↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/721

放課後の庭にて

午後の授業が終わり、教室の喧騒が徐々に静まっていく。

ミリアが勢いよくカナの腕を取った。


「カナ、こっちこっち! 今日のあれ、絶対話さなきゃ!」


そう言って、半ば引っ張るようにして学園の中庭へと連れ出す。

石畳を抜けると、噴水のそばの木陰にサラが座っていた。


彼女は涼しげな瞳で手を振る。


「待ってたよ。って……どうしたのミリア。

なんかすごく興奮してない?」


ミリアが大きく頷きながら笑う。


「あのねあのねサラ、カナ、すごかったんだから!!

精霊がぶわーってあんなに集まるなんて、もう伝説級!

“光の愛し子”ってみんな言ってるんだよ!」


カナは少し頬を染め、視線を落とした。


「……あんなに来てくれるなんて、びっくりした」


サラが肩をすくめ、優しい声で言う。


「カナ、それがあなたの才能ってこと。

遠慮しないで受け止めなさい」


その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。


「……ありがとう。二人がいてくれて、心強いよ」


 ミリアがにかっと笑い、カナの肩をぽんと叩く。


「当然でしょ! これからは三人でいっぱい楽しいことしようね!」



*



そんな和やかな空気の中、背後から軽やかな声が響いた。


「やあ、サラじゃないか」


振り返ると、金の髪に澄んだ紫の瞳を持つ、美貌の青年が立っていた。

まるで絵画から抜け出た天使のような微笑み――


彼は迷いなくサラに近づき、甘く柔らかい声で言う。


「今日の授業、我々は完璧だったね。

君と僕の連携は、きっと学院一だ。これからも、頼りにしているよ」


サラは落ち着いたまま軽く会釈する。


「ありがとうございます。

また明日も、よろしくお願いします」


 青年はその言葉に優雅な笑みを返し、

「楽しみにしているよ」とだけ告げて、去っていった。


残された空気は、どこか香り立つようだった。


しばしの沈黙。ミリアがポカンと呟く。


「……何あれ、すごいイケメン……」


「サラ、お友達?」


カナの声に、サラは首を振る。


「第三王子、ユリアン・ノクトス・ヴェルデン殿下。

魔術の連携授業で、相性がいいみたい」


「「ええっ!!」」


カナとミリアの声が重なる。


「そ、そんなすごい人だったんだ……」


カナが驚きの声を漏らす。

ふと、頭の中でレイナルトの顔が浮かぶ。


「レイナルト殿下が第一王子で……。え? 第二王子は?」


 サラは迷いなく答える。


「ああ、第二王子は留学中らしいよ。戻ってくるのはまだ先だって」


ミリアが目を丸くしてサラを見つめる。


「サラって情報通だねー! そんなことまで知ってるなんて」


サラは少しだけ笑みを浮かべた。


「噂はいろいろ耳に入ってくるものさ」


木漏れ日の下、三人の笑い声がやわらかく響く。

しかし、カナの胸の奥には、さっきのユリアンの視線がかすかな棘のように残っていた。


――笑顔はあんなに優しいのに……


どうしてだろう、笑みの奥に、ほんの一瞬だけ、影のような冷たい光が見えた気がした。

カナは胸に小さなざわめきを覚えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。