誤認逮捕』で『冤罪(えんざい)』だ! 言葉の定義は微妙に違うっていうか、厳密にも違うけど、ちょっと、『超展開(トンデモ)』過ぎて、俺の理解が追いつかない。

「いや、僕はやってません。僕は犯人じゃない!」

「犯人は(みな)そういうんだ!」

 ……なぁ、誰がこの展開を予想したよ?

 ただの不甲斐ない『甲斐性なし』の『やさ男』が犯人だったなんて、どう推理したらそうなるんだ? 絶対にやっちゃいけない推理だろ。

 そりゃ、『推理モノ(ミステリー)』の中には、『探偵役=犯人』ってのもあるよ。そりゃあ、もちろんあるさ。だけど、今回はどこにそんな描写があったんだ! 

 俺は、ずっと『不甲斐ない』とか『甲斐性なし』って『免罪符』のように言い続けて、『人を殺せない』ほど、どうしようもないってのを『自己主張(アピール)』し続けてたんだぜ?

「じゃあ、そんなに言うんだったら証拠はあるんですか? 僕が犯人だって証拠は。僕が『バラバラ殺人』をやるような証拠はどこにあるんですか? 勝手な憶測で人を犯罪者扱いしないでください。逆に、『名誉毀損(賠償金額400 - 500万円程度)』で訴えますよ?」

 自信を持って、『やってない』と断言します。

 だって、俺はマジにやってません。

女子高生(セミロング)』と『ヤってない』ぐらいにやってません。

「――貴様、本官を愚弄する気か? 『最近の漫画』で知ったような口を聞きおってからに……。『バラバラ殺人』の証拠はなくてもな、『未成年者略取(りゃくしゅ)』および、『強制わいせつ』の現行犯で十分しょっぴけるんだぞ!」

 ……無茶苦茶言いやがる。

「って、何言ってるんですか! アレは僕の大切な人で、ちょっといい雰囲気になってただけで」

 彼女じゃないけど、大切な人ってことにしとく。

 大切な『妹キャラ』であることには違いないし。

 あれ? これって『偽証罪』?

 「えぇい、何が大切な人だ! 貴様のような『腑抜け(ヤツ)』にあのような可愛い彼女がいるはずないだろう!」

 ……何気に酷いことを言う。

 それは『名誉毀損』ですって。

 しかも、『大切な人』ってのを『彼女』って『勘違い(ミスリード)』したぞ、この人。

 ……それに、今、可愛いって言った?

 ついでに、『未成年者略取』ってあの状況でそんなのわかんのか? 『セミロング(アイツ)』は制服も着てなかったのに、この『学生の町・松長(まつなが)』にゃ、僕みたいな大学生は山ほどいるんだぞ?

 どうやって断言してんだ……。

「落ち着いてください。僕は本当に何もしてない。ただ、彼女が取り乱してたから、落ち着かせてただけで」

「だったら、ここに呼べ。『証言』を取ってやる。今すぐここに呼べ」

 ――また、無茶苦茶なことを言う。

「それはできませんよ。彼女が驚いてたのは、知らない人に追い掛け回されたってことでです」

「なに、他に犯人がいたのか?」

 ……おいおい。鏡を見ろ。

 『捜査令状』も無しに勝手に家に来たんだろうが。

「なに、言ってんですか。警察にいきなり追いかけられたら、普通はびっくりしますよ。僕だって(げん)に驚いて逃げ出しそうになったじゃないですか?」

「それはやましいことがあるから逃げるんだろ!」

 いやいや。どういう理論かわかんねぇから。

「それに聞くところによると、お前の『アパートのベランダ』に、『女物の制服が()されてた』そうじゃないか。一人暮らしの男の家にそんなものあるほうがおかしいだろう?」

 なに、そんなものあったのか。

 ……あー、そういえば、『セミロング』が洗濯していたような気がする。

「いやっ、あれはですよ。彼女がいるからですってば。一人暮らしって言っても、同棲することもあるでしょう? そうすれば、衣服が紛れて洗濯されることもありますよ。何かおかしいことありますか?」

 うん、同棲してるのも本当。

 ……ニュアンスとしては、同居が正解だけど。

 彼女ってのは嘘です。やっぱ、『偽証罪』になんのかな……。

 いや、彼女ってのは、『she(彼女)』って意味の彼女で言ってるだけだから、嘘は言ってないな。

 それによくよく考えれば、『偽証罪』の対象は『法律により宣誓した証人』の『法廷証言』に限られるからあてはまらないな。

「だったら、やはり彼女を呼べ。そして、その証言が確かなら認めてやる」

 ……だから、それやると困る。

 警察に会うと、『セミロング(アイツ)』はどうなるかわからない。

 それは僕にもわからない。

「こだわりますね。わかりました。僕も腹をくくりましょう。『弁護士』呼んでください」

「――なに、弁護士だと!」

 そうです。アレです。

 『アメリカ映画』とかでよく捕まったときにある、『君は弁護士を呼ぶ権利がある』ってヤツは、日本にもありますんで。『セミロング』のことを調べてるとき、見つけました。

 微妙に法律に詳しくなったのも、そのせいだったり。――ネットの力は偉大です。

「えぇ、そうです。僕は弁護士に知り合いはいませんが、『日本弁護士連合会(日弁連)』に連絡すれば、『当番弁護士』を呼べるはずです。いや、呼べます。『憲法第三四条』で、『何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに『弁護人』に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない』とありますんで、お願いできますよね?」

「――くっ」

「お願いします。『刑法二百二十条』で、『不法に人を逮捕し、または監禁する行為』は、『逮捕・監禁罪』にあたり、『法定刑は三月以上七年以下の懲役』のはずです」

 たしか、『Wikipedia(ウィキペたん)』がそんなことを言ってた。

「貴様、本官を脅迫するつもりか?」

 堅物のおじ様が逆に脅迫する語気で返してくれます。

 ――勘弁してください。

「脅迫ではなくて、お願いです。ただ、僕は『弁護士』を呼んで欲しいだけです。僕の無実を証明するだけです。もし、『不法に逮捕された』ことで受けた心身の疲労が『心的外傷(トラウマ)』で、警察を見ただけで『過呼吸』を起こすようになったり、おかしくなるかもしれないし、『Web日記』に今日あったことを、いつもの習慣で、『つれづれなる日常のつれづれなる思い』をありのまま(つづ)ってしまうかもしれません。その結果、ネット上で、荒れに荒れて世論がどうなるかは僕にはわかりません。ただ、僕は『弁護士』を呼んでもらいたいという当たり前のことを言ってるだけですから」

 うん、普通に思ったことを喋っただけです。

 当然の権利ですよ。僕は本当に何もやってないんだから、マジで『被害者』ですって。下手すると、学校で指差()されちゃうんだよ! 「うわっ、アイツこの前逮捕されてたんだぜ」って。そんな悪い噂が流れて、『就職』とか『近所付き合い』に響いたら、どうしてくれんの。

 ――マジで、解放してください。

 『セミロング』がどうなったか心配なんです。

 ここで、『三文芝居』やって、話の流れを『グダグダ』にしてても仕方ないっての。

「彼を解放してやれ」

 と別の声。

 なんか、ちょっと雰囲気が違う、『偉い人』が登場。

 さっきまで僕を問い()めてたおじ様とは違って、スタイリッシュで有能そうな紳士の振る舞い。

「でも、しかし。コイツは私に酷いことを言って……」

 ばつの悪そうにおじ様は、『上司(?)』に不満を漏らすが、上司は軽く(たしな)める。

「いや、彼の恩師の『白眼鏡』という教授に連絡がついてな。彼の無実を話してくれたよ」

 《迷惑をかけてすまない》と、『偉い人』は感情を込めた親身な口調で、僕を解放してくれた。

 ……先生感謝です! 『偉い人』感謝です!

 さっきの一悶着で、ケータイ落としてました。

 実家の番号だと思ってたのに、覚えてたのは、『白眼鏡』の番号だったみたいです。

 ――あれ? おかしいな。自分の家を間違えるはずはないのに、『記憶違い』だったとは。

 僕も『ショートヘア』みたいに番号を覚えられる『記憶力』が欲しいもんだ。

「すいません、お騒がせしました」

 と、僕は警察署を後にする。

 一時はどうなるかって思ったけど、助かった。本当に『白眼鏡』教授(先生)には感謝だ。今度、挨拶しにいかないといけないな。

 だけど、なんか警察の僕を見る目が気になった……。

 ――なんかスッゴい、哀れまれた気がする。でも、なんでだろう?

 人として失ってはいけない何かを失った気がする。

 ――まぁ、たぶん、キノセイだよな。

 きっと、『尋問中のストレス』から解放されて、『突然の自由』を味わった反動だぜ、きっと。

「――へい、そこの兄ちゃん。シャバの空気はどうだい?」

 よく知った声。

 警察署から出た僕をその声が呼び止めた。

 それは黒塗りの『MOVEカスタム』に乗った女の声で。

「あぁ、最高にハイってヤツだね。ついでにドライブと洒落込みたいぐらいだ」

 と僕は運転手に返す。

「いいね、お客さん。どこまで行こうか?」

 助手席に乗り込む僕に彼女は尋ねる。

 だから、僕は当たり前のように答えた、

「そりゃ、決まってんだろ。『つまんねぇ都市伝説』に幕を下ろそう」

 そうして車は動く。

 ――『悲劇か喜劇』かわからない『都市伝説(三文芝居)』を終わらるために。



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