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Fragment of Memories  作者: 詩空
第一章 リーザリア・エルフェルド
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4-2 もう一度森へ


「……涙?」


 今日は何故か、泣きながら目が覚めた。


 何となくいつもと同じ夢を見たのはわかるんだけど、いつもとは全然違う目覚め方。

 今回は夢の内容を詳しく覚えてないけど、とても辛い、でも報われた様な、そんな感じがする。よくわからないけれど。


 でも一つだけ、はっきりと覚えてることはある。


「行かないと、確かめるために」


 確かめる、何を? ――知らない。


 行く、どこに? ――あの森に。


 どうして? ――知るために。


 それだけわかってれば十分。行くだけの理由は、ある。


 これは、知らなくちゃいけないことだ。絶対に。

 けれど同時に、絶対に知ってはいけないって声が、私の中から響いてくる。けれど、あえてその声は無視しよう。


 もう、今までと違って道が示されてるんだ。いつまでも、逃げてはいられない。今までのように知らないふりをして生きていくなんてことは出来ない。


 そう決意した時だった。


 ――そっか。でも、覚悟だけはしないと。真実は優しい物だけじゃないのだから。

 ――だけど、もしもの時は私も手伝うから。


「へ?」


 声が、聞こえた? どこから?


 雫の声では無いし、部屋の中には私しかいない。それなりに明るくなった外にも人影は無いから……いったい誰が。


「気のせい、かな」


 そうでは無いことは、はっきりとわかってる。


 だけど、この声の持ち主が見当たらないし、心当たりも無いなら気のせいだと思うしかない。

 できれば、さっきの言葉の意味を教えてもらいたかったけれど、あえてそれから意識を逸らす。なんだか深く踏み込んでしまったら、後に引けなくなりそうな予感がしたから。


「そうだ。今、何時だろう」


 外が明るくなってるのは確認してるけど、具体的に何時ぐらいかはわからないし。


 という事で、部屋にあるだいぶ古いアナログ時計を覗いてみる。


「五時半過ぎかぁ」


 思ったより早く起きちゃったのか。


 まぁいっか。早く起きたのなら、それはそれで色々とできるし。

 とりあえず買い置きの食パンがまだ残ってた筈だし、用意するのも少し面倒だから朝ごはんはそれ一枚で良いかな。トースターは使えないから……そのままか。


 食パンって、トーストも良いけどそのままでも良いよね。トーストじゃないと嫌だって人もいるけど、そこは人それぞれだから仕方ない。


 食べたら雫に一応書置きしておいて、あの森に向かうことにしようか。


 着替えながら今からの予定を大雑把に決めつつ、食パンを取りにリビングに向かう。

 先に水を用意してからパンを取り出して咥えた後、書置き用にメモ用紙を一枚切り離して、内容は……まぁ、簡単に『朝ご飯は食べたから用意しなくていいよ』でいいかな。


 ――よし、これでオッケー。


 次は……これ食べ終えてからかな。流石にパンを咥えたまま顔を洗ったりとか、身だしなみを整えるわけにはいかないし。


 むぐ。それにしても、何か忘れてるような気がする。


 そこまで大事な事では無い気がするんだけど、忘れてたらそれはそれでまた面倒なことになりそうな予感がひしひしとしてるんだよね。何だろう。


 さっきまで考えてたことでもないし、かといって寝る前に考えてたことでもないから、だぶん夢を見ながら考えてたことだと思うんだけど、全然見当もつかない。いつもなら、夢を見てる時に考えてたことも覚えてるんだけどなぁ。


 んー、わからないならそれでいいとは思うんだけど。どうにも引っかかる。


「まぁ、いっか」


 思い出せないのなら結局、あんまり大事な事じゃなかったんだろうしね。


 じゃあ次々行こう。


 最後の一切れを水で流し込んで洗面所へ向かう。

 こういう時によく思うけど、水道が使えるのは本当にありがたい。身だしなみすらも自分で整えられなかったら、それこそ耐えられないもん。


 なんてことを考えながら洗面台の前に立って鏡を覗き込んだところで、どことなく違和感を感じた気がした。


「? 気のせいかな」


 改めて自分の顔を確認してみるけど、特に変わったところは無い。

 変わったところがあるのなら、昔から変わらない極東人離れした、黒髪黒眼の雫とはまるで違うこの銀髪と紫の眼だけ。一体何に違和感を感じたんだろう。


「むー……」


 でも、何かおかしい気がする。ずっと見ててほんの僅かに感じる程度だけど、やっぱり違和感がある。

 首の角度がどんどん傾いていく自覚はあるどころか鏡のせいで一目瞭然だけど、やっぱりわからないや。


 というか、何でこんなことで悩んでるんだっけ。


 よーく観察して少し違和感があるくらいの事なら、こんなに悩むような事じゃないよね?

 それよりも違和感があるって考えすぎて、違和感って何だっけ状態になってきた。


 うん、もういいや。早く色々と終わらせて、ゲームを始めよう。



「あ、そうだ。行く前にギルドに寄ってこ」


 少し宿題を終わらせてからログインして、こっちでも軽くご飯を食べてからポータルで氷結の森近くまで移動しようとしたところで、ふと思いついた。


 昨日もあまり時間が無かったから受けれなかったけど、初日にギルドで見かけた時からどんなクエストがあるのかは気になってたんだよね。せっかくだし、森に行くついでに幾つか出来そうなのがあったら受けてこっと。


「という事で、『フォーティアス』」


 ポータルの使い方は案外簡単。


 小さいものなら触れてから行きたい場所の名前を呟けばそれで移動出来て、町とかの中心部にある大きなものなら範囲内で呟けばオッケー。

 でも、途中にある中継点に行きたい場合は何故か選択肢が脳内に表れて、そこから選ぶ形になっている。何でだろうね? というか、どんな仕組みなんだろう。


 うーん……意外と近くに謎は転がってるものだよね。


 っと、着いた。


「なにか良いクエストあるかなー」


 主に氷結の森周辺で、という事で早速クエストボードを見てみる。


 えーっと、何々?


 『迷子のペットを探してます』、『落とし物を見つけてください』、『人を探してます』、『掃除の手伝いをお願いします』


 …………なんか、思ってたのと違うような、でもこういった施設なら正しいような。


「ん?」


 あれ、よく見たら私が見ようとしてたクエストボードじゃない。


 これ、上の方に『市民の皆様からの一般の方向けのクエストボード』って書いてあるし、もう一つ隣に『冒険者の方向けのクエストボード』がある。


 そっちには、『ウルフの爪を四本集めて来てくれ』だとか、『ミニボアの毛皮を二枚集めて欲しい』なんてものが張りつけてあって、こっちは最初に想像してたものとそんなに変わりはなさそうだ。


 最初に見てた方は町の人たちのお小遣い稼ぎみたいな感じで使われてるのかな。


 まぁそれは良いとして、何かクエストはーっと。

 意外とこのクエストボードって大きいから少し探しにくい。とはいっても、背の低い人にも配慮してあるのか高さ自体はそこまでないんだけどね。その代わり横にだいぶ長いけど。


「あ、これ良いんじゃないかな」


 そして見つけたのは一つのクエスト……というより、氷結の森やその周辺のだと一つしかなかったクエスト。


 内容はこんな感じ。



 ・氷結花の採取(急ぎの依頼)

 依頼者:フィネア(代筆:リソア)

 お母さんが病気で倒れちゃったの。

 お医者さんが言うには、治すには氷結の森に生えてるって氷結花が必要なんだって。

 だから、誰か氷結花を代わりに取って来てくれませんか?

 報酬:4200ガルド、回復薬三個、マナ回復薬二個

 備考:氷結花は基本的に中心部と外周部の境界付近に自生していますので、レベルの低い方でもこのクエストを受ける事は大丈夫ですが、中心部にほど近い場所まで近づくのでくれぐれもお気を付けください。



 何気に昨日のウィンドソードで所持金が半分以下になったから、報酬の4200ガルドってのは嬉しいし、花の採取なら比較的簡単だと思うから向かうついでにやるクエストにしては楽だろうしね。


 それに、元々は中心部を外周部のギリギリから様子を見てくるってつもりでもあったし、丁度良い。


 にしてもリソアさんって、受付嬢のわりにあれやこれやと働いてるイメージがあるんだけど、本当に受付嬢なのかな。


 って言う疑問はいったん置いといて。


 クエストってどう受ければ良いんだろう。


 ただ目的のものを持ってきたり倒したりしても意味ないだろうし、これ剥がしてカウンターに持って行けばいいんだろうか。


 どこかにクエスト受注までの流れ、みたいなのとか掲示してないかな。


「見つからないならいっか。間違ってたならその時は教えてくれるだろうし」


 クエストボードを色々と探してみたものの、見つかりそうも無かったので普通に剥がしてカウンターに持って行くことにする。


「クエスト受けたいんですが」

「かしこまりました。それではギルド証の提示をお願いします」


 カウンターにいた受付嬢にクエストの紙を渡すと、ギルド証の提示を求められた。

 けど、ギルド証何処にやったっけ。というか渡されて確認した後に消えたような……。とか考えていると、いつの間にか手の中に現れていた。これ、どう言う事だろう。


 まぁ、こういうところは気にしたら負けか。雑に結論を出して、ギルド証を受付に渡す。


「――はい、確認しました。それでは、クエスト達成時には隣のカウンターで目的のアイテムと一緒にギルド証を提示してください。ご武運を」

「わかりました」


 良かった、受け方は間違ってなかったみたいだと思ったところで、クエスト受けるときと達成した時にはカウンターが違う事で最初に間違えなくて良かったとも思ったのはここだけの話。


 さて、それじゃあ早速目的地に向かおうとして外に向かった時に、クエストボードとはまた違うボードに目が留まる。

 それは、『モンスター活性化による危険地帯のお知らせ』。私は、そのボードの中に張られた一つの注意事項に目が引き寄せられた。


 内容は、氷結の森に関して。


 どうやら昨日から中心部にしか生息していない筈の『フォレストボア』が、外周部にも進出しているらしく、それについて注意するようにという注意書きのよう。

 フォレストボアに対する推奨レベルは最低でも20、今の私では勝てない相手だ。これは、散策中に出くわさないように気を付けないといけないかもしれない。


 この事項を頭の隅に留めておきながら、私はギルドから退出していった。



今回の単語解説コーナーはお休みです、すいません。


再び予定より投稿が遅れて申し訳ありません。

最近、そこそこ酷い風邪に罹ってしまいまして、あまり書くことが出来ませんでした。なので、今週はこれ一話だけになります。


それと、治りも遅いので来週も下手をすれば一話しか投稿できないかもしれません。一応予定としては、来週の土曜日に投稿する予定なのですが、遅れてしまったり投稿できなかった時は本当に申し訳ないです。


では、今回はここまでです。


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