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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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学院祭前日

昼下がり――。

学院の中庭では、翌日に迫った学院祭の準備が進んでいた。


カナは精霊科の仲間たちと一緒に、噴水周りで”光の庭”の飾り付けをしていた。


「なあ、この辺り、もう少し花びらを散らしたほうがいいんじゃないか?」


「ごめーん! このランタン、ちょっと持ってくれる?」


みんなの明るい声に包まれ、カナも自然と笑みを浮かべながら動く。

小さな精霊たちがひらひらと舞い、飾り付けられたアーチやランタンに、柔らかな光を落とす。


「わぁ……なんだかおとぎ話みたい……すごくきれいね」


カナが呟くと、ミリアが隣で笑う。


「本番はもっとすごいよ! 夜になったら、光で庭が輝くんだから!」


セオも笑顔を見せる。


「カナが倒れたって聞いて、ほんと心配したけど……。

こうして笑ってる顔が見られて、よかった」


カナは二人に向かって照れくさそうに笑うと言った。


「ありがとう……明日、みんなで楽しもうね」


「うんっ!」


「……ああ、そうだね」


噴水の水面に揺らぐ光は、明日の学院祭を静かに祝福するようにきらめいていた。






放課後。

午後の柔らかな光が礼拝堂のステンドグラスを透かし、

カナは今日も祈りの訓練に臨んでいた。


セレスタンとレイナルトが立ち会い、祈りの言葉が静かに響く。


まずは導きの祈り。

精霊たちがふわりと現れ、淡い光を纏って応える。


しかし――


「……癒しの祈りを、やってみます」


カナは決意を込めて手を組み、祈りを紡いだ。

けれど光は揺らぐだけで、形にはならない。


「浄化の祈りも……」


同じように試みるが、結果は変わらなかった。

俯いたカナの肩がわずかに震える。


「……どうしても、できません……」


セレスタンは近づき、そっとカナの肩に手を乗せた。


「カナさん、君はもう十分に役割を果たしています。

導きの祈りが、どれほど尊く、どれほど人々を照らす力を持っているか――。

君の祈りは、必ず人々に届きます」


カナは顔を上げ、涙ぐんだ瞳でセレスタンを見つめる。

セレスタンの声は静かで、けれど力強かった。


祝祷者(しゅくとうしゃ)とは、道を示し、希望を灯す者です。

君がすでにできているのは、その一番大切なことなのです」


カナの胸に、じんわりと温かな光が満ちていく。


彼女はそっと涙を拭うと微笑む。


「……はい、学院長先生……。

私、導きの祈りをしっかり捧げます」


レイナルトが横で安心したように頷く。

そのまま訓練は、導きの祈りを穏やかに繰り返した。

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