「変化の一日《日常》」
僅かに残酷描写がありますのでそのために警告タグを入れておきましたが基本ソフトなものとなっています。
どうか読んで頂ければ嬉しいです。
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何の前触れも無い、まさに突然の出来事だった。聞くところによれば宇宙の防衛センターもその存在を感知できていなかったらしい。3050年、僕達の住んでいる星に巨大な隕石が降り注いだ。
「げ、現在地球に未確認の物質で構成された隕石が接近……」
そこまではテレビで映された。刹那、悲鳴が轟く…しかしその悲鳴たちも一瞬の後には消え去り、静寂と真白な光が視界を埋め尽くした。何も無い――そんな世界だった。薄れゆく世界の価値、僕がその最後に見たのは、妖弧の仮面をかぶった白のワンピースを着た一人の少女だった。
改めて考えてみれば、何故あの状況で星が無事だったのか、それすら分からないほど大きな隕石だったらしいし、10年で回復できるとは思えないほどの壊滅状態だった。実際それほどの被害だった。中枢都市には何万というほどの居住者がいたにもかかわらず生存者は数えるほど。僕もその一人だ。
少年――「古手紫苑」は生き残った一人として幾度となく問われた隕石についての質問に尽く、そうやって答えていた。
紫苑は何気ない雰囲気で隣に歩いている同じく生き残った少年「北条戒真」と話す。
「この街も随分と復興したよね。」
「そうだね…確かに此処はひどい有様だった…。」
時は3060年―――未曾有の地球の危機から10年後――
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「でも壊滅状態なのは僕達もおなじだよね?」
「壊滅…?」
突然切り出された戒真の話についていけない紫苑は首をかしげて言葉を繰り返して問う。しかしその話の結果はすぐに見つかった。
「テストか…。」
そう。僕達はいたって普通の高校生。勿論といって授業があればテストもある。10年前にすさまじい体験をしたとは思えないほどの普通の生活を送っているのだ。
「おーい!ちょっと待てよ。」
不意に背後からいかにも男と言った声が聞こえる。この声の主は振り向かずとも分かるものだ。この少年は「前原吏都」。戒真や紫苑と同じく、10年前の生き残りである。そして…言うのであれば僕たちよりもテストは壊滅的だ。
「はぁ…はぁ…先に行くなって。もうちょっと待ってくれても良いだろ?」
「もう、ちょっとってさ、何分遅れなのさ。」
「ふむ…約束の時間から32分遅れだね。」
「うっ…で、でもさ、やっぱりテストの日くらいぎりぎりまで寝たいとおもわね?」
「思わないよ…というか勉強しなよ。」
思わず突っ込みを入れてしまうほどの能天気な性格は昔から変わらない。どちらかといえば真面目に受けてしまえばこちら側が脱力してしまうのだ。ため息混じりに軽い冗談を交えて話していれば戒真が突然声を上げて話す。
「やばいって。もうすぐ完全登校時間すぎるよ。」
時計をみた戒真はその時間が指す意味をすぐさま察知して走り始める。こうやって毎日が始まっていくのだ。何時も通りなら、そう…あの日、全ての歯車が狂いさえしなければ卒業までずっと
そして…―――暫くして只今テスト中…。
紫苑は止まることの無い手をただただ動かしていた。
いましているのは数学。どちらかといえば得意分野である。どうやら戒真も苦手では無いらしく少々、とどまることがあるものの基本的には解けている。
一方…予想通りというべきか、吏都は………言うまでもないだろう。其々のテストタイムをすごすこと約三十分ほど…。
三人其々が解けていることは別として最後の問題を書き終わったところで時間切れを知らせるチャイムが鳴り響く。
「ッはァ!あ~終わったッ。さ、放課後なにするよ?」
チャイムと同時か、数秒後かに吏都がいきなり声を上げる。それに続いてクラスメイトたちも徐々に騒がしくなってくる。
「能天気にもほどがあるでしょ。解答用紙真白だったくせに。」
思わず戒真が苦笑しながら言葉をこぼす。しかし、面白いほどに切り替えしが早い吏都はまったく気にする素振りすらなく固まった節をほぐしている。
「んぁ?終わったんだからあきらめろって。そんなことよりやっとテストから開放されたんだからさ。」
「テストに束縛されてもないくせによく言うよ。」
三人とも共に笑う。しかし結局は遊ぶという結論を吏都が押し切って町にでも出かけるということとなった。
「さぁ、行こうぜ!」
その言葉で三人は其々足を踏み出した。
遊び続けて数時間。カラオケにゲームセンターと楽しく遊んだ。まるで何かを忘れるかのように。……主にテスト。
そしてあっという間に時は流れ帰宅―――それは心が安らぐ場所への帰還…少なくとも紫苑はそういう風に捕らえていた。時間は午後7:00 普通の家庭ならば親族が家におり、…もしくは何らかの用事で出かけているであろう時間である。
しかし、紫苑にとっては違う。あの隕石の衝突によって自分以外の家族は死んでいるのだ。つまりは戒真や吏都も同じ。あの隕石は紫苑たち幼い少年、そして少女達から全てを奪い去っていった。日常も、知人も…全て。そして…最後に見たあの少女…。
「いけない…思い出していたら限が無いな…さて、夕飯でも準備するか…。」
頭を横に振り記憶を飛ばす。すでに傷つけられた心は癒える事はないだろう。只救いは気絶までの時間が短かったことあるといえる。さらに幼かったことあり記憶は朧げであるのだ。
その短時間でも、その幼い精神でも、大きな傷をつけるほどの影響力ではあったことは間違いないであろう。
包丁を握る。まな板を用意して野菜に手をかけて、そして―――――――
そのとき言葉に表すことが出来ないほど歪であり…そして何処か聞いたことのある音が頭の中で鳴り響く。
「ッ……!!……何…なんだ…。」
頭を抑え、必死に倒れこむ体を支える。包丁が地面に落ち、それでも頭を抑えて何もできはしない。一体なんだというのか。此れほどまでに不快で…それでいて安らかな、矛盾の感覚…。
その歪な音自体は一瞬だけであった。しかし余韻ともいえるであろう不叫の感覚は未だに続いていた。
「ハァ…ハァ…あれは…あの音は…。」
乱れた息を必死に整えようとする。しかし若干過呼吸のようになった息遣いは収まることを知らずただ紫苑の心拍だけが自らの中で響いている。足元はふらつく。何も考えられない。
「あれは………」
最期…あの時と同じように純白のワンピースの少女が浮かんで…そしてそこで意識は途絶えた。
どうでしたか。今はまだ始まりなので何もないですが、これから少しづつ変わっていきますので今後もよろしくお願いします。




