131 ヘンリー様との決別
階段を降りたところで、ヘンリー様とルナ様が寄り添いながら歩いてきたところに出くわした。
真っ白なウェディングドレスに身を包み、白いガーベラを中心としたブーケを持ったルナ様は、誰が見ても清らかで可愛らしい花嫁だった。
「あ・・・・・・・」
思わず身体が固まったが、それはヘンリー様とルナ様も同じだった。
ヘンリー様は信じられないものを見たように目を見開き、ルナ様は、ぼうっとアルバート様を見つめた。
アルバート様は、ただ冷たい目で二人を睥睨している。
(王弟のアルバート様が、自分たちの披露宴にいたらびっくりするわよね・・・)
寄り添う二人を見ても胸は少しも痛まなかったし、アルバート様の隣にいる自分を見せつけて優越感に浸ろうとする気持ちも湧いてこなかった。
そんな自分にホッとして、ヘンリー様たちに頭を下げる。
「このたびは、ご結婚おめでとうございます」
「あ、もしかして、その声はアンナか・・・?」
「え?アンナ様?」
私だと思わなかったのか、ヘンリー様とルナ様が驚いたように私の顔を見つめてくる。
まさか私がアルバート様と一緒に披露宴会場にいるなんて、思ってもいなかったのだろう。
ヘンリー様は、口をあんぐりと開けたままだ。
「ど、どうして、アンナがアルバート殿下と一緒に・・・?」
「ああ。アンナ嬢は私の友人だからな」
アルバート様が何でもないことのように口にした瞬間、ヘンリー様の頬の筋がぴくりと引き攣った。
「友人・・・?」
「ええ。そうです」
私たちの婚約は、まだ正式には発表されていないため、ここは友人で通したほうがいいだろう。
気付かれないように、そっと左手の位置を変えて指輪が目立たないようにした。
ヘンリー様は、頭からつま先まで、まるで品定めをするかのように、さっと視線を走らせた。
私の装いを確認すると、一体どうしたことか、ヘンリー様の顔が、徐々に険しくなっていった。
嫌な予感がした途端、ヘンリー様はいきなり声を荒げ、怒りの感情を爆発させた。
「おい!アンナ!!アルバート殿下と友人だったのか!?俺はそんなこと、全然聞いてなかったぞ!」
「えっ・・・?」
ルナ様は思わず肩をすくめ、目を大きく見開いたままヘンリー様を見つめた。
ヘンリー様にそのつもりはないのかもしれないが、私たち女性を脅かすには十分すぎる迫力だった。
アルバート様がすぐさま私の前に出ようとしたため、私は咄嗟にその身体を片手で押し留めた。
アルバート様は眉を顰めたが、口を挟むことはせず、ただ隣に立ってくれた。
「なんでそんな大事なことを、黙っていたんだよ!」
「別に黙っていたわけではありません」
「黙っていたんだろ!?」
「アルバート様とは、ヘンリー様から婚約を破棄された後に知り合ったんですよ」
いきなり怒鳴りつけるように声を荒げたヘンリー様は、先ほどのホランド伯爵とそっくりだ。
自分の意に沿わないことがあると、まるで全てが自分に背いているかのように、すぐに怒りをぶつけてくる。
「それでも俺に言うべきだろ!?」
「どうしてヘンリー様に、わざわざ言う必要があるのですか?」
「言えよ!大事なことだろ!!」
「ヘンリー様には、関係のないことでしょう?」
「大ありだろ!!!」
「聞くが、私と友人だと知っていたら、どうかしたのか?」
私の意図を汲んで静観していたアルバート様だったが、その沈黙も限界だったのだろう。
ついに、低く抑えた声で口を挟んできた。
感情を抑えた声とは裏腹に、アルバート様の眼差しには明確な軽蔑が滲んでいる。
「え・・・、あ、いや」
「私とアンナ嬢が友人だとして、君にそれが関係あるのか?」
「・・・いや、その」
「そもそも私たちは、君がアンナ嬢との婚約を破棄した後に知り合ったのだ。君は関係ないだろう?」
「・・・・・・あ、は、はい」
(・・・・・・ヘンリー様ったら、最低ね)
私がアルバート様の友人だと知った瞬間、ヘンリー様はきっと計算を始めた。
ルナ様か、それとも私か。
私を選べば、アルバート様への伝手が得られ、出世の可能性も開ける。
そう考えたからこそ、愛するルナ様を切り捨て、私との復縁を思い描いたのだろう。
でも、私がその有益な情報を与えなかったと、怒っているのだ。
(たとえそう思ったとしても、隣にルナ様がいるのだから、言葉に出したらいけないわよね)
悪気はなくても許されないことがあることを、そろそろヘンリー様も覚えたほうがいい。
ただ、それを諭す役目はもう私ではない。
「アルバート様」
小声で囁き、アルバート様の腕を少し引いて帰りを促す。
騒ぎに気付いたのか、二階からこちらを覗いているような気配がする。
私たちは、披露宴を台無しにしたいわけでも、ヘンリー様たちの仲を壊すためにきたわけでもない。
これ以上ヘンリー様と会話をせずに帰ることが、一番いいだろう。
アルバート様も小さく頷いてくれた。
「ヘンリー様。私とホランド伯爵とのお話は済みました。披露宴は都合により出席できなくなってしまったため、今日はこのまま失礼させていただきます」
(・・・・・・返事もしないのね)
王族のアルバート様に無礼な態度を取っている認識はあるのだろうか。
その場に立ち尽くしたまま、ヘンリー様は動かない。
ヘンリー様の拳が震えているのは、アルバート様が恐ろしいからなのか、それとも見下されたことへの苛立ちなのか。
あるいは、私という役に立つ駒を手放したことへの後悔か。
(・・・ルナ様は、さっきのヘンリー様をどう感じたのかしら?)
決定的な言葉を口にしなくても、ヘンリー様が私とルナ様を天秤にかけたことは、容易に理解できたはずだ。
怖くて、ルナ様の顔を見ることができなかった。
立ち去ろうとする意思を込めて、アルバート様の腕をそっと強く握った。
アルバート様はわかったと言うように頷くと、踵を返してくれた。
玄関扉が目の前に迫ったその瞬間、背後からヘンリー様の大きな声が追いかけてきた。
「おい、待てよ!お前、浮気したんだな!?」
「・・・・・・・・・・え?」
「俺からアルバート殿下に乗り換えたんだろ!?」
(ヘンリー様は、何を言っているの?)
驚いて振り向けば、顔を真っ赤にして怒りを浮かび上がらせたヘンリー様がいた。
アルバート様に乗り換えたと言われたら、乗り換えたことになるのだろう。
だが、ヘンリー様とはすでに婚約を破棄しているし、何も問題はないはずだ。
「そのドレス!ネックレスにイヤリング!どれ一つとっても、お前が買える代物ではないよな!?」
「え、ええ、まあ」
「『友人』なんて言いながら、本当は殿下の『恋人』なんだろ!?」
「正式には発表はしてないが、そうだ。なにか問題でもあるのか?」
アルバート様が不快そうに眉を顰めるが、興奮しているのか、ヘンリー様は気に留めた様子はない。
追いついたルナ様が、ヘンリー様の袖を慌てて引っ張ったが、すごい形相で振り払った。
「ああ!大ありだよ!浮気じゃないか!!」
「・・・ヘンリー様。私とアルバート様が知り合ったのは、ヘンリー様との婚約を解消した後です」
「ああ、さっき聞いたよ。でも、それとこれとは関係ないだろ!なんでそう簡単に乗り換えるんだよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(・・・意味がわからないんだけど?)
自分の理解を超えてしまい、自分の耳がおかしくなった気分になる。
ルナ様のみならず、アルバート様まで困惑した表情を浮かべている。
「アルバート様とは、ヘンリー様から婚約を破棄された後に知り合ったんですよ?」
「ああ、それは聞いた」
「ヘンリー様との婚約を破棄した私が、誰とお付き合いしようと、ヘンリー様には関係ないですよね?」
「いや、あるだろ!」
「え!?」
「だって、アンナは俺のことを愛しているだろ!」
迷いなく言い切るヘンリー様の様子に、どう反応すべきか戸惑ってしまう。
「・・・いえ、愛していませんよ」
「何でだよ!だってアンナは、俺のことが大好きだろ!?」
「どこをどうしたら、そんな考えになるのですか?昨日お会いした時に、ヘンリー様は言いましたよね。私たちに『愛情はなかった』と」
「『俺は』な!でも、アンナは違うだろ!お前は、俺を愛しているはずだ!!!」
(どういう理屈!?)
理解できずに戸惑うが、ヘンリー様は目を細めて私を見据え、唇の端をわずかに上げるだけだった。
その視線には「わかって当然」という断定が滲んでいたが、まるで意味がわからない。
「・・・・・・ヘンリー様、申し訳ないのですが、おっしゃっている意味が分かりません」
「毎月俺に荷物を送ってきただろ!?俺が好きだからこそだろ!?」
「・・・いいえ。婚約者の義務として送っていただけです」
「義務?」
「ええ。義務というとか、婚約者に対する心遣いみたいなもの、とでも言えばいいでしょうか」
本当は「義務」ではなく、ヘンリー様と少しでも心を通わせたいためだったが、絶対に口にしない。
あの頃の私の思いは、箱に閉じ込めて暗いの海の底に沈めたい。
いや、もう鍵をかけて、鎖でぐるぐる巻きにして沈めた。
「でも、ヘンリー様は、一度だって喜んではくださらなかったですよね?」
「ああ、それはそうだけどな。だって仕方がないだろ。お前、センスないし。気に入ったなんて嘘はつけねぇよ」
(・・・それでも、お礼くらい言ってくれてもいいと思うけどね)
別に感謝されたくて送っていたわけではない。
でも、好意を当然として受け取られると、気持ちは冷めていくのが普通だろう。
まして、こんなふうに貶されるのだから、胸の奥の嫌悪感は抑えきれない。
私の能面のように無表情な顔を見て、慌てた様子でヘンリー様が言葉を付け加えた。
「あ、でも、シャツは役に立った。それに、ハンカチの刺繍も!」
「・・・・・・ヘンリー様に、頼まれたから送っただけです」
「そ、それはそうだが、でも、愛してるからこそ、俺の頼みを聞いてくれたんだろ!?」
「違います。ヘンリー様の希望を叶えることが、婚約者の務めだと思っていたからです」
「ちょっと待てよ、なんでそんな酷いこと言うんだよ!アンナは俺のことが好きだよな!?」
(どっちが酷いことを言ってると思ってるの!?)
ヘンリー様は、私の好意を利用していた、と言っているだけだ。
そして、婚約者としての気遣いだけで、私に愛されていると思い込んでいたヘンリー様に、心底驚かされる。
たとえ私がヘンリー様を愛していたとしても、浮気された時点で、そんな思いはどこかへ消え去る。
どうして、いつまでも私がヘンリー様を愛していると思えるのか。
「今はもちろん、婚約していた時も好きではありませんでした」
「なんでだよ!?」
「なんでって、ヘンリー様はわからないのですか?愛情は、一方的に受け取るものではなく、お互いに渡すものですよ?」
「は?何を言ってるんだ?お互いにってなんだよ?」
(私、ヘンリー様の母親じゃないんだけど・・・?)
ヘンリー様の思考は、まるでまだ何もわからない幼子のようだ。
私が3年間婚約していた人は、こんなにも幼稚な人だったのだろうか。
自分だけ愛情が注がれるのを当然だと思い、返そうとは思わないのか。
小さな声でアルバート様が「馬鹿なのか・・・」と呟いたが、無視する。
アルバート様に突っ込んでいる場合ではない。
「ヘンリー様、何もしなくても愛されるのは幼子だけですよ?私たちは大人ですよね?」
「ああ、そうだ!」
「それなら、私たちの関係がおかしかったことは、わかるんじゃないですか?」
「そんなことはない!俺だって、アンナにしてやった!」
「じゃあ、聞きますが、婚約していた3年間、私はヘンリー様に対してお手紙や贈り物をしましたが、ヘンリー様は、私を気遣うようなことをしてくださいましたか?言ってみてください」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「思い出せないでしょう?だって、ヘンリー様から何もいただいていません」
「え、い、いや、いや、そんなことはない!か、か、菓子!俺だって、王都から菓子を買ってきたじゃないか!!!」
「・・・まさか、3年間も婚約していたのに、贈ったのは手土産の菓子だけだったのか?」
鬼の首を取ったかのように言ったヘンリー様に、アルバート様が呆れた目を向ける。
ルナ様の視線は、先ほどからヘンリー様から一切動かない。
焦っているせいか、ヘンリー様は声をわずかに震わせながら、言い訳を口にした。
「だ、だって、アンナは、別に物なんて欲しくなかっただろう?それに俺、金がなかったし!」
「・・・欲しい『物』はありませんでしたが、私を気に掛ける『優しい言葉』は欲しかったですよ。ヘンリー様は、一度だって私を気遣う言葉をかけてくださりませんでしたよね。そんな方に、どうして好意を抱くことができるのですか?」
たとえお金はなくても、言葉や態度でいくらでも愛情を示すことはできるだろう。
でも、それさえもなかった。
「え、待てよ。じゃあ、本当にアンナは、俺のことが好きじゃなかったのか?」
「ええ、そうです」
「だけど・・・」
「今も昔も、好きではありません。もう婚約も破棄しましたし、私たちは、今後一切関係ありません」
あまりの言葉の通じなさに、はっきり言ってしまった。
すると、なぜかヘンリー様は焦って私に縋ってきた。
私に利用価値があると思ったからなのか。
それとも、自分に向けられていると信じていた愛情が、最初から存在しなかったと知り、それを惜しんだのか。
「あ、ちょっ、ちょっと待てよ、アンナ。俺が悪かった。悪かったから、そう怒るなよ」
「いえ、別に終わったことですので、もういいです」
「そんなこと言うなよ。俺が婚約指輪をルナに買ってやったから拗ねてるんだな?あれは、ルナが欲しいと騒いだから買いに行ったんだ。俺から言いだしたことじゃないんだ」
どうしてヘンリー様は、こうも無自覚に人を傷つけてしまうのだろう。
ヘンリー様の言葉を聞いた瞬間、ルナ様の白い肌が一瞬で朱色に染まった。
(あ・・・、まずいわね)
別に二人の仲を悪くさせようと思って、披露宴に来たわけではないのだ。
プライドを傷つけられたルナ様のため、慌てて言葉を添える。
「ヘンリー様、それが答えですよ。お金に余裕がなくても、ルナ様にはしてあげようと思ったのでしょう?ヘンリー様はルナ様のことが大事だから、ルナ様のことを思いやることができるんです。お二人の間には『愛』があるんですよ」
「いや、でも」
「ヘンリー様は、私に『真実の愛を見つけたんだ』とおっしゃいましたよね?」
「あ、ああ」
「ルナ様との『愛』が、ヘンリー様にとっての『真実の愛』でしょう?」
「あ、ああ、そうだな」
「『真実の愛』は、一つあれば十分でしょう?」
「ま、まあ、そうだが」
(なんなの?その煮え切らない答えは!?)
ルナ様からの愛を受け取っておきながら、私からの愛も欲しいなんて、どういう了見なのだろう。
ヘンリー様は私を捨てておきながら、私がずっとヘンリー様を想い続けるものだと思っていたのだろうか。
あまりの身勝手さに、ぞっとする。
「私もヘンリー様と別れて、『真実の愛』を見つけることができました。ヘンリー様も、ご自分の『真実の愛』をどうか大切になさってください」
「え、いや」
「これで失礼しますね」
「あ、おい、待てよ、アンナ!話は終わってないぞ!!」
ヘンリー様が私の腕を掴もうとしたその瞬間、アルバート様が間に割って入り、その手を強く押し退けた。
押し退けられたヘンリー様は、よろめいてバランスを失い、無様に尻もちをついた。
「あ、痛っ!何すんだよ!!暴行罪で訴えるぞ!!!」
叫びたてるヘンリー様を、アルバート様が怒りを帯びた目で冷然と見下ろす。
アルバート様の瞳には温もりなど微塵もなく、冷たい光だけが宿っていた。
その瞳の冷たさは、人を切り捨てる刃のようで、普段の優しいアルバート様を知る私の目にも恐ろしく映った。
「アンナ嬢に何をしようとした?いいか、覚えておけ。彼女は私の大切な人なのだ。彼女を粗雑に扱うということは、王家全体を敵に回すことに等しいのだ。これからは、それ相応の扱いをしなければ、どんな目に遭うか、分かっているだろうな」
アルバート様の言葉に、今更ながらその存在を思い出したのか、ヘンリー様の顔はみるみる真っ白になった。
ルナ様は、尻もちをついたヘンリー様に駆け寄ることもせずに、その場に突っ立っているだけだ。
アルバート様に恐れを抱いて動けないのか、それとも別の感情があるのか、ルナ様の瞳からは何も読み取ることはできない。
「アルバート様、ヘンリー様はこれから披露宴がありますし・・・」
「わかっている。私からすれば腹が立つが、お前に何もしないようアンナ嬢に頼まれたからな。アンナ嬢の優しさに感謝しろ。今日はこれで失礼する」
アルバート様は私との約束を思い出したのか、眉を顰めながらも頷いてくれた。
ヘンリー様は、アルバート様の射貫くような視線の前に、口をぱくぱくと動かしているだけだ。
そんなヘンリー様の隣で、ルナ様は唇を引き結んだままじっと私を見ていた。
口は動かないのに、瞳だけは私の心を読み取ろうとするように視線を外さない。
(・・・何か、ルナ様に言うべきかしら?)
でも、どんな言葉をかけていいかわからない。
結局、ありふれた言葉を口にすることしかできなかった。
「どうか、お幸せに」
「・・・・・・ええ、ありがとうございます」
嫌味ではなく、本心からの言葉だったが、ルナ様がどうとらえたかはわからない。
声をかけた瞬間、ルナ様の背筋がすっと伸び、静かな覚悟が表情に滲んでいた。
あれほど可憐で守りたくなるようなルナ様だったのに、今はなぜか強さを感じた。
「それでは、私たちは失礼します」
「ええ。お越しいただき、ありがとうございました」
(・・・そういえばルナ様は、動じていなかったわね)
無様なヘンリー様を目の当たりにしても、ルナ様はあまり驚いた様子ではなかった。
勝手に、ルナ様はヘンリー様の表面的な魅力に惹かれたのだと思い込んでいた。
だが、ルナ様はヘンリー様の本質を見抜いていたのかもしれない。
それでもなお、ルナ様はヘンリー様を愛しているのだろうか。
目の前で見せたヘンリー様の無神経な振る舞いを思うと信じられない気もしたが、ルナ様にとっては、ヘンリー様こそが「真実の愛」なのだろう。
座り込むヘンリー様の横で毅然と立つルナ様は、可愛らしさとは程遠かったが、不思議と心惹かれるものがあった。
ヘンリー様の視線を背中が痛いほど感じたが、振り返ることはせずにホランド伯爵邸から外へ出ていく。
私にとって、ヘンリー様はもう過去の人だ。
秋の優しい光が、私とアルバート様を祝福するように包んでくれていた。
お読みいただき、ありがとうございます。
ブクマ、評価をしていただきありがとうございました。
男性は「フォルダ保存」、女性は「上書き保存」と言われますが、実際はどうなのでしょうか。
明日はルナ視点「ルナの決意」を更新予定です。
よかったら、引き続きお付き合いください。




