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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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寮での午後

案内を終え、特別寮の前に戻ると、レイナルトが歩みを止めた。


「これで一通りの案内は終わりだが……大丈夫か?」


カナは深く頭を下げる。


「殿下……本日は、私のためにお時間を割いてくださり、本当にありがとうございました。

とても貴重な経験をさせていただきました」


レイナルトは軽く首を振り、穏やかに微笑む。


「気にするな。

明日からの授業、きっと不安もあるだろうが……焦らず進めばいい」


その言葉に気持ちがほぐれ、カナはもう一度頭を下げた。


「……はい。頑張ります」


レイナルトが軽く頷き、背を向ける。


「困ったことがあれば、遠慮なく声をかけるといい。では、また」


その背中に深く頭を下げて見送ると、

カナは小さく息を整えてから、特別寮の扉を押し開けた。





「カナ、こっちー!」


広い食堂に入ると、窓辺のテーブルからミリアが勢いよく手を振る。

隣にはサラも座っており、にこやかにパンをちぎりながら声をかける。


「ちょうどお昼を頼んでおいたところだよ。座って」


カナは二人の隣に腰を下ろすと、温かいスープと焼きたてのパンの香りがふわりと立ちのぼった。

少し肩の力を抜きながら、自然に笑みをこぼす。


「ありがとう……もう、お腹ぺこぺこだよ」


ほっと息をついた瞬間、ミリアが興味津々に身を乗り出す。


「それで、午前中どこに行ってたの? 」


カナはパンをちぎりながら答えた。


「うん。学院長先生に会ってきた。明日、オリエンテーションがあるんだって。

授業のこととか、今後の話をいろいろ聞いたの。

……あと、レイナルト王子殿下が同席されてて、それで……」


最後の方は声が小さくなってくる。

カナは下を向くと、少し恥ずかしそうに答えた。


「……殿下が、わざわざ学院内を案内してくれたの」


ミリアは目を丸くして声を上げる。


「えーっ! 殿下が直々に!? 信じられない!」


「ちょっと! ミリア、声が大きい」


サラがたしなめる。


「わたしもびっくりしたよ……緊張で心臓が口から出るかと思った」


カナは思い出して笑みを浮かべる。

ミリアは微笑むと、少し声を落とす。


「で、どうだった? いろいろ回ったんでしょ?」


カナは精霊樹での出来事を思い出し、胸の奥が温かくなる。


「うん。いろいろ回ったけど、やっぱり一番は精霊樹かな。

……すごくきれいで、光がたくさん舞ってた。

……それに、精霊が、肩に……」


ミリアがまたもや声を上げそうになるのを、サラがやんわりと押さえて言う。


「すごいね……そんなことが起きるなんて」


ミリアは嬉しそうに笑う。


「やっぱりカナってすごいなぁ!

それで、明日からはわたしと同じ教室なんだね!何も心配いらないよ!」


カナは二人のまっすぐな瞳に少しだけ驚き、胸がじんわりと温かくなる。


「うん……ありがとう、ミリア、サラ。

わたし、頑張るね」


ミリアが明るく笑い、サラも頷く。

その笑顔に、カナも自然と微笑みを返した。

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