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白雪姫の王子役になったら異世界で縁結びの神になっていた高校生

第3話です!


今回は学園祭回!

……なのですが、普通の青春ラブコメにはなりません。


王子役に選ばれた大吉が、

なぜか異世界で王女救出&結婚式乱入をする話になります。


しかも今回は、

・昼ドラ系悪役令嬢

・不正牧師

・かぼちゃ満載の馬車

など、妙に童話感のある世界観になっています。


そして大吉は今回も、

実力ではなく“運”と“事故”で何とかします。


よろしくお願いします!

 呪いの連鎖を断ち切った男――福良大吉ふくらだいきち


 その名は、いつの間にか学校中に広まっていた。


「ねえ聞いた? 福良君って呪い効かなかったらしいよ」


「しかも動画の連鎖止めたって」


「霊感あるんじゃない?」


「なんか守護霊強そう」


 女子たちがヒソヒソ話している。


 一方、大吉本人は。


(なんでこんな噂になってるんだ……)


 机に突っ伏していた。


 完全に巻き込まれ事故である。


 だが本人の意思とは裏腹に、“スピリチュアルに強い男”として女子人気はじわじわ上昇していた。


 特にオカルト好き女子からの支持がすごい。


「福良君って絶対特別な力あるよね」


「悪霊祓った時点で普通じゃないし」


「神社とか似合いそう」


 好き勝手言われている。


(もう普通に学校生活送らせてくれ……)


 大吉は遠い目をした。


━━━━━━━━━━━


 そんなある日。


 学校は学園祭シーズンに突入していた。


 そして、この学校には毎年恒例のイベントがある。


 ――演劇部による『白雪姫』。


 しかも白雪姫役と王子役は、生徒投票で決定されるという妙に本格的な制度だった。


 例年、王子役はイケメンが選ばれる。


 今年の本命はサッカー部エースの川崎だった。


「川崎君しか勝たん!」


「王子様感あるもんねー!」


 女子人気も高い。


 普通なら決まりだった。


 ……普通なら。


━━━━━━━━━━━


「演劇部よりお知らせします!」


 昼休み。


 放送が流れる。


「投票の結果、今年の白雪姫役は一年生・白井ゆきさん!」


 教室がざわついた。


「白井さん!? あの黒髪ロング美少女!?」


「レベル高っ!」


 そして。


「王子役は――二年生・福良大吉さんに決定しました!」


 一瞬、教室が静まり返った。


「……え?」


「福良?」


「なんで?」


 大吉本人が一番驚いていた。


「は?」


 素で変な声が出た。


 周囲が騒然となる。


「マジかよ!」


「川崎君じゃないの!?」


「いやでも最近の福良、なんか神秘的だし……」


「守護霊ポイント高かったんじゃね?」


 意味がわからない。


 すると友人のモブ男子Aが肩を叩いてきた。


「おい福良! やったじゃねえか!」


「何が……?」


「白井さんだぞ!? 黒髪ロング清楚系美少女!」


「……俺、女子はセミロングまでって決めてるから」


「は?」


 大吉の脳裏に浮かぶ。


 白い服。


 黒髪ロング。


 スマホから這い出る女。


「長い黒髪はちょっと……」


「なんでだよ!」


 完全にトラウマだった。


━━━━━━━━━━━


 一方その頃。


「あり得ないんだけど!」


 廊下では安里唯あざとゆいがキレていた。


 かつてクラスのマドンナだった彼女は、呪い動画事件以降、微妙に立場を落としていた。


「あんな陰キャが王子役とか意味わかんない!」


「まあまあ……」


 友人たちも困っている。


「でも最近の女子、福良君に変な信仰持ってるし……」


「川崎君への“好き”とは別ジャンルなのよ」


「別ジャンル?」


「なんか“ご利益ありそう”って感じ」


「宗教じゃん!」


 唯はイライラした。


 そもそも大吉は、自分が送った呪い動画を生き延びた男だ。


 あれ以来、なんだか妙に存在感が増している。


「調子に乗って……!」


 唯は怒りのまま廊下を歩く。


 そして。


 目の前の脚立を思いきり蹴飛ばした。


「邪魔!!」


 ガタン!!


「うおっ!?」


 上から声がした。


 見上げる。


 そこには。


 学園祭の飾り付けをしていた大吉。


「あっ」


 唯の顔が青ざめる。


 脚立が倒れる。


 大吉の身体が宙を舞った。


「福良ぁぁぁ!!」


━━━━━━━━━━━


「……ん?」


 目を開ける。


 また知らない天井だった。


「……もう嫌な予感しかしない」


 大吉は頭を抱えた。


 薄暗い小屋。


 藁の匂い。


 木造の壁。


 そして。


「ん?」


 視線を横へ向ける。


 若い女性が倒れていた。


 しかも。


 下着姿で縄に縛られている。


「ちょっと待ってぇぇぇぇ!!?」


 大吉は飛び起きた。


「これダメなやつ!! 児童向けタグ剥がされる!!」


 誰に向かって言っているのかわからない叫びだった。


 大吉は慌てて縄をほどき、近くに落ちていた服を女性へかける。


「大丈夫ですか!?」


「う、うぅ……」


 女性はゆっくり目を開けた。


 金髪。


 整った顔立ち。


 気品ある雰囲気。


 どう見ても一般人ではない。


「わ、私はマリア……王女です」


「やっぱりそういう系!?」


 もう慣れてきた。


 異世界テンプレへの適応速度が上がっている。


━━━━━━━━━━━


 事情を聞く。


 どうやらマリア王女は、隣国の王子と結婚する予定だったらしい。


 だが。


「伯爵令嬢リディアが、わたくしを監禁したのです……」


「王子を奪うために?」


「はい……」


「昼ドラだなぁ」


 大吉は思わず呟いた。


「でも安心してください」


 マリアは涙ぐむ。


「こうして助けに来てくださったということは、あなたは神が遣わした勇者様――」


「違います」


 即否定した。


「ただ落ちて気絶した高校生です」


「……こうこうせい?」


「説明すると長いので城行きましょう」


 大吉はテンポ重視だった。


━━━━━━━━━━━


 小屋を出る。


 すると近くの畑にいた農家のおじさんが事情を聞いてくれた。


「そりゃ大変だ!」


 そして。


「馬車出してやる!」


 助かった。


 だが。


「……全部かぼちゃだ」


 荷台には大量のかぼちゃ。


 かぼちゃを乗せた馬車だった。


「シンデレラ感あるな……」


 大吉はどうでもいい感想を漏らした。


━━━━━━━━━━━


 城へ到着。


 中は結婚式の真っ最中だった。


 王子とリディアが、祭壇の前に立っている。


「では永遠の愛を――」


「ちょっと待ったぁぁぁ!!」


 大吉が叫んだ。


 会場中が振り向く。


「な、なんでマリア様が!?」


 リディアが青ざめた。


 だが次の瞬間には笑顔を作る。


「あらマリア様。結婚が嫌で逃げたのでは?」


「嘘よ! あなたが監禁したんでしょ!」


 口論になる。


 王子も混乱していた。


「ど、どちらが本当なのだ……?」


 すると。


 牧師が前へ出た。


 いかにも怪しい笑顔だった。


「では神の裁きに委ねましょう」


 牧師は二本の紐を見せる。


「片方は先端が赤く染められています」


「赤を引けたならマリア様を信じましょう」


「白ならリディア様が正しい」


 だが。


 大吉は気づかなかった。


 この牧師、最初から白い紐しか持っていない。


 完全なイカサマだった。


━━━━━━━━━━━


 マリアは震えていた。


 もし白を引けば終わる。


 大吉はそっと声をかけた。


「マリアさん」


「……はい」


「自分を信じて」


 根拠はない。


 だが。


(まあ作者が何とかするだろ)


 大吉は謎の信頼をしていた。


 マリアが歩き出す。


 その瞬間。


 大吉は緊張のあまり、マリアのスカートの裾を踏んだ。


「あっ」


「きゃっ!?」


 マリアが転ぶ。


 そして。


 バッ!!


 牧師の持っていた紐を二本とも掴んでしまった。


「……え?」


 会場が静まる。


 二本とも白だった。


「赤い紐がないじゃない!!」


 マリアが叫ぶ。


「なっ……!」


 牧師の顔色が変わった。


 ざわめく貴族たち。


「不正だ!」


「神への冒涜だぞ!」


「捕えろ!!」


 騎士たちが牧師とリディアを取り押さえる。


「離しなさい!!」


「私は悪くない!!」


 二人はそのまま連行されていった。


━━━━━━━━━━━


「ありがとう……!」


 マリアが涙ぐむ。


「あなたがいなければ……」


「いや俺ほぼ事故だから」


「なんて謙虚な方……!」


 また始まった。


 大吉は嫌な予感しかしなかった。


「ぜひ城に――」


「帰ります!!」


 大吉は即答した。


 王族イベントは面倒臭い。


 学習済みだった。


 そして逃げようとした瞬間。


「うわっ!?」


 慣れない城の階段で足を滑らせる。


 ゴロゴロゴロ!!


「ぎゃあああああ!!」


━━━━━━━━━━━


「――福良!!」


 目を開ける。


 目の前には担任の鶴見先生。


「大丈夫か!?」


「……あれ?」


 どうやら大吉は、学校で落下して気絶していただけらしい。


 しかも。


 下には偶然、体育マットが置かれていた。


 奇跡的セーフ。


「よかった……」


 涙目の唯がいた。


 大吉はまだ意識が朦朧としていた。


「マリアさん……」


「え?」


「自分を大事にして……」


 そう言いながら。


 大吉は唯の手を握った。


 周囲が静まり返る。


 鶴見先生は感動した顔になっていた。


「福良……お前……」


 本来なら、唯は大問題だった。


 脚立を蹴って事故を起こしたのだから。


 だが。


 大吉が庇っているように見えた。


「安里」


 鶴見先生が厳しい声を出す。


「本来なら停学もあり得る」


 唯が震える。


「だが福良に免じて反省文で許してやる」


「……え?」


「福良に感謝しろ」


 周囲の生徒たちも感動していた。


「福良いい奴すぎる……」


「聖人か?」


「やっぱ霊格高いんだよ」


 なぜか拍手まで起きた。


 大吉本人だけが事情を理解していなかった。


━━━━━━━━━━━


 一方その頃――異世界C。


「彼はいったい何者だったの……?」


 王子が呟く。


 マリアは微笑んだ。


「きっと天界から来た方なのでしょう」


 二人は相談し。


 城門前に、大吉の石像を建てた。


 優しく微笑む青年像。


 その後。


 その石像は――


『恋愛成就』

『縁結び』

『真実の愛を導く守護神』


 として若い女性たちから絶大な人気を集めることになる。


 異世界Cでは後にこう呼ばれた。


 ――《縁結びの聖者・大吉》と。

第3話を読んでいただき、ありがとうございました!


今回は、

「白雪姫の王子役」

「異世界で王女救出」

「縁結びの神になる」

という流れでした。


毎回、大吉本人は

「早く帰りたい」

「面倒ごとに巻き込まれたくない」

と思っているだけなのに、

異世界側ではどんどん伝説化していっています。


しかも今回は、

異世界Cの女性たちに

“恋愛の守護神”

として崇拝されることになりました。


本人が聞いたら絶対困惑します。


また、現実世界では唯の立場も少しずつ変化しています。

今後、大吉との関係がどうなるのかも書いていく予定です。


そして次回もきっと、

大吉は変なことに巻き込まれます。


「このシリーズ好き!」

「勘違いオチがクセになる!」

と思っていただけたら、

ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!


感想も励みになります!


次回もよろしくお願いします!

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