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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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特別課題と特別授業

夕食を終えたカナは、寮の机に向かっていた。

窓の外には月が静かに浮かび、庭を淡い銀の光で照らしている。


昼間の授業でレフルから渡された特別課題は、精霊との契約理論や基礎術式の書き取り。


「特待生として、少しでも早く基礎を身につけてくださいね」という励ましの言葉と共に渡されたものだ。


先ほどやっと契約理論のレポートを終え、次の基礎術式に挑む。

カナはペンを握りしめ、丁寧に術式の文字をなぞっていく。


「くぅーっ!難しいー!

……魔法とか、術式とか……全然知らないことばっかり」


それでも、頭の中に浮かぶのは、精霊たちの柔らかな笑み。


――もっと知りたい。

――精霊たちを、ちゃんと理解したい。


そんな思いが背中を押し、夜が更けるまでペンを動かし続けた。






翌朝、精霊科は自習日。

しかし、カナには別の予定が用意されていた。


特別授業。

今日は、精霊庁から上官が来るのだという。


朝食の席で、カナはテーブルに突っ伏した。


「いいなぁミリア。自習でしょ。助けてー」


「あはは、無理無理ー!」


遅くまで勉強していたカナのクマが濃い。

サラが笑って言う。


「はいはい。諦めなよ、カナ。

っていうか、すごい顔だよ。

あ、学院行く前に私の部屋寄ってね」


「?」


カナが首をかしげると、ミリアが笑って言う。


「わかったー! サラ、カナにメイクしてあげるんだね!」


「正解」


「えっ! そうなの?

わー! 嬉しい! ありがとう!」





サラにメイクしてもらい、クマをきれいに隠し、上機嫌で学院に向かうカナ。


(そういえば、前世ではメイクってリップくらいだったっけ……)


カナの中で、メイクは一”陽キャ”キラキラ女子たちがするものであって、自分には縁が遠かった。


(あー……ダメだ。疲れすぎて思考がネガティブになってる……)


半ばぼーっとしながら歩いてると、後ろから声がかかる。


「カナ、今日の特別授業は、私も同席することになっている」


その声にカナは飛び上がった。

慌てて振り返り、頭を下げる。


「お、おはようございます。レイナルト第一王子殿下!」


レイナルトは軽く首を振り、穏やかに微笑む。


「そう固くなるな。行こう」


連れ立って学院の講義室へ向かうと、重厚な扉の前で待っていたのは――


「……えっ? エリアスさんっ!?」


思わず声が上ずる。

濃紺の制服を纏い、背筋を伸ばしたエリアスが微笑んだ。


「よお、カナ。元気だったか? まさかまた会うとはな」


その懐かしい声に、カナの目に自然と涙が浮かぶ。


「エリアス、さん……」


「うぉっと! おいおい、ちょっと、カナ、大丈夫か?

と、とりあえず部屋に入ろう!

あっ……と、すみません、殿下。ご挨拶が遅くなりました。よろしくお願いいたします」


エリアスは慌てたように言い、二人を部屋へと案内する。

中には、整然とした魔法陣や資料が並んでいた。


カナが落ち着いたころを見計らって、エリアスが声をかける。


「さて、カナ。今日は君の精霊感応能力を、より詳しく測る。

俺も上級官として、この授業に加わることになったんだ」


エリアスの声はいつもより少しだけ真剣で、カナは自然と姿勢を正した。

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