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外房漂着ブロンドちゃん 〜床下の菩薩、若者組と海女(アマ)になる〜  作者: 塩塚 蘭仮名


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【第40話:外房伊勢海老の祝宴】

お読みいただき感謝です!

異国船を追い払った村で、超贅沢な伊勢海老祭りが開催されます。

お酒の入ったお咲ちゃんの、ちょっぴりエッチで無防備な姿に注目です!

「おい! 見ろべ、見ろべ! 

異国の黒船の不気味な帆が、水平線の彼方へすっかり消えていくぞ!」


「勝った……! 

俺たち、あの鉄の大砲や火縄銃を持った大軍勢に、

一味同心で本当に勝っちまったんだべさ!」


「名主様! 庄屋の旦那! 

約束通り、今夜は大盤振る舞いの一大祝勝会を開いてけろ!」


「ガハハハ! 分かっておるわ! 

今日はワシが床下に秘蔵していた極上酒を、

すべて長屋の広場へ運ばせてやるべ!」


 外房の広大で荒々しい海に、再び輝かしい平穏な朝が訪れた。

 敗走する異国船の不気味な影が完全に水平線の彼方へ消え去ったのを見届けた瞬間、

それまで恐怖に怯えてうら寂しかった漁村の空気は一変し、

地鳴りのような歓声と共に一気にお祭り騒ぎの熱気へと突入していった。


今夜は、若者組と海女の衆が己の命を懸けて異国の女神――

お咲を完璧に守り抜いた、村の歴史残留物最大の大祝勝会であった。


「そら、どんどん乾いた薪をくべろ! 

広場の篝火(かがりび)を夜通し絶やすんじゃないぞ!」


「兄ちゃん、これを見てけろ! 

庄屋の糞ジジイが奮発して用意してくれた、外房名物の超高級な伊勢海老だべ!」


「うわあ、信じられねえデカさだべさ! 

髭もハサミも真っ赤に怒ってやがるぞ! 美味そうだべ!」


 夜の帳が静かに下りる頃、長屋の広場には勢いよく巨大な篝火が焚かれ、

香ばしい潮の匂いと煙が路地一帯に立ち込めていた。


 赤々と燃える炭火の上で豪快に焼かれ、

パチパチと心地よい音を立てて殻が真っ赤に爆ぜる伊勢海老の数々。


さらには、海女たちが命懸けの奇襲の応酬の合間に、

冷たい海底から密かに獲り溜めていた特大の大アワビがずらりと並べられ、

村の若者たちの気勢は早くも最高潮に達していた。


「お咲ちゃん、ほら、この焼き立ての伊勢海老の身を食べてみなよ! 

お江戸の殿様だって滅多に口にできねえ贅沢品だべさ!」


「はい、ありがとう、頭(かしら)! 

……わあ、ぷりぷりして、すっごく、すっごく『お・い・し・い!』わ!」


 お咲はよね婆から手ほどきを受けたばかりの日ノ本の単語を連発しながら、

白く瑞々しい指先で伊勢海老のふっくらとした身を掴み、

勢いよく口へと運びかぶりついた。


 着物の袖を大きくまくり上げ、はだけた美しい首筋からじんわりと

健康的な汗を流しながら、頬を熟した林檎のように赤らめて

美味しそうに微笑むその肉感的なしぐさ。


その圧倒的な美しさと色香から、すぐ隣に座る太助も次郎も、

完全に魂を抜かれたかのように目が離せなくなっていた。


「ネエちゃん、口の端っこに海老の赤い味噌がついているべ。

本当に可愛いねぇ……」


「太助、お前さっきからお咲ちゃんの顔ばっかり見てないで、自分の酒を飲みなよ! 

ほら、お咲ちゃんも庄屋様の極上酒、ぐいっといっちゃってちょうだい!」


「ふふふ、日ノ本のお酒、とても甘くて美味しいわ。

なんだか、身体の奥がポカポカしてきちゃった……」


 並々と注がれた強い地酒が回り、すっかり上機嫌になったお咲は、

頭の藍染めの手ぬぐいを取り去ると、満月の光をいっぱいに浴びて

その美しい黄金の髪を激しく振り乱した。


精度、そして、若者組の少年たちや、白い磯着をはだけた海女たちと

次々に固く肩を組み、賑やかなお囃子のリズムに合わせて、

妖艶かつ心底楽しそうに踊り明かし始めたのだ。


「タスケ! ジロー! 

あなたたち、私のために命を懸けてくれて、本当に、本当にありがとう!」


「ひぇっ!? ネ、ネエちゃん!? いきなり何をするんだべ!」


「うわあああ! 顔が、お咲のネエちゃんの顔が近すぎるべぇえ!! 

鼻血が出るべ!」


 酔った勢いで満面の眩しい笑顔を咲かせたお咲は、

太助と次郎の首の後ろへと、その柔らかく白い両腕を優しく、

しかし力強く絡みつかせた。


そして、自らの豊かな胸元を兄弟の浅黒く鍛え上げられた胸へ

とぴったりと押しつけるようにして、熱い不意の抱擁を交わしたのである。


 お咲の肉体から放たれる甘い潮の香りと、

息をのむほどに柔らかい感触に包まれた瞬間、

太助と次郎は激しく鼻血を噴き出しそうになりながら、

その場に石地蔵のごとく完全に硬直してしまった。


「ガハハハ! 見たか見ろべ! 

太助と次郎の奴ら、完全に魂を奪われてカチコチになってやがるべさ!」


「太助、次郎、お前たちだけずるいぞ! 

お咲ちゃんの柔らかい腕は、村の働き盛り全員のものだべ!」


「よね婆、この赤面してる悪童兄弟の頭に、

冷てえ井戸水でも容赦なくぶっかけやりな!」


 周囲を取り囲む海女たちや若者組の男たちから、

地鳴りのようなドッと大きな笑い声と冷やかしの叫びが夜空へと巻き起こる。

 かつて南蛮の地の厳格な魔女狩りの恐怖から逃れ、

暗く狭い床下の芋つぼに一人隠され、冷や汗を流して怯えていた孤独な異国の少女。


しかし今や、彼女の周囲には、この剥き出しの熱気と豊かな色香に満ちあふれた、

自らの命を賭して守ってくれる、かけがえのない無敵の「家族」が存在していた。


「(ああ……、私はもう、世界で一番幸せなおなごだわ……。

ここは私の、本当の安楽土よ……)」


 お咲は熱くなった身体を夜風に心地よく預け、夜空に輝く大輪の満月を見上げながら、

深く、そして幸福に満ちた吐息をそっと漏らすのだった。


お咲を囲む村人たちの情熱と、黄金の髪を持つ女神の美しき笑顔は、

この隠れ里の絆をさらに深く、誰にも引き裂けない偉大な神話へと、

艶やかに、色鮮やかに色づかせていくのだった。

大祝勝会、最高にハッピーでちょっぴりエッチな夜でしたね!

お咲ちゃんが村に完全に馴染んで編集者としても感無量です。

次回からは最終章。お咲ちゃんが村に遺す「未来」の物語です!

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