入学翌日
朝の鐘が鳴り、学院全体が静かに目覚めていく。
カナは特別寮のホールでミリア、サラと共に朝食をとっていた。
昨日よりも肩の力が抜け、会話に笑みが混じる。
朝食を終え、三人で学院の廊下を歩く。
ステンドグラス越しに柔らかな光が差し、廊下に色彩が踊る。
「……えっと、サラは魔術科だっけ?」
カナの声に、サラは頷くとカナに笑顔を向ける。
「そう。わたしはあっち。
……大丈夫だよ、カナ。そんな顔しないで。初日はみんな戸惑うものさ。
わからないことがあったら、わたしかミリアに遠慮なく聞いて。
じゃ、またね」
サラの落ち着いた声に、カナの緊張が少し和らいだ。
「ありがとう、サラ……」
サラと別れ、ミリアがカナを精霊科の校舎へ案内する。
「ここがね、私たちの教室!
カナも授業に出られるようになったら、ここに座るんだよ」
ミリアは笑顔で教室を指さす。
机が並び、明るい雰囲気が漂っていた。
「カナは……今日はオリエンテーションだったよね?」
「うん……」
ミリアは足を止め、廊下の突き当たりにある扉を指すとカナの方を向いた。
「じゃーん!……ここが今日のオリエンテーションをする教室だよ!
じゃ、わたしは授業に行くねー!
また後でね!」
ミリアは明るく手を振り、教室へ駆けていった。
残されたカナは、少しだけ不安げに辺りを見回す。
広大な学院の敷地、初めて訪れる精霊科の棟――
それでも昨日よりは心細さが薄い。
ミリアやサラが「またね」と言ってくれるだけで、心が支えられていた。
「……よし」
カナは扉の前でひと呼吸置き、静かに取っ手を握った。
この部屋の中で、学院長セレスタンと精霊科の教師たちから、
精霊科としての最初の説明を受けることになる――




