表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fragment of Memories  作者: 詩空
第二章
49/55

クリスマス番外編 1

ちょっと次があまり思いついてないので、息抜きついでに丁度時期が被っていたクリスマスの特別編です。


 それはある日、お風呂上りにリビングでのんびりと本を読んでいた時のこと。


「ねぇお姉ちゃん、明日はどうするの?」


 ついさっきまで一緒にお風呂に入っていた雫に、そんな事を聞かれた。


 明日、明日かぁ……。何かあったっけ? って、そっか明日は――


「――ああ、明日って二十四日だっけ。今年も去年のように、向こうに帰るんじゃないの?」


 そう、明日の二十四日はクリスマス。正確にはイブだけど、去年からその日には私たちが篠田家に向かって、お正月明けまで泊まっていくことになってる。

 一昨年までは篠田家で一緒に住んでいたからそんなことは無かったんだけど、今は二人で離れて暮らすようになったからこんな形に収まった。


 最初はその日の内に帰ろうかとも話してたんだけど、夜に私たちだけで帰ることを心配した和樹さんがこんな時くらいは泊っていけばいいって言ったからね。


 それに、後で準備しておかないと。

 忘れてたせいでまだ何も準備してなかったから、少し急がないといけない。


「そうだよ、美優さんたちと会うのも久しぶりだから楽しみだね。……って違うよお姉ちゃん! それまでの間どうするのって話!」

「あ、そっちか」

「料理やケーキは美優さんが全部やってくれるから私たちがやることはほとんど無いし、それまで何するのかなって」


 特に明日の予定は無かったはずだけど……あ。


 明日がそうだってことはすっかり忘れてたけど、クリスマスに向けて少し前から向こうで準備を続けてたことがあったっけ。


 たぶん向かうまでの時間はそれなりにあるだろうし、あっちに行くだけの余裕はあるよね。

 もしもあれなら、向こうに帰ってからやればいいだけ。どうせクリアに伝える事があるだけだし。


「とりあえず、WoRやると思うよ。クリアに会う用事があるから」

「そっかぁ。なら、あっちに帰ってからの方が良いんじゃないかな? その方が変に時間に急かされることも無いだろうしさ」

「だね。じゃあ午後一番で行く?」

「良いと思うよ。――予定も決め終わった事だし、さっそく準備しよっか。お姉ちゃん全く準備してないみたいだし」

「すっかり忘れちゃってたからね。……で、大きめのバックってどこに置いてたっけ」

「お姉ちゃん、ちょっと忘れ過ぎてない? バックは物置部屋の――」


 そんな風に明日の予定が決まってから、さっそくとばかりに雫に手を引かれて準備に向かう。

 長いこと会ってないけど、和樹さんと美優さんは元気にしてるのかな。



 翌日、私たちは予定通りお昼を食べてすぐに家を出て三十分程歩いて行き、一軒のそれなりに大きな家の前にたどり着いていた。


 この家が恭也の家で、二年ほど前まで住んでいた私たちにとっての実家と言える場所。

 十二ヵ月ぶりに帰って来たけど、懐かしく思えるね。


 そんなちょっとした感傷に浸りながら、玄関を開けて中に入る。……うん、やっぱり懐かしい。

 そのまま少しの間玄関に立っていると、奥の方から二つの人影が向かってきて、目の前まで来ると口を開いた。


「お帰り、二人とも。久しぶりだけど、元気にしていたか?」

「お帰りなさい綾、雫。本当に久しぶりね、たまには帰って来てくれてもいいのに」

「ただいま。和樹さん、美優さん。ほどほどに元気にやってるよ」

「ただいまです。なかなかタイミングが無くて、こんな時に位しか帰って来れなくて。お姉ちゃんはよく本の虫になっちゃってたし、今は初めてのゲームで結局籠っちゃってるしで」


 今、目の前に立っている二人は恭也の両親で、私たちを育ててくれていた和樹さんと美優さん。

 二人とも変わりないみたいで、なんだか安心した。


 最近はあまり聞かないけど、三十年くらい前とか変な病気が流行ってたらしいし、まだまだ元気に過ごしていて欲しい。


「ゲーム? ああそういえば、恭也が二人用のビジョンデバイスを用意していた事もあったか。綾は平気だったかい?」


 いつまでも玄関に居る訳に行かないから、移動を始めながらも和樹さんが問いかけてくる。


 そっか、あれからもう五ヶ月も過ぎたんだね。もう一年以上前の事に思えてしまう。


「何の問題も無かったよ。機械に触れても爆発しないのなんて初めてだったから、ちょっと嬉しかった」

「それなら良かった。けど、あまりゲームばかりし過ぎちゃ駄目だからね」

「大丈夫、勉強もちゃんとしてるから。と言うか、そっちは私より恭也の方を心配した方が良いと思う」

 学校のある日以外は、いつ向こうに行ってもいるみたいだし。大丈夫なのかな。

「それは否定できないわね……最近、少し成績が落ちているみたいだから。綾は変わらずトップを維持できてるの?」

「うん。お姉ちゃんはゲームしてても相変わらずと言うか、もともと飛び級出来るくらいには勉強してたからねー。私も度々教えてもらってるし」

「あら、それは良い事ね。けど、あの子はいい加減に制限させるべきかしらね……」


 恭也、美優さんにここまで考えさせるなんて相当だけど、本当にどれだけやってるの。

 でも、禁止まで行かないのはやっぱり美優さんらしい。


 そんな話をしつつ、一度部屋に荷物を置いてリビングに移動していき、その後もう少し話をしてから向こうで用事があるからと自室に戻って行く。


 やっぱりこっちの家は色々と落ち着くから、用事があるのに話し込む所だった。



「クリア」

「トア、今日は遅かったですね。何か用事でもあったのですか?」

「まぁちょっとね、向こうの実家に帰ってたから」

「そうだったんですか。なら、無理に来なくともよかったのに」


 WoRの世界に入り込んだ後、未だに部屋を取っている女神の宿場の一階の食堂に向かい、そこに居たクリアに話しかけた。

 最近クリアは、私が来れないときとかは街中を散策したり、色々と有用そうな鉱石とかを取りに行ったりとかしてるらしい。


 そしてそのおかげか、今は以前よりも貯金が増えたらしい。


 こうしてそんな話を聞けると、ちゃんと手助けできたことが実感できて嬉しくなるよね。


「クリアに用事があったし、他にもやることがあったから」


 やることに限っては、まだ話すことは出来ないけど。

 前々からずっと隠れながら進めてきたんだから、ここでバレる訳にはいかない。


「私に、用事ですか?」

「うん。明日の夜、二十三時に氷結の森外周部の……この場所に来て欲しいんだ。明日はそこで待ってるから」


 少し前に作っていた紙の地図を広げつつ、印をつけていた場所に来て欲しいと伝える。


「わかりました。ですが……ここには何もなかったと思うのですけど」

「それは明日のお楽しみ。じゃあ少し、二時間くらいクロアゼルム台地に行こうよ。最近は少し、探索を疎かにしちゃってたしさ」

「はい、行きましょう。このままでは体も鈍ってしまいますしね」


 やらなきゃいけないことも後は仕上げだけだし、正直なところ別に今日中にやる必要も無かったんだよね。


 さてと、まともな戦闘は意外と久しぶりだから、大丈夫かな。ちょっとだけ不安。




次話は明日更新の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ