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そろそろあたりは暗くなってきて、俺たちはコンビニで買ってきたアイスを近くの公園で黙々と食べていた。
「おい、ガキ」
木のスプーンを咥えながら、こちらを見る。
「流石にハーゲンダッツは可愛げねーんじゃねえか」
スーパーカップとかにしとけよ。
「ガキじゃない。マキ」
太々しく言う。
「…あーそうですか。マキさんはお高いアイスが好きなんですね」
「さんはいらない」
なんなんだこいつは。
「…殴られたのか?」
愚問だった。見ればわかることを、魯鈍な俺は考えなしに聞いてしまう。
意味のない質問。
ガキ…、マキは静かに頷いた。
こんなことを聞きたくはなかったのだ。もっと本質的なことを聞きたいのだ。
「誰に、されたんだ。それ」
「…嫌な話はやめよう。あたし花火がしたい」
腫れた瞼から覗く瞳は雄弁に現実逃避を語る。
「ゆうた、あたし花火がしたいんだ」
「…なんで俺の名前、」
知ってるんだ。そう聞こうとした時、肩に手が置かれる。
「おにーさん、ちょっと話いいかな」
振り返ると警察官がいた。あれ、これ幼女誘拐とかになんのか?
よくない未来が容易に想像出来てしまい、変な汗が出る。
大丈夫だ、なんら後ろめたいことなんてないのだから、堂々としよう。
そう決めた瞬間、警察官の顔面にハーゲンダッツが勢いよく投げられた。
「逃げよう! ゆうた!」
な、何してんだこいつ!?
マキは俺の手を取って、あろうことか走り出した。俺も俺で、なぜかそれについていってしまう。
「くっ、お前ら! ちょっと待て!!」
逃げるしかない。唐突な展開に頭がくらくらしながら、俺とマキは手を繋ぎながらがむしゃらに熱い夜を駆けていた。
「あは、あははっははっは!!!」
少女は走りながら笑っていた。
「な、何がそんな面白いんだよ」
息も絶え絶えに俺は聞く。
「だ、だってゆうた、あ、あたしがアイス投げた時の顔が面白すぎて」
なんなんだこのガキは。
とにかく、俺たちは逃げるしかない。
ただひたすらに。




