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もう一度

「シルヴァン・レグナール公爵子息、ベアトリーチェ・アイレス侯爵令嬢、ご入場です!」


 司会役の男性がそう大声を張り上げたのを合図に、私は前を向く。


 ――あの日、シルヴァンが殺されてから……本当にいろんなことがあった。


 シルヴァンのいない世界に意味を見出せなくて、巻き戻りの術に手を出した。

 シルヴァンと再び出会って、婚約者になれた。

 学園に入学して、マリベルやエディという友達ができた。

 シルヴァンに初めてプロポーズされて、指輪を貰った。

 ニコラス教授という味方ができて、自分が光魔法を使えると知った。

 闇魔法の存在を知って……黒幕のフローラ教授と対峙した。


 そして、私は今……二度目の卒業パーティーの会場へ、足を踏み入れる。


「ベアトリーチェ、緊張してる?」

「……ううん。今はとても、ワクワクして仕方がないわ」


 隣にいるシルヴァンにそう笑いかけて、私たちは拍手の中を歩く。学園長に挨拶を終えると、いつもの明るい声が私に投げかけられた。


「ベアトリーチェさん、いつも素敵ですけれど……今日のドレスもとっても素敵です!!」

「ありがとう。そういうマリベルもとっても可愛いわ。エディもね」

「あはは、ありがとう」


 そうそう、三年生に上がるころ……マリベルとエディは恋人になったのよね。一年の学園祭のリベンジができたようで、なによりだわ。


 フローラ教授を浄化したあとは、マリベルたちと一緒に色々な思い出を作って……シルヴァンとの仲も、すごく深まったと思う。


 こんなに楽しい友達ができるなんて、一周目の学園生活では全く想像していなかったから、なんだか不思議な気分だわ。


「二人は学園を卒業後、どうするの?」


 私の問いかけに対し、マリベルとエディが顔を見合わせる。それから、マリベルが少し恥ずかしそうに口を開いた。


「実は……卒業したらお互いの両親に挨拶をして、婚約をしようという話になったんです!」

「ふふ、良いわね。式には呼んでちょうだい」

「もちろんです! むしろ、絶対に来てくれないと泣いちゃいますからね……」


 照れ隠しなのか、恨めしそうに私に念押しするマリベルに笑みが零れる。それから、二人に手を振って別れた。


 すると、ウェイターがドリンクを持ってきた。私はドリンクをシルヴァンに渡して、二人で乾杯する。

 シルヴァンが飲み終わったことを確認してから、私はシルヴァンの温かい手を取って、ダンスホールまで連れて行く。


「ダンスの時間が始まるわ。シルヴァン、踊りましょう!」

「あはは、ベアトリーチェは相変わらずダンスが好きだよね。いいよ、もちろん踊ろうか」


 二人でダンスホールの中央まで移動して、ホールドを組む。シルヴァンのロードに合わせながら、音楽に身を任せた。


 私はこの学園を卒業後、光属性の適性を持っていることを正式に公表して……聖女として教会に勤めることになった。

 けれど、私は絶対にシルヴァンと結婚したかったから、結婚式が終わったらという条件付きだけれど。


 私はそんなことを考えながら、シルヴァンの瞳を見る。彼のエメラルドの瞳に映る私は、綺麗に笑っていた。


「……ねぇ、シルヴァン」

「どうかした? ベアトリーチェ」


 私は彼に抱き着きながら、はしゃぐように彼に告げた。


「私のこと、ビーチェって呼んでくれる?」

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