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Fragment of Memories  作者: 詩空
第一章 リーザリア・エルフェルド
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3-3 クリアからのプレゼント


 無事に着替え終わり、更衣室から出た後クリアの姿を探してみると、近くにあったアクセサリー系の売り場に居るようで色々と物色している様子。


「お待たせ、クリア」

「着替え終わりましたか、どうでした?」

「うん。サイズもピッタリだったし、凄く良い」


 会話をしながらもクリアは何かを選んでいたようで、それを選び終わったところでようやく振り向いた。


 すると、こっちを振り向き始めて私を視界に入れたところでクリアの動きが急に止まったかと思うと、こっちに完全に振り向いてじっと私の上から下までを観察し始めて、今度は何かに納得したかのように頷いている。


 一体どうしたんだろう。ここまでじっくりと見られると、流石に少し視線がむず痒い。……まさか、こんなところでリソアさんの気持ちを思い知ることになるなんて思わなかったけれど。


 いい加減に止めようかと思い始めたとき、クリアが私の頭に手を伸ばして何かを付けいて行ったかと思うと、それを付けられた私の姿を見るなり。


「うん、良いですね。やはり銀にはこの色が映えます」


 と、感想を告げて、私がその何かを確認する前に呼び出しベルを鳴らしていた。


 クリアに聞こうと思っても、その本人はカウンターに近かったからかすぐにやって来た店員さんとやり取りを始めてしまったため、丁度良く近場にあった鏡で確かめてみる事にして自分の顔を確認してみると、左側頭部に黒い片翼の様なアクセサリーが付けられていた。


 それは大体手のひら位のサイズでありながら全く重さを感じさせず、さらに私の知らない素材で出来ているのか、凹凸のはっきりとした表面のわりにとても手触りが良い。


 そのアクセサリーの意匠とかを確認していたら、いつの間にか代金が払われていて、プレゼント扱いだったのかすぐに私のものになる。そこで、このアクセサリーの詳細を確かめていないことを思い出して、確認してみると。



 ・黒翼の髪飾り DEF:-9、INT:25、MIND:12、DEX:5

 とある古き存在をモチーフに作られた髪飾り。

 その存在は争いを厭いながらも、強大な力を保持していたとされる。



「へ?」


 マイナスステータスはあるけれど、それを補って余るくらいでこのお店にある防具に勝るくらい高性能のアクセサリーに、思わず呆けたような声を出してしまったのは勘弁してほしい。


 だけど、何でこんな性能が良いのがこのお店にあったんだろう。


 試しにその辺りにあった同じ髪飾りタイプのアクセサリーの詳細を見ても、安物のせいか大体にして上昇するのが多くても2つで、ステータスはプラスされても二桁に届かない物ばかり。だとすると、これって相当高いんじゃないだろうか。

 それなりに高くても、マイナス補正があったとしても精々片方が10を少し超える程度だし、本当になんであったのか不思議なレベルだと少し考えこんでいたら、会計を終わらせたクリアが戻ってきていた。


「これ、どうしたの? だいぶ性能が良いみたいだけど、高くなかったの?」

「8000ガルド程度ですから、そこまで高いものではないですよ」

「いや、でも普通に胴防具と同じくらいの値段だし……」

「気にしないでください。ささやかですけどこれは、私からのお礼なんですから」


 お礼……? 私、そんなお礼されるようなことしたっけ。心当たりはあるけど、あれは私の勝手でやった事だから、お礼なんてしてもらう必要ないんだけど。


「わかるけれど不思議って顔をしてますね。ですが、これも私がお礼をしたいからプレゼントするんです。だから、受け取ってください」

「うん、わかった。ありがたく貰うね」


 そんなことを言われたら断る訳にもいかないし、あんまり好意を無駄にもさせたくないからね。流石にあんまりにも高いものは貰えないけどさ。


 でも、これは普通に嬉しいかな。


 お礼として、今の全財産の半額位のプレゼントを渡してくれる程には信用してくれてるってことだし。嬉しいよね、こういうのって。

 この信用を裏切らないようにしないと。手始めには、普通に生きていけるくらいのお金を稼げるようにしないとかな。防具も新調したんだから、どんどん先に進んで行けばもっと価値のあるものも手に入るだろうし。


 そういえばだけど。キョウ曰く、昨日はシズクがあそこまで強く無かったら、途中で何度か引き返すことも考えてたらしい。だから、レベルが上がっててもクリアと二人で進んでいくなら初期防具じゃ辛かっただろうと思う。


 情報サイトでも次の町に着いてからがモンスターの強さ的には本番らしいから、警戒していかないと。昨日の夜みたいに油断して、不意を突かれて倒されでもしたら洒落にもならない。

 まぁ、どっちにしろ頑張るのに変わりはないよね。ゲームの中とは言え、一人の人生を背負っちゃったんだから。


 と、その時。


「あれ、トアにクリア。もう選び終わってたのか」

「あ、おねーちゃん。良く似合ってるね、その装備。もう少し露出多めでも良い気がするけど」


 ようやく防具を選び終わったらしい二人が、さっきの店員さんに連れられてここまでやってきていた。


 さっきまで何を言い争っていたのかわからないけど、思ったより時間かかってたね。


「遅かったね、二人とも。さっきは何を言い争ってたの?」

「それは私も少し気になります。何があったのですか?」


 クリアも流石に何があったのか気になっていたみたいで、私と一緒に聞いてみたものの。


 二人してどこか言いにくそうに苦笑を浮かべるだけで話してくれそうには無かったけれど、二人でじっと顔を見つめ続けてみると耐えきれなくなったようで。「着替えてくる!」と言い残して、二人とも更衣室に逃げ込んでしまった。


 ……本当に一体何の話をしてたんだろうね、あの二人。聞かれて困るような事なら、あんな大声で言い争わなければよかったのに。


 あ、もしくはあれかな。言い争ってた時は必要だって思ってたけど、後々冷静になって考えてみたらくだらなさ過ぎて恥ずかしくなったってやつ。あの二人ならこっちの方があってると思う。というか、何度か遭遇してるし。


 二人を待ってる間、少し暇だったからクリアとのんびりそんな話で盛り上がっていると、キョウが入っていた更衣室の扉が開いて、なんでか若干顔が赤くなったキョウが出てきた。


 キョウが装備しているのはシンプルで軽そうな金属の鎧に籠手と脚当て、皮のグローブにブーツ、ズボンらしい。メインが金属にしてはだいぶ動きやすそう。


「あんま思い出したくない恥ずかしい話をするなよ……」


 出てきて開口一番にそんなこと言われたけど、キョウが恥ずかしがるような話してたっけ。今でもよく見る事を話してただけなんだけど。


 でもさ。


「そんなこと言うなら、いい加減にどうでもいいことで言い争うの止めたら? 今回でもう何回目だって話だし」


 ってだけの話なんだよね。


 繰り返し何度も同じような事されてたら、誰かに話したくもなるよ。――呆れすぎて。


 幾ら何でも、流石に多すぎる。

 例えば、七年前にあった事だけど。おやつのケーキはどれが一番かって事で争ってたんだっけ。最後は結局、お互いが一番だと思うケーキを半分こにしてたけど。


 この頃はまだ可愛かったけどさ、微笑ましくて。


 年齢を重ねていくと、休日に着ていく服はどんなのが良いかとかもあったし、お肉は牛が良い鳥が良いとか、チーズケーキはレアだベイクドだとか、音楽のジャンルはとかあーだこーだと……うん、好きな方で良いじゃん。何でいちいちそんなことで長々と言い争って、冷静になったら恥ずかしがるってのまでをワンセットで何度も繰り返すのかな。


 あー、うん。これ以上はもう考えないでおこう。要らないストレスをため込みそうだし。


「まぁ……その、なんだ。止めようにも色々とあるんだよ」

「ふーん。色々って?」

「すまん、それは言えない」


 なんというかシズクも何か関係ありそうだね、これ。

 でもまぁ、何か問題ある訳でも無いし、深く突っ込むのは勘弁してあげようか。……なんか踏み込んだら踏み込んだで凄い地雷を踏みそうな予感がしたとか、そんなことは決してないから。


 そうして今度はキョウも混ざりながら再び話を再開してから少しして、ようやくシズクが更衣室から出てきた。


 こちらの装備の構成はキョウと似通ってはいるけど、ズボンが黒いスカートになってるのと、鎧が少し派手なのが違う点かな。でも、鎧の形状的には軽鎧というよりは……中鎧? あまりこういった物は詳しくないから、なんて言えばいいかわからない。


 シズクは少し離れた部屋に入っていたからか、キョウの様な反応は示さずとも話し込んでいた私たちを見て少しむくれたような顔をしている。


「皆で一体何の話をしてたの? 楽しそうだったけど」

「んー、昔話かな? 主にシズクとキョウの」

「え゛」


 なんかシズクの口から聞いたことのないような声が出たんだけど、大丈夫かな。


「少し昔の話してたら、クリアが色々知りたいって言うから教えてたんだけど」

「なかなかに微笑ましい話が多かったですよ。ええ」

「っ~……!!」


 クリアの言葉を聞いた瞬間、何でかシズクが急に項垂れた。


 別に変な話もした訳じゃないし、何でこんな反応してるんだろう。恥ずかしいだろうなっていうのとか、話されたくないようなのは話さないようにしたし……何で?


「キョウさん、何で止めなかったんですか!?」

「あー、うん。諦めろ、シズク。目の前で延々と話された俺よりは、遥かにダメージは少ない。それに、多分クリアには遅かれ早かれ気付かれてたと思うし」

「そうですね……。私も一緒のパーティでやるってすればよかったかな」

「?」

「やっぱりわかってねぇ、こいつ」


 何の話だろう、キョウが言う通りさっぱりわからないんだけど。

 あ、あれかな。私自身の話をあんまりしてないからかな? でも、私の事については話すことあんまりないというか、話したくないというか……。うん、なんだかごめんね。


「あー……なるほど、そういう事ですか。ご愁傷さまです」


 クリアも何の話をしてるのかわかったみたいだし、なんだかすごい疎外感を感じる。


 まぁ、わからないならわからないで良いか。それも仕方のない事なんだろうし。

 シズクとキョウがワイワイやってるのをどこか優し気な眼で見つめているクリアという光景をのんびりと眺めつつ、私はある一つの事に気付いた。


「そういえば――」



 ――防具も買い終わったけど、お昼過ぎまでどうするんだろう。私、何も聞いてないよ?


今回は、投稿が予定より大きく遅れてすいませんでした。


今週は色々と私用でやることが多くて、思った以上に時間が取れなかったため短めなのと、今週は今話だけの投稿になります。


それとですね、個人的な諸事情より来週から投稿を土日連続投稿に変更させてもらいます。なんというか、地味に間に合わないことが多いので……はい。


後、今回の単語解説コーナーはお休みです。特に無かったです、悲しい事に。


それでは今回はここまでです。


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