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そして雪になる
『 ふいに僕は目を覚まして、体を起こした。
自分の体を見て今だに白い手足があることに悲しくなるけれど、それでもあなたが作ってくれた体だから大切にしなくちゃいけない。そう思ってきたんだ。
さっきあなたと出会った頃の夢を見たよ。
小さくて可愛いあなたは僕の友達だった。
あの日の様に今日は、はらはらと雪が降っている。
あなたの好きな雪が。
だから僕はあなたの墓へ向かう。
ずっと雪が降るまでは行かないと決めていた。
あなたの隣りで空を見上げるために。
あなたは土に還り、雪解け水に溶けていくだろう。
雪に溶けた僕はその水に混ざり、空へ昇って雲になり、いつか本当の雪になれる。
目だけになった僕は、ここからずっとそれを見ているよ。
もう僕には砂糖がなくなるけれど、その代わり、誰かがこの城へやって来た日のために、見た夢もあなたのことも全部、ここに記そう。
もうすっかり城の中が紙に埋もれてしまったけれど、これが最後だ。』
雪が降ったら思い出してほしい。
白い氷の粒が甘かったら、それは僕たちなんだ。