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【―Anders―】  作者: 地価
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変化の一日次編

ノイズ…うっすらと聞こえるその音でうっすらと瞳を開く。だんだんと現実味を増していく世界。映像と共に鮮明になっていく音は次第に大きさを増していく。


「っ…煩いな…。何でテレビが…。」


そう言いながらも未だに重い体を引きずりながらリモコンがある場所へと歩いていく

昨日は何があったのか…今は何時か…。未だに頭は割れそうに痛む。そのせいで記憶を辿ることがうまく行えず、しかたなく昨日の出来事を思い出すことをあきらめた。


時計を見れば午前三時。外はまだ暗く夜のようだ。


「よかった…まだ…寝れる…。」


そう呟けばたどり着いたリモコンへと手を伸ばす。そして耳に障るノイズを消し去ろうと電源へ手を伸ばした。


……押したはずだ。壊れたのか?ノイズを響かせながら無機質な灰色の砂嵐は止まる事をしらずに只鳴り響く。


しかたなくテレビの本体へと歩みを寄せる。リモコンはまったく効果を示さなかった。ならば本体の電源を落とせば問題がないだろうと判断したまで、いざとなればコンセントを抜けばそれで終了だ。鳴り止まない頭痛とノイズ。何かしらの違和感とともに歩みを進め電源のボタンへと手を伸ばした。

「故障…?リモコンも…本体も機能していない…。フリーズ状態…。」

幾度もボタンを押す。カチカチカチカチカチカチカチカチ……無機質なボタンを押す音がノイズと混じりつつ部屋へと充満する。


眉をしかめる。頭痛は鳴り止まず一層痛みを増していく。煩いテレビの音は消すことを出来ずさらに苛立ちを募らせる。状況はうまく把握できないものの仕方なく、いやそれしか手段が無くなった。そういう結果となってしまったがコンセントへと手を伸ばしていく。肩膝をつけてプラグへと手をつける


――「あー。マイクテス。マイクテス。聞こえてるよなァ?」


不意に聞こえたのは聞き覚えの無い男性の声。一瞬テレビが復活し、チャンネルが回ったものかと考える。しかしすぐにその考えは打ち破られた。テレビで「マイクテスト」などするはずもない。

将に不思議だらけ。


連続して起こり続ける出来事に対処しきれない心は混乱を起こし、鳴り止まない頭痛のために虚ろとなった瞳をテレビの画面へと向ける。


其処に映る男性は…黒髪を逆立てさせオールバックの形にしている。後ろ髪はうなじに掛かる程度。目つきの悪い瞳は自然に睨まれているという感情を抱かせる。


「早速だなァ。俺達の名前は【デニィ】性格には俺達の組織、だな。俺達はこの世界を浄化する。明日―――午後1時30分。行動を開始する。場所は…そうだな。南深木地区三番地。其処に現れる。精々楽しみにしてろよ?」


その言葉で電源はひとりでに切れる。

わけも分からない紫苑の元に残されたのは響き続ける頭痛と…そして虚空に響く静寂である。


「―――本日、早朝。何者かにより放送システムの全てがのっとられたという情報が入っております。詳細は不明。犯人グループと見られる【デニィ】と呼ばれる組織ですが、それについても詳細は一切分かっておりません。現在保安部隊が調査を進めております。尚、そのときに放送された映像が…こちらです。」


その言葉と共に今朝見たばかり、頭痛は激しかったものの未だにわすれることは出来ない映像が繰り返される。内容は犯行予告と見られるもの。

顔も知られているということからすぐにつかまるだろうと安易に考えつつも朝食としてトーストを齧る。


「現在入った情報によりますと…えぇ…放送は全世帯の98%――此れは放送媒体をもっている家庭と一致とのことですから…つまりは家に放送媒体が存在する家庭すべてに同時、同時刻に流されたもの、ということになります。」


あの時、放送がちょうど終わり。そしてそれと同時に頭痛は鳴り止んだ。荒ぶる鼓動を静めながら胸に手を当てていれば突如携帯が鳴る。今度は何なのかと思いつつも画面を見れば「北条戒真」の文字。

「―――どうやら…紫苑も同じ…放送をみて、そして同じ頭痛を感じたようだね。」


二人してため息を付いた。そしてそれからのことは余り覚えていない。どっと疲れが出てきたのか、二人ともとりあえずは眠りに付こうという結論にいたったのだと思う。


そして今午前8:00。


もっと早くから起きていた戒真の話によればあの放送が終わった時から一時間、全てのチャンネルは砂嵐になった。


そして復帰したのは午前4:30。それからずっと新手のテロだとか愉快犯だとか、そんなことばかりニュースで流れている。


実際僕が起きたのは7:30。それからどのチャンネルを回してもその報道ばかりである。

何でものっとった方法や、その先など、何もかもが不明なんだそうだ。


ピーンポーン。


その音で意識が戻された。最期の一口、トーストを食べ終えればコーヒーで流し込む。

玄関へと駆け寄り、そして扉を開けば見知った二人の顔。



「速かったな…。いらっしゃい。」


「話し合いたくてね。とりあえず…あの後吏都にも連絡を取った。そしたら…」


「とりあえずはあがらねぇか?立ち話もなんだしさ。」


「それは紫苑の台詞じゃないかな?」


いつもどおりの吏都の能天気さ…かわらないと思わず苦笑いを浮かべる。


「良いよ。どちらにしろ長くなるかもしれないし…御菓子とかもってくるから部屋に行ってて。場所は知ってる…よね。」


言い終わらないうちにずかずかとあがりこんでくる吏都。もう慣れに慣れたマイペースに驚くことも無く呟く


「戒真もあがりなよ。別に見られて恥ずかしいものおいてるわけじゃないし。強大みたいなものだから遠慮はいらないさ。」


「そうかな…親しき仲にも礼儀あり…硬すぎか。じゃ、お邪魔します。」


「靴をそろえているところはやっぱり…礼儀正しいんだよね…隣の脱ぎ散らかした吏都の分をそろえているところも…。」


そう呟けば戒真は苦笑いを浮かべながら部屋へと足を進めていった。


「とりあえずはまとめると…僕たち三人ともに同じ時刻に頭痛が始まったんだね?」

ボリボリボリボリボリボリボリ


「そういうことだね。ちなみに他の人に聞いたけど放送は見たけど頭痛は無かったらしいよ。」

ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ


「はぁ…なら分かってるのは僕達三人だけか…それで…どうする?」

ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ


「んなぁッ!戒真ッカキピーのピーナッツばっか食ってんじゃねぇ!!」


「別に良いでしょ。このピーナッツがおいしいんだから。カキの実は吏都にあげるからさ。」


「おっ、くれんのかッ……じゃなくて、平等に食わないとカキの実が可哀想だろッ」

「大丈夫。カキの実に意識は無い。勿論感情もね。」

「そんなことはいいからハァ…とりあえずはいってみる?南深木地区三番地に一時半。まだ時間はあるから大丈夫だろうし、…もし愉快犯でもあそこは大体都市かされてるから遊んで帰るのもいいだろうし。」


昨日の放送の内容を思い出しながら言う。覚えでは南深木地区三番地に一時半。その周りは十年前の隕石被害で多少の被害を受けたのにも関らず一番復興が早く、今ではもっとも都市が進んでいるといえる場所だ。もし本当に出るのであればそれを確認できればそれでよし。でなければ遊ぶという選択も出来るだろう。その辺を考えて提案してみた。…予想通り真っ先に反応したのは吏都。


「ここでカキピー食ってても何にもならねぇしな。とりあえずは行ってみようじゃねぇか!!」


「ん………まぁ…良いか。」



前向きの鏡状態の吏都に比べ多少の影はあるものの戒真も了承の返事をする


「決まれば行動!ぼやぼやしてると乗り遅れるぜ?」


カキピーをいつの間にか平らげた吏都。意気揚々と立ち上がれば颯爽と階段を降り玄関へとかける。


「僕達も行こうか。」


戒真はそれに続く。次に紫苑。ここで、物語は動き始めることを…今は知らない。



此処は南深木地区三番地。今朝のこともあってか現在11時前にもかかわらず余り人通りは多くない。むしろ報道陣がちょろちょろと見える程度である。


「あら?見たことある奴等ねぇ。」


歩く三人を見かけたのか集団の女子軍団の中の一人から声をかけられる。


彼女の名前は「胡風ほのか」所謂ツンデレ。…いや、それには御幣が出てくる。ツンしか見たことがないのだから。


「なにマジマジみてんのよ紫苑。変態。」

本気に怪訝そうな顔で此方を見てくるその瞳に容赦は無い。完全に蛇に睨まれた蛙の状態である。


「まぁまぁいいじゃんかァ。せっかく会えたんだしさッ。」


その二人の中間に入る少女。明らかに他の人たちよりも小さいその体は余り二人の間に入ってきても意味は無い。彼女は「葉歌遥」クラスのムードメーカーの位地を日夜吏都と競い合うほどのお転婆。


「そうだねぇ。確かに面倒だしやめた方がいいって三月も言ってるしさぁ。」


「……言ってない。」


本を片手に持つ静かな少女と髪をポニーテールにした少女が口を開く。無口な様子は「如月三月」名に月が二つはいるおしとやかな少女。そしてさらっと人のせいにした少女は「新嶺美琴」。全員同じクラスの少女軍団である。そして…全員が同じ境遇ということも分かっている。つまりは十年前の被害にあった。それが彼女、そして紫苑たちをつなげているのだ。


「ハァ…騒がしいのとあった…」


思わずため息をつく紫苑。腕時計を見ればすでに11時を回り12時に近い程度。そういえばおなかもすいたことと思ったところで戒真が口を開く。


「此処にきたのは当然昨日のことだよね?なら暫く一緒に行動しない?どうせ目的は一緒だからさ。」


「……良い。」


「って…此処で三月登場!?積極的ねぇ…まぁ良いけど。」


ということで共々の同意が得られたことからとりあえずは早めの昼食をとることになった。

「勿論男子陣の驕りだよね?」


「「「え…」」」








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