■結果は……
いよいよ、竜之介の能力が試される時。
異例の青剣と、ハルを持っている竜之介は、ちょっとした有名人になっており、周りには試験を終えた連中が竜之介の周りを取り巻いていた。
「よし、じゃあ……行くぞ!!」
*うむ!! どーんとわしに任しておくがいいッ!!*
竜之介は気合を入れて試念柱に向け剣を振り切った。
*者どもっ、見よっ!! これがわしの力ぢゃああっつ!!*
「たぁあああああああっつ!!」
「おおおおおおおおおおっ!!」
周りがどよめいた。ハルの言った通り、目の前の試念柱は見事に木っ端微塵と……ならず。
そればかりか、試念柱はピクリともしていなかった。一斉に周りの声が驚きから爆笑と罵声に変わる。
「な、何それ?」」
「あはははははははは!! ばっかみてー」
「ピクリともしてないでやんの!!」
「けっ、思った通りだよ!!」
「みかけ通りじゃねーか」
「ははははははははははっ!!」
竜之介の耳に嘲笑が木霊する。それから逃れる為に耳を塞いだとき、音々に肩をぽんぽんと叩かれた。
「君……。普通は能力を確かめるだけのものだけなんだけど、この段階で能力0って、ちょっとありえないなりよ。残念だけど、君は不合格なりね」
竜之介は呆然としていた。
*馬鹿な、こんな事が!! こんな事があってたまるものかっ!!*
ハルは納得していない。
「あ、武器は解除で鍔が元に戻るから、ご苦労さん、才能なし夫君」
「なし夫……はい……分かりました」
罵声を背に浴びながら、竜之介は肩を落として試験会場を後にする。
*お前……本当に抜け作じゃ!! 本来ならこんな物ではないものを……!!*
ハルは情けない表情をして悔しがっている。
*はぁ……もう良いわ。貧乏くじを引いたと思って諦めるわぃ*
「あ……ハル!!」
ハルは大きな溜息を付いた後、水晶に戻っていってしまった。
竜之介が試験会場を出た頃はもう夕刻になろうかという時間となっており、まだ冷たい風が身と心に凍みていた。
「はぁ……やっぱり駄目だったかぁ」
不合格となった者は棋将武隊に守って貰う側となる、つまり一般人として生きていくことになるのだった。
「ま、最初に予想した通りの結果となった訳だ」
竜之介はこの時脳裏に、父親の残念だったなの顔がちらちら浮かんでいた。
「くそ……ちょっと腹が立ってきた!!」
太陽が沈みかけていくのを横目に竜之介は呆然と階段を一段一段降りていく。そしてもう一段と降りた時、足が空を切った。
「わっ!!」
体のバランスを崩し、竜之介はそのまま宙を舞った。
「あーーーーーーっ!!」
――ごろごろごろごろごろごろごろごろ、どん!! がんっ!!
強い衝撃音を頭の中で響かせ、石段を転げ落ちた竜之介は目の前が真っ暗になっていくのを感じながら、そのまま気を失ってしまった。
その時、黒と赤の光りを放つ2つの人魂がぐるぐると竜之介の頭上を浮遊していたが、やがてそれらがゆっくりと降りてきて、竜之介の体の中へすーっと消えていくのであった。




