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Fragment of Memories  作者: 詩空
第一章 リーザリア・エルフェルド
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1-2 事前準備を開始しよう


「さて、二人から承諾を貰ったところで、ビジョンデバイスの設定やらを済ませる事にしようか」


 話が落ち着いたところで、恭也が切りだしてきた。


 なんだか少しだけ既視感を覚える唐突さだったけれど、短い間に二度目とくれば流石に狼狽えたりはしない。

 でも、恭也はいつも唐突すぎる気がする。何度かその唐突さで酷い目に合ったことあるしなぁ、どうにかならないかな。


「それは構わないですが、時間は大丈夫なんですか? そこそこいい時間ですけれど」


 言われて時計を見ると、もうすぐ5時になるくらいだった。


 もともと今日の学校は短縮授業で、それが終わってから家でのんびりと課題を進めていた。

 そしてさっきの提案をされたのは4時半を回ったくらいだったから、雫が時間を気にするのも仕方ないと思う。そろそろ晩御飯の準備も始めなくちゃいけない時間でもあるし。


 というより、学校に持って来てたのだろうか。


「大丈夫だよ。WoRの初期設定まで終わらせたとしても、十分もあれば綾でも余裕で出来るくらい簡単だから」


 私でもって言う部分には少し思う所が無いわけでもないけど、否定できないから何とも言えないのが悔しい。


「まぁ物は試しって事で始めようか。雫のはこれで、綾のはこれだな」


 そう言って恭也がカバンから取り出したのは水の雫のような形状をした一対の機械と、それに追加パーツが付いた特殊タイプの機械だった。

 これがビジョンデバイスらしい。説明されてた通り私の方は追加パーツが付いているけど、これがどんな役割を持っているのかは私には見当もつかなかった。


「それならいいんですけど……。どうすればいいんですか?」

「そうだな、まずは両耳にそれを取り付けてくれ。んで、右耳側にあるボタンを押してその後の指示に従えば、そこからは勝手に進んでくれるから。

 それと綾は何か問題あるかどうかも確認してくれ、本当に大丈夫か確かめないといけないし」

「ん、わかった」


 受け取ってみたところでは、特に拒絶するような感じはしない。それどころか不思議なほど体に馴染む感じがしたけれど、とりあえず言われた通りに耳に付けて電源を入れてみる。


 すると、電源は問題なく入った。壊れそうな前兆は無いし、これなら大丈夫かな。

 問題は無いか確認していると、知らない間に視界に『フィッティングとセットアップを開始しますか? YES/NO』と浮かび上がって来ていた。


 これをどうやって操作すればいいのかわからなくて戸惑っていると、それを察したかのように新しいウインドウが現れて『デバイス内の操作をする場合は、頭の中で思考する事によって操作することが出来ます』と、説明された。


 最近の機械ってすごく親切なんだなぁとかYESを選択しながら考えていたら、いつの間にかフィッティングとセットアップとか言うのが終わっていて、詳細設定に移っていた。


 詳細設定の幾つかは入力する必要が無いみたいだったからそこは省略して完了。必要になったら後で入力しておこう。慣れてないと思考制御とか大変だしね、機械初心者にはなかなかに辛い。


 それも終えると唐突に色々なアイコンが視界に浮かんで来て、一気に情報量が増加して少し混乱してしまった。


 たぶん、これがホーム画面って言うやつなのかな。


 自分が操作してここまで来ただけでも中々に感慨深いものがあるなぁ、とかついつい思ってしまう。

 でも、ここからどうすればいいのか全然わからないね。使えないなりにも最低限の知識はあるんだけど、ホーム画面がこんなにごちゃごちゃしてるなんて実際に使ってみないとわからないし。


 わからないからとりあえず聞いてみる事にしよう。


「とりあえずビジョンデバイスの設定まで終わらせましたけど、これからどうすればいいんですか?」

「そしたら、ホーム画面のゲームフォルダって所にWoRってアイコンがあるはずだからそれを起動してくれ。起動したら事前初期設定を選択すればそれで完了だ。

 ちなみに、WoRは端末経由で先にインストールしておいた。ちょっとした裏技ってやつだな」


 丁度タイミングよくわからなかった事を雫が質問していて、それに恭也が答えていた。聞かれていない事にも答えていたけど、流石にそこは普通に聞かれると思ったんだろう。私の出鼻は全力で挫かれたが。


 そんなことを考えつつ、指示に従ってWoR――恭也の言ってたワールド・オブ・レミニセンスの略称なのだろう――を起動させた。


 続いて現れた画面は、事前初期設定、キャラエディット、公式サイトへ、の三項目しかない簡素なものだった。

 なんだか少し期待外れな感じがしたものの、そのまま初期設定を済ませる事にした。と言っても、選択した事以外は特に何をした訳でも無く、すぐに初期設定は終わってしまったのだけど。


 初期設定って一体何をしたんだろうか、ちょっと疑問に思ったから素直に恭也に聞いてみると――


「あぁ、それはな。身体情報をスキャンして、ゲーム内のアバターの作成をしているんだよ。それとWoR開始した時の最初のステータスや伸びしろをその人の潜在能力で決定してるらしいって噂がある、こっちは本当かどうかはわからないけどな」


 ――とのことらしい。と言うか、この言い方だとゲーム内の姿は現実と一緒になるのかな……? ゲーム内での名前、考えておこうかな。


 キャラエディットは触れないでおこう。そう言ったセンス無いし。


 とりあえず幾つか疑問を残しつつもつつがなく全てが終わった後、恭也は晩御飯を食べて約束してから家に帰っていった。

 最後に、次はWoR内で会おうなと言い残してだったけど。



 それから数日が過ぎて、WoRのサービス開始当日。


 私たちは恭也との約束通り、サービス開始と同時にゲームを始める事にした。


 今日までの間にWoRについては雫と一緒に予習をしてきたから、そう言った知識ゼロの頃よりはある程度は何とかなる気がする。


 WoR、ワールド・オブ・レミニセンスってゲームは大雑把に説明するとレベル制で、武器・魔法・補助スキルをスキルポイントってものを使って取得して、限られた枠内でそれらをやり繰りして旅をするって感じのものらしい。


 目標はこれと言ってある訳では無くて、ギルドに所属する必要はあるけど広大な世界を自由気ままに冒険したり、鍛冶とかの生産をして過ごしていったりとプレイヤーの好きな風に楽しむことが出来るのがβテストでは受けたらしいね。

 更にゲーム内の世界は現実とまるで遜色が無いのも噂に拍車をかけたらしいから、色々と楽しみ。


 これを調べられたのも全部、ビジョンデバイスのおかげ。


 ネットを見る事が出来るようになったし、楽しみが色々と増えた。そんな私の新しい世界を更に広げる為に、また一歩踏み出そう。


「もう時間だし、始めよう。これが人生初めてのゲーム、楽しくできればいいなぁ」


 そう呟いて私は、ワールド・オブ・レミニセンスを起動した。


書き溜めがあるうちは毎日投稿になると思います。

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