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Fragment of Memories  作者: 詩空
第一章 リーザリア・エルフェルド
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1-3 キャラ作成と試験クエスト


 目を開けたとき、私は見知らぬ場所で椅子に座っていた。


 ここは何処なんだろうかと周りを見渡してみると、どうやら個室の中のようで、目の前に大きめの木製の机と、もう一脚の椅子があるだけでそこまで広い部屋ではなかった。


 壁はおそらく石材で構成されていることと、その石材の年季の入った様子を一目見て取れる事から、だいぶ古い建物なのだろうとおよその検討をつけてみたけど、ここの一室だけじゃあ何とも言えない。


 とりあえず今、自分がどこに居るのかを考えていると、私から見て右手側にあるドアから何かを抱えた女性が入ってきた。


「初めまして、貴女が新しくギルドに登録されに来た方ですね」


 そう話しかけてきた女性は、一目見ただけで私たちと同じ人間ではないとわかる動物の耳と尻尾が生えていた。

 おそらく狼の物と思われるその尻尾と耳はパッと見るだけでも、その毛並みが並大抵なモフモフさではないとわかるくらいに丁寧に手入れされているし、パタパタと動く尻尾は彼女の感情によって無意識に動いているのだろう。


 この人みたいに、動物の耳とかが生えている人が『獣人』って種族なのかな。最初に確認したホームページで見た画像の人と共通点が多いし。


 少し前までの私だったらこの姿を見た時点で確実に動揺してたんだろうなぁ。とか考えつつ、興味津々で観察していたら、


「あの、どうかされましたか? そんなに見つめられると、少し困ってしまいます……」


 と、困らせてしまった。

 この、興味を持ったものをじっと観察し続ける悪い癖も少し自重しないといけないかな。こんな風に困らせちゃったら迷惑になるし。


 とにかく、まずは謝らないと。


「あっ、ごめんなさい。初めて獣人の方を見たので、つい」

「そうでしたか。確かにこちらでは獣人の方は少し珍しいですし、仕方ありませんね。私たちは主に、北の大陸の方で生活していますから」


 へー、獣人の人たちって北大陸に住んでるんだ。いつか北大陸にも行けるようになるのかな。――って、あぁ駄目だ。思考がずれてきてる。


「では、改めてご挨拶を。初めまして、私はギルドの受付を主に担当しております、リソアと言います。それでは、初めにこちらの必要事項を記入してもらえますか?」


 リソアさんはそう自己紹介をしてから私の前に二枚の紙を差し出してきた。


 一枚目の紙は、ギルドに関する規約がずらっと書かれていた。そこまで数は多くなかったから、これはすぐに読み終えられた。

 二枚目の紙には幾つかの記入欄があり、上の方から、氏名・初期スキル取得・ギルド規約同意のサイン欄、となっていた。少ない。


 つまりここで少し細かいキャラクター作成になるのかな。でもそしたら、タイトルにあったキャラエディットって一体……? 外見か内部情報の違いかな。


 まぁいっか、まずは名前。

 この数日考えてたけど、いざどうするかとなるとちょっと悩んじゃうよね。ちゃんと決めておいた名前にするんだけどさ。


 というわけで名前は『トア』に。理由は、何となく思いついたから。


 そして次は、初期スキル取得なんだけど……。恭也曰く、このWoRだと従来のジョブシステム? とか言うのが無くて、武器・魔法・補助スキルからそれぞれの装備上限以内で色々なスキルを組み合わせていくらしい。後半の方は調べてあるのと食い違いはないね。


 だからそういう訳で、ステータスが見れないキャラクター作成の段階では下手にスキルを取らないで、ステータスが確認できるようになった時点で取得するのが良いらしいから、今は取らないでおく。


 別に今の時点でも、自分の好きなように取っても良いんだけどね。

 でも、自分がどの方向に向いてるのか、それを何となくでも知ってから考える方が良いと思うんだ。


 それじゃあ最後にサイン欄を埋めて終わり。


「書き終わりました」

「はい、それでは確認させてもらいますね。えっと、名前はトアさん。その他の記入欄も特に不備は無しっと。大丈夫ですね。では次に本登録試験についての説明をさせていただきます」


 スキル欄を埋めなかったから空欄だらけだったんだけど、不備無しで通るんだ……。良いのかな、それで。


 ってあれ? 試験って自分からギルド本部に行って受けるものじゃなかったっけ。


 この試験は言うなれば、チュートリアルクエストみたいなもので、ギルドに登録して冒険を始めるには必須のクエストらしいんだけど……


 その疑問に思った沈黙が、リソアさんには試験に対する不安と感じ取ったらしく、試験クエストの成り立ちについて親切に教えてくれた。


「試験と言ってもとても簡単なもので、昔からの名残みたいなものです。ですからあまり気負わなくても大丈夫ですよ」

「そうなんですか?」

「はい。昔はこの王都の付近も物騒だったので、実力の見合わない人がギルドに登録することが出来ないようにある程度難しかったようですけれどね。今はそんな危険もないですから、登録自体は簡単になったんです」


 なるほど、こんな形骸化(けいがいか)してるような登録試験にも、ちゃんとした真っ当な理由があったんだね。

 これがゲームの中だなんて、なんだかちょっと信じられなくなってきた。


「それで試験の内容ですけれど、ここから東にある氷結の森外周部に生息するグリーンジェルのドロップ品を5つ集めてきてください。

 集め終わったらクエストカウンターで報告していただければ、ギルド証と交換できますので」

「わかりました、グリーンジェルのドロップ品を5つですね」


 グリーンジェル……。どんなのだろう、名前からして緑色なんだろうけど。


「あ、そうだトアさん。入ることは無いと思いますけど、くれぐれも氷結の森の中心部――木々が凍りついてる場所には入っちゃダメですからね。あの場所だけは例外で、不意に強力な魔物が現れたりしてるので危険なんです。

 これは未確認の情報ではあるんですが、反統一派の魔族が住み着いているって情報も入ってきていますので」


 はんとういつは? 反統一派の事かな? でも、一通り情報サイトを見たけどそんな情報なんて載ってなかったような……。一応、頭の片隅には置いておこう。魔族ってのも気になるし。


「大丈夫です。念押しされて忠告されてるのを無視なんてしませんから」

「でしたらいいんですけれど、(まれ)にギルドの忠告を無視して帰って来なかった方もいらっしゃるので、本当に無理はしないでくださいね? それでは頑張ってください」

「はいっ!」


 リソアさんの言葉が合図だったかのように、私の体が光に包まれていった。


 そのまま体の感覚がなくなり始めたとき、リソアさんがしまったという顔をした後、


「遅くなりましたが、ようこそ『リーザリア・エルフェルド』へ! この世界を存分に楽しんでくださいね!」


 と、とても綺麗な満面の笑みで見送ってくれた。


 その言葉を最後に、私の視界は完全に光に包まれた。


今回から、ちょっとしたゲーム内用語解説コーナーみたいなものも挟んで行こうかと思います。


種族:このWorld of Reminiscenceというゲームには、ヒューマン・獣人・エルフ・ドワーフ・魔族といった5つの種族が存在していて、プレイヤーはこの中で、魔族を除いた4種族の中から好きな種族を変更できるが、ステータスに補正が入る訳ではないので変更は完全に趣味の域。初期種族はヒューマン。


ヒューマン:人間とほぼ変わらない種族。適応能力が高めなのが特徴。


獣人:主に北の大陸に生活圏を持っている、動物の身体的特徴を持っている種族。狼や犬、猫など多種多様な種類の獣人が存在している。


魔族:遥か昔にヒューマンが高濃度の魔力の影響で突然変異を起こした種族。基本的に魔力との親和性が高く、強力な魔法を容易く操り、身体的スペックもかなり高い。


王都:ギルド本部や王城がある街で、プレイヤーが一番最初に降り立つ場所。冒険者の足だとそこまで移動に時間はかからないが、恐ろしく広い。


ギルド:冒険者にクエストや情報などの斡旋を行う施設。ギルドに登録するには、ギルドで発行される試験クエストをクリアする必要がある。


今回はここまでです、ありがとうございました。

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