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【17万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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リクエストIF・SS  カナの休暇2

SSのはずだったのですが……?

3人のにぎやかな休暇に、もう少しお付き合いいただければと思います。

午後の陽射しが少し傾きはじめたころ、二人を乗せた馬車は王都を後にした。

街外れを抜けると、石畳はやがて緩やかな土の道に変わり、両脇には夏草の揺れる丘が広がっていく。


「この先に、山に近い湖がある。別荘は、その湖畔に建っているんだ」


窓辺に身を乗り出すようにして、サラが説明する。


「湖……」


「うん。ボートにも乗れるよ。

風のない日は水面が鏡みたいで、とてもきれいなんだ」


馬車の外では、遠くの山並みが少しずつ近づき、山肌を覆う深緑が目に鮮やかだった。

道端では、農家の人々が籠を抱えて帰路につき、すれ違うたびに穏やかな笑顔を向けてくれる。


「母と兄は、明日の朝に来る予定だよ」


「じゃあ、今日は二人だけなんだね」


「そうだね。夕暮れ前に着くから、荷を解いたら少し湖まで散歩しよう」


馬車の中は、窓から入る澄んだ風の匂いで満ちていた。

王都の喧騒が遠ざかり、これから始まる湖畔での休暇が、二人の胸に静かに広がっていく。





やがて、馬車は森の小道へと入った。

両脇の木々が作る緑のアーチをくぐり抜けると、

視界の先に白い壁と赤茶色の屋根を持つ瀟洒な建物が現れる。


「着いたよ。ここがうちの別荘」


サラの声には、どこか誇らしさと安堵が混じっていた。

玄関前で馬車が止まると、管理を任されている年配の執事が出迎え、荷物を受け取ってくれる。

館の中は木の香りがほのかに漂い、落ち着いた空気に包まれていた。


「やっぱり荷解きは後にして……せっかく明るいうちに着いたから、湖まで行こう」


サラは軽やかにカナの手を取った。

別荘の裏手から続く小道は、柔らかな草の匂いを運び、遠くから水のきらめきを反射させている。


やがて木立が途切れると、夕陽を受けた湖面が視界いっぱいに広がった。

水面は金色に揺れ、ゆるやかな波が岸辺の小石を優しく撫でている。


「……すごい……きれい……」


カナが息をのむと、サラは満足そうに微笑んだ。


「明日はボートに乗ろう。

湖の真ん中から見る朝は、もっと素敵だよ」


岸辺に立ち、二人はしばらく言葉もなく、その景色を見つめていた。

夕暮れの光と湖の静けさが、これからの休暇の始まりをゆっくりと告げていた。



湖から戻ると、別荘の玄関前に、見慣れた姿が立っていた。


「……えっ? ミリア!?」


カナが思わず声を上げると、ミリアはにやりと笑って両手を広げる。


「やったー! サプラーイズ!!

サラ、ちゃんと秘密にしてくれてたんだね!」


振り返ると、サラがいたずらっぽく唇を上げた。


「驚かせたくて。内緒にしてたんだ」


「もう……本当にびっくりした」


カナは笑いながら、ミリアと軽く抱き合った。


そのまま三人で食堂へ向かうと、テーブルには温かなスープや焼きたてのパン、

香草を添えた肉料理が並び、窓の外には湖面に映る夕暮れの光がちらちらと揺れていた。


「三人で過ごせるなんて、思ってなかった。とっても嬉しい!」


「せっかくの休暇だからね。賑やかな方がいいだろう?」


サラの言葉に、カナとミリアは顔を見合わせ、同時に笑った。

食後は暖炉の火を囲み、学院での出来事や、湖での遊びの計画を語り合う。

外はすっかり夜の静けさに包まれ、湖の水が岸を撫でる音だけが響いていた。

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