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外房漂着ブロンドちゃん 〜床下の菩薩、若者組と海女(アマ)になる〜  作者: 塩塚 蘭仮名


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【第28話:ブロンド海女、外房の海で『ウンメーリヒ!』】

お読みいただき感謝です!

ついに白い磯着をまとったお咲ちゃんが外房の海へダイブ!

その眩しすぎる抜群のプロポーションと、

初陣にして驚異の素潜り劇をぜひお楽しみください!

「お、おい次郎……見ろべ……。

小屋の戸が、今ガラガラと開きやがったぞ……」


「兄ちゃん、おいら、もう胸がドキドキして張り裂けそうだべ。

本当にお咲のネエちゃん、あの薄手の白い磯着を

身にまとって出てくるんだべか……」


「バカ野郎、声が大きいや! 

あ、あぁ……お、お天道様、

こいつはいったい、どういう奇跡だべ……!」


「おい、後ろの若けえ衆も静かにしやがれ! 

息の音がうるさくて、戸の隙間の衣擦れが聞こえねえべ!」


 ガラリと音を立てて引き戸が開いた磯小屋の前。

 太助と次郎、あるいは様子を伺っていた近隣の若い漁師たちが

一斉に息を呑んだ瞬間、うら寂しい外房の砂浜は、

一瞬にして天上の極楽浄土のごときまばゆい光に包み込まれた。


そこにゆっくりと姿を現したのは、

黄金の髪を白い手ぬぐいでキッときゅっと几帳面へと結び、

真っ白な磯着に身を包んだ異国の女神

――お咲の、あまりにも神々しく、あるいは息を呑むほどに

艶やかな姿だった。


 水に濡れる前から、その薄手の白い木綿布は、

彼女の日ノ本の民とは明らかに異なる、

出るところが出た圧倒的に豊かな肢体の曲線を

これでもかと露骨に浮き彫りにしていた。


眩いばかりの雪のような白肌が、

冷たい冬の陽光を浴びてキラキラと妖しく輝いている。

お咲は男たちの熱い視線に、

はにかみながらその肉感的な身体を少し、くねらせてみせた。


「な、な……『ウンメーリヒ……!』(嘘でしょ、あり得ない!)」


「ブッ……!!」


「う、うわあああ! 

兄ちゃん、鼻血が、

鼻血が地引き網の赤土みたいに噴き出してきたべぇえ!!」


「次郎、しっかりしろ! 

って、俺の鼻からも、止めどなく赤い血が……だくだくと……。

あ、足元がぐらぐらするべ……」


 お咲が放ったあまりにも圧倒的な肉体の破壊力に、

太助と次郎は完全に言葉を失い、


豪快に両の鼻から鮮血を噴き散らしながら、

目の焦点が完全にひっくり返って

砂浜へとバタリと仰向けに倒れ込んだ。


それを見ていた周囲の海女たちからも、

どっと大きな笑い声と驚嘆の叫びが巻き起こる。


「おいおいおい、こりゃ大したもんだよ! 


同じおなごの俺たちでさえ、

思わず見惚れて腰が抜けちまいそうだべ!」


「本当に真っ白で、

まるで熟した上質な割きイカのようになめらかな肌だねぇ!

 

お江戸の吉原の花魁だって、

これには裸足で逃げ出すに違いねえや!」


「ふふふ……。

日ノ本の海女さんの水衣(みずぎ)は、

少し、はしたないわね。


でも、なんだかとても身軽で不思議な気持ちだわ」


「お咲ちゃん、耳の根っこまで真っ赤だべ! 


でもよ、おなごが一度海に入りゃあ、

男の目なんか魚の目玉と変わらねえや!」


「そうさ! 

ほら、潮が満ちてくる前に潜るべ!」


 お咲は海女の頭領である肝っ玉母ちゃんが

豪快に声を張り上げるのを聞いて、

その青い瞳に不敵な光を宿した。


彼女はしなやかな細い四肢を大きく躍動させると、

激しく白波が砕け散る外房の冷たい海原へと、

人魚のごとき美しい弧を描いて豪快に飛び込んだ。


 ザブーン、と冷たい飛沫が上がると同時に、

お咲の全身を容赦のない日ノ本の海の強烈な水圧と、

骨まで凍りつくような北風の冷たさが襲いかかった。


「(……う、ううっ……! 

なんて冷たいの……! 北海(ノルトゼー)の波とは、

まるでお水の重さが違うわ……。

胸が、胸の奥が苦しくて押し潰されそうだわ……!)」


 一瞬、激しい波の洗礼に翻弄され、

水中で手足をバタつかせそうになったお咲。


しかし、彼女はただの大人しい娘では決してなかった。

長年、西欧の荒ぶる大洋を渡ってきた航海船の中で培った、

天文学や気象の知識、


あるいは息を長く持たせるための深き条理

――肺の息を巧みに調える気息の妙技を、

その卓越した知性によって即座に応用したのだ。


「(焦ってはダメよ。呼吸を深く、

海の流れに自分の身体を完全に重ねるの。

親の寝息に重ねた、あの若者宿の夜のように……)」


 お咲が水中で深く息を調えた瞬間、

彼女の身体は一本の滑らかな矢のようになった。


白い磯着の裾を、まるで本物の人魚の尾ひれのように

美しく波間にたなびかせながら、彼女は長年の雨風で削られた、

暗い崖の不気味な隙間へと鋭く滑り込んでいく。


水深深くの暗がりの中、

素人の漁師では見つけることすら到底不可能な、

荒波が激しく激突する岩肌の奥の奥。


お咲の爛々と輝く青い瞳は、

そこにひっそりとへばりついている、

丸々と太った巨大なアワビの姿を見逃さなかった。


「(見つけたわ……! 

これなら、みんなが腰を抜かして喜んでくれるに違いないわ!)」


 お咲は海女の頭領から

借り受けていた頑丈なヘラを白い指先できつく握り締めると、

狙いをすまして岩の隙間へと鋭く差し込んだ。


テコの原理を巧みに用い、渾身の力を込めてグッと手首をひねる。

次の瞬間、海中でゴロリと、

見たこともないほど特大の見事な大アワビが剥がれ落ち、

お咲の白い手のひらの中に収まった。


ザパーーーッ!!!

 外房の激しい水面を激しく割り、

黄金の髪を荒々しく振り乱しながら、

お咲が勢いよく夜明けのような顔を突き出した。


彼女はその瑞々しい白い腕を高く突き上げ、

獲れたてのエト巨大なアワビを太陽の光にかざしてみせたのだ。


「頭、みんな、見てちょうだい! 

獲れたわ! 

本当に大きなお宝が、お底に眠っていたのよ!」


「……う、嘘だべ……!? 

なんだいありゃあ!」


「お咲、おめえ、初めて海に潜ったおなごが、

あんな誰も近づけねえ根回りの奥から

大アワビを切り取ってきたってのかい!?

 

大した大物だよ、こいつは天晴れな天才海女の誕生だべぇえ!!」


「おい太助! 

鼻血を垂らして寝転がってる場合じゃねえべ! 

ネエちゃんが信じられねえ大物を獲ったぞ!」


「ひぇっ!? 

あ、あんなデカいアワビ、おいら見たことねえべ……!」


 水面でお咲が放った、弾けるような満面の笑顔と、

濡れた磯着が張り付いた肉体のあまりの神々しさに、

浜辺の海女たち、


あるいは鼻血を拭いながら立ち上がった太助たちからも、

地鳴りのような一斉の大絶賛の歓声が巻き起こった。


磔獄門という常に隣り合わせの凄まじい危うさを抱えながらも、

床下の芋つぼから飛び出した異国の女神による夜昼問わぬ冒険は、

海の女神たちの心を完全に虜にし、


この漁村の歴史に消えない偉大な神話のページを、

さらに深く、色鮮やかに刻み込んでいくのだった。

白い磯着のお咲ちゃん、あまりにも神々しくてセクシーでしたね!

初潜りで巨大アワビを獲るロジックも流石です。

次回、潜り終えた海女たちの、さらにディープな長屋トークにお咲ちゃんが混ざります!

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