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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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学院祭1

年に一度の学院祭は、三日間にわたり行われる。


初日と二日目は、精霊科と魔術科による華やかな出し物が校内を彩り、

騎士科では、熱気あふれる大会予選が繰り広げられる。


最終日の三日目は、騎士科の本戦と決勝が学院祭の締めを飾り、

全員がその壮絶な戦いに見入るのが恒例だ。


その学院祭が、ついに幕を開けた。


朝の鐘が鳴り響くと、校門前から中庭にかけて色とりどりの布飾りが揺れ、花びらが風に舞っていく。

甘い菓子と焼きたてのパンの香りが漂い、生徒たちの笑い声がそこかしこに響いていた。


精霊科が用意したのは――《光の庭》。

噴水のある中庭に設けられた特設庭園では、観客が円を描くように集まり、

精霊科の出し物を今か今かと待ち構えていた。


初めて大勢の前に立つカナは、胸が苦しくなるほど緊張していた。


(こ、こんなに人が……)


手のひらは汗ばみ、胸の奥で風の精霊の囁きがくすぐったく響く。


『大丈夫、カナ』


小さな風が耳元を撫でるように囁き、カナは深く息を吸った。


リオナが、透明な氷の花を次々と生み出し、噴水に浮かべていく。

陽の光を受け、氷がきらめいた。


カナはそっと目を閉じ、胸元のペンダントに触れ、風の精霊に語りかける。


(お願い……きれいに、光って)


 ──瞬間、柔らかな風が吹き抜け、氷の花に光が屈折し、噴水全体が虹色の光で包まれる。

柔らかな風が観客の頬を撫で、花びらのような光が空に舞う。


観客からは歓声と拍手が上がり、子どもたちは虹を掴もうと手を伸ばす。 

時間ごとに演出が変わり、光の帯が花々の間を舞うたびに、来場者から感嘆の声が上がった。


カナはようやく緊張がほどけ、小さく笑みをこぼす。


「わぁ……きれい……!」


子どもが目を輝かせ、母親の手を握りながら声を上げる。

カナは少し照れたように笑いながらも、風の精霊に優しく語りかけた。


(みんな、ありがとう。もう少しだけ……お願いね)


光がふわりと強まり、氷の花びらが虹色に煌めく。





――昼過ぎ。


フェリルが来場者の対応を終えると、ミリアに言った。


「ミリア、カナとセオも。

次の回は俺らがやるから、休憩してきて。他のところにも行きたいだろ?」


「うん、ありがとうフェリル!」


ミリアが元気よく答え、カナも小さく頷く。


「じゃあ、お願いね……」


「うん。ゆっくり楽しんできて」


マリスがにっこり笑い、背中を押してくれた。


三人は人混みを抜け、魔術科の出し物が行われている大ホールへ向かう。


ミリアとセオと並んで中庭を抜けると、遠くから魔術科の舞台からの音楽が聞こえてくる。

大ホールの扉を押し開けると、すでに多くの観客で埋め尽くされ、

舞台上は幻想的に彩られていた。


そこでは、光と幻術を駆使した“精霊の舞”が始まろうとしていた。


舞台全体が星空のように輝き、客席まで淡い光が降り注ぐ。


観客は包み込まれるような幻想的な雰囲気に息を呑み、

魔術師たちが織りなす舞が始まるのを、今か今かと待っていた――。


カナは胸を高鳴らせ、二人と並んで席に着いた。

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