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Fragment of Memories  作者: 詩空
第二章
43/55

2-5 一緒に


 私に飛び掛かってきたのは声の時点でわかっていたけど、シズクだった。


「お姉ちゃんが言ってた、遊びに行く予定の場所ってここだったんだね!」


 というか、やっぱりここに来てたんだね。シズクたち。


 もともと、昨日話してた時にある程度予想はしてたし。だって夏だからって行く場所なんて……ねぇ?

 そんな場所はこの場所以外に無かったから、絶対に出くわすだろうなって予想してた。


「おや、シズクも来てたんですね」


 クリアは相変わらず冷静だね、私は現在進行形で未だに押し倒されてるというのに。


「うん、エルフィたちに誘われてさ」

「そうでしたか。エルフェリアさんたちはどちらに?」

「向こうのフードコートで休んでるよ。私は見たことある影と声が上のトンネルを滑って行ったのが見えたから、気になってここまで来たんだ」


 まさか、それだけで判断してくるなんて思ってなかった。

 シズクの把握能力はどれだけ高いんだろうか。


 そんなシズクの着ている水着は、白いラインの入った黒い競泳水着に似たタイプのもの。


 確かに、スリムな体型をしているシズクには良く似合っているけど、別なタイプの水着でも良かったんじゃないかなって思わないでもない。


「それで、お姉ちゃんたちはあれ乗って来たんだよね。どうだった?」

「シズクはまだ乗ってないの? ――あと、そろそろ退いてね。人目が辛いから」

「うん。エルフィが、『ああいった物は最後の方まで取っておくべきだ』とか言うから、まだ乗ってないよ。――あ、ごめんねお姉ちゃん」


 なるほど、確かにエルなら言いそうだと考えつつ、シズクに上から退いてもらう。流石にちょっと周りの人の目が痛かった。

 まだ乗っていないって事なら、あまり教えない方が良いよね。実際に乗って体験した方が良いだろうし。


 それに、何よりも言葉にしにくいっていう問題もあるしね、


 と、その辺りを率直に伝えておく。


「ふーん。そこまで言うくらいなら、楽しみにしておいた方がよさそうだね。それで、お姉ちゃんたちはこれからどうするの?」

「とりあえず、今のところは色々と見て回ろうかなって感じかな」

「そうですね、大体はトアにお任せしていますし」


 まぁそうだよね。


 楽しみにしてって言ったのは私なんだし、急造とはいえ計画を立てたのも私なんだからその位はね。

 この場所に、さっきの以外でどんなものがあるのか知らないけどさ。


 始めて来たばかりなのに知ってる方がおかしいんだけど。後で案内板でも見つけて、クリアと一緒に考えることにしよう。


 クリアにも決めてもらった方が、より楽しめるだろうしね。


「そっかそっか。だったらさ、私たちと――『シズク。急に飛び出したかと思えば、まさかトアがいたとはな』――あ、エルフィ」

「あ、エル。少しぶり」

「ああ。まさか、君もここに来ているとは思ってなかった」


 シズクが何かを言いかけた時、さっき指を指していたフードコートの方からエルがやって来ていた。


 ……エルは、なかなかにきわどい水着着てるね。

 白いビキニなんだけど、ちょっと布地少なくないかな? 布地が多めとはいえ、私のと比べても半分近くしかないんだけど。


 うん、私にはあれを着るのは無理だなぁ。


「色々とあってね。それで、エルはどうしてここに?」

「ここに来たのはただ単に遊びに来ただけだが、今ここに居るのはシズクを探しに来ただけだよ」

「なるほど。にしても、エルの水着はだいぶ布地が少ないね」

「あまり気に入ったものもが無かったのでな、シンプルな物にしたんだ」


 ……シンプルでこれって、確かにそうだけどさ。それにしては布地が少なすぎるって。


 でも、そこまでいくともう貞操観念云々って話になるか。そうしたら人それぞれってことになっちゃうし、私からは何も言えない。

 言えないけど、やっぱり気になってしまうのは仕方ないよね。


「そういえば、シズクはさっき何言いかけたの?」

「ん? ああ、そだそだ。お姉ちゃんたちも一緒に行かない? このプールにいる間だけで良いからさ」


 ああ、そういうことか。


 だけどシズクたちって昼前から来てるみたいだから、それなりの時間ここに居るみたいだし、良いのかな。

 それに、色々と個人的に確かめたい事もあるし。


 泳げるのかとか、泳げるのかとか、泳げるのかとか。……一つしかないって? 当たり前でしょ、今のところわからないのこれしかないんだもん。


「大丈夫だよ、午前中は皆で流れるプールで泳いでただけだし。それにお姉ちゃんとクリア二人だけで居させたら、何か起きそうで怖いんだよね。二人とも天然入ってるし」

「それは一理ある」


 なんか酷いこと言われた気がするよ?


 何か起きそうだとか、天然入ってるだとか。――というか天然って何だろう、魚とかに使うのとは違うんだよね。


「まぁ、それだったら一緒に行っても良いのかな。クリアはどう?」

「私も構わないと思いますよ。少し、残念に思いはしますけどね」


 もともと二人でって話だったんだから、そう思うのも当たり前か。

 また今度、別な場所に行くことにしよう。その時こそ二人きりで。だとしたらもっといろんな所まで行って、どこか良い場所を探す必要がありそうだけどさ。


「それじゃあここに居る間ずっとって訳にはいかないけど、少しの間は一緒に行くことにしようよ。――と言うことでよろしくね、エル」

「わかったよ。では、フィアたちと合流することにしようか。私も置いて行ってしまった形だから、早く戻らなければな」


 という訳で、さっそく移動を開始した。


 その間にもまた、入り口からは見えなかった様々なアトラクションを見ることができたけれど、ちょっと多すぎる気がする。

 ざっと数えるだけで全部で何個だろう……最低でも二~三十くらい?


 下手な遊園地とかより確実に多いよね、もちろん私は行ったことないけど。


 で、その中でも特に目を引くのはさっき乗ってたウォーターライドフォールだけど、他にも最初に見たような水の大きな玉のやつとか、さっきのとはまた違うジェットコースターみたいなのに、なんかドームみたいなのとか。

 それにあれは……バレーボールだろうか。水の玉でバレーなんてどうやるんだろう、すぐに玉の方が壊れそうだけど。


 本当になんでもあるね、ここ。


 しかも、他の施設とは比べ物にならないくらいに内部空間は広くなってるし。

 入ってからというものずっと何か違和感を覚えてたんだけど、その原因はそれだったんだよね。外観から考えても、その五倍くらいは天井が高いから逆に気付けなかった。


 それにしても前から思ってたけど、この世界の技術ってもしかするとあっちより高い? 一概にそうとも言えないんだろうけど、電気よりも魔法の方が利便性は高そうだしさ。


「あれ、思ってたより遠い。もうそろそろ着くかと思ったのに」

「さっきの場所とフードコートはほぼほぼ真反対の場所だからな、遠いのは当たり前だろう。気付いていなかったのか?」

「あははー……。追いかけるのに凄く夢中になってて気づかなかったよ」


 キョウといいシズクといい、その目的には一直線っていうのはどうにかならないんだろうか。何度かそれで酷い目に遭ってるのに。

 でも確かに、シズクが言った通り遠いね。この感じだと横幅も相当に広がってそう。たぶん外観の十倍くらいには。


 ……やっぱり広すぎでしょ、ここ。


「む、お姉ちゃん呆れてる顔してる」

「仕方ないだろう、君のそれはいつもの事なのだから」

「けど、そういうのだったらお姉ちゃんだってあるじゃん!」

「確かにトアにも幾つか悪癖があるが、そんなに酷い事になることはあまりないだろう? ……致命的なものもあるが」

「でしょ?」


 悪癖かぁ、興味を持ったものには時間を忘れるくらい眺めたりとか、一つの事に集中しすぎると他の何もかもを蔑ろにしたりとかってあるね。

 でも、致命的なのって何だろう。自分でもよくわからないんだけど。


 んー。あ、あれかな? この前シズクが言ってたやつ。あの時なんて言ってたかな、確か――『また数日で落としたの』だっけ。


 ……更にわからなくなったよ? 本当に私の致命的な悪癖って何。


「だが、結局それで何か起きたことも無かっただろうに」

「本当に、そう思ってるの? エルフィ……」


 あれ、シズクの目が一気に濁った。

 いったい私の知らないうちに、私は何をやらかしたの? ねぇ?


「……すまないシズク、私が浅慮だった。だが、何があったかは聞かない」

「うん、聞かない方が良いよ。私も思い出したくないもん」


 え? え??

「トアはいったい、そちらではどんな暮らしをしてきたんでしょうか」


 ごめんクリア、それは私の方が聞きたい。

 自分でも全くもってわからないことがこのゲームを始めてからどんどんと判明し始めてるし、本当に私の知らないところでどんなことがあったんだろう。


 何が何だか、全然わからない。


「クリアさんも興味はあるだろうが、知らない方が幸せな事もあると私は思うんだ」

「それに、これらはお姉ちゃんに聞いてもわからないからね。あいつら嫌らしい事に絶対お姉ちゃんにはバレないようにしてくるから、今の通り気付いてないもん」


 だから、いったい何があったの。

 そしてそれを、どうして私に教えてくれないんだろう。不思議。


「お姉ちゃんに変な心労を負わせたくなかったから」


 とか内心思っていたら、また読まれたらしい。でもまぁ、教えてくれなかった理由は納得した。


 全く、シズクたちは心配しすぎなんだってば。今はもう大丈夫なのに……きっと。

 結局のところどうなるかわからないから、自信があんまりないのが辛い。


「まぁそんなのはどうでもいいよ。それよりもお姉ちゃんは泳げるの? 一度もプールとか入った事は無かったと思うんだけど」

「正直に言えば、わからないかな。だから後で確かめようかと思ってたけど、その前にシズクがやって来たし」


 水に浮くって感覚はわからなくも無いんだけど、実際に泳ぐとなるとね。

 こればっかりは実際に試してみない事にはどうとも言えない、どのタイミングで確かめに行こうか。


「ならば、そこで試していこうか。あそこは確か水深が浅めのプールのはずだから、もし泳げなくとも問題は無いだろう。クリアさんは泳げるのか?」

「私は泳げますよ。こういった場所に来るのは初めてですが、何度か川に素材集めに入った事もありますから」


 川でいったいどんな物を採取してたんだろう。魚とか? いや、素材なら違うか。

 水草、石、水……。うん、物が少なすぎて逆に予想がつかない。


「それでは行こうか。確かめるのなら早い方が良いだろう? 更にフィアたちを待たせてしまうことになるが、もう少し位は構わないさ」

「本当に良いの?」

「さっきフィアに向けてメッセ送っておいたから、もうちょっとだけなら大丈夫だよ」


 んー、それなら良いのかな?


 ということで、皆でさっそくそのプールに向かうことに。こうして普通にプールに入るために向かうのも初めてか。


 うん、楽しみ。


「まずはそうだな……頭までしっかりと潜ってみるか。それさえできれば泳ぐのは簡単だろう」

「だね。運動神経悪くないし、潜れさえすればお姉ちゃんならすぐだよ」

「そんなものなの?」


 てっきりもっと面倒なものかと思ってたから、ちょっと肩透かしを食らった気分。


 だけどそれもそうだよね。

 泳ぐって少し言い換えてしまえば、走るのと同じようなものだし。水の中か陸上かの違いだけで。


「そうですよ。結局のところ、水に顔を浸けるという行為に恐怖を感じるか感じないか、それが問題ですから」

「なるほど、確かにそれもそうだね」


 でもたぶん、潜るのは問題ない気がする。

 だってさっき頭から沈んだばかりだし、問題ないよね?


 等とちょっとだけ考えてから、それじゃあさっそくとばかりに水中に潜ってみる。

 うん、特に問題は無い。次は目を開いてみて――これも平気。


 息はまだまだ続くし、さっきまで見てた人たちのように泳いでみようか。

 えっと確か……足で水を蹴って進むんだっけ。それで、腕を使って前の水を後ろにかき出すかのようにすれば、より早く前に進めるはず。


 よし、普通に泳げるみたいだね。良かった。


「やはり、予想通りといったところか。まぁ、ここまで早いとは思わなかったが」

「お姉ちゃんだし、こんなものだよ。それじゃあ泳げることも確認出来たし、フィアたちと合流することにしよっか」


 水中から頭を出した瞬間にあれな事を言われた気もするけど、シズクの言う通りではある。


 私の個人的な理由で遅れさせちゃったんだから、用事が終わったのなら早く行かないといけないしね。


「だから、あたしたちは少し席を外してる友達を待ってるって言ってるんだ! あんたらみたいなのとは一緒に行かないってば!」


 と、フィアのそんな声が聞こえてきたのは、ようやくフードコートにたどり着いたときだった。



本文についてすらあまり書くことが無くなってきました。どうしましょうね、これは。



それと、今週は今話だけの投稿になります。

更に一つお知らせなのですが、当分の間は個人的な理由で一週間に一度の投稿になるかもしれません。


余裕があれば週二の投稿でいくつもりではあるんですが、恐らく無理だと思われますので多くとも週一での投稿になると思われます。申し訳ありません。



それでは今回はここまでです。

次話投稿は来週の土曜日か日曜日になります。


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