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境界線のインスティンクト  作者: Kuri shindo


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4/5

交錯する意志

対峙する時間が、永遠のようにも、一瞬のようにも感じられた。

目の前の「影」は、俺の問いかけに対してただ不敵な笑みを浮かべるだけだった。言葉を交わすつもりはないらしい。


その時、そいつの足元から黒い霧のようなものが立ち上り、路地裏の空間全体を包み込み始めた。


「くっ……!」


空気が重くなる。呼吸が苦しい。だが、俺の『本能インスティンクト』は、この絶望的な状況でも冷徹に作動していた。相手の右肩のわずかな傾き、重心の移動。次にそいつがどう動くかが、線画のように脳内に描き出される。


影が、一歩を踏み出した。


普通の人間の目には、まるで瞬間移動したかのように映るだろう。しかし、完全に研ぎ澄まされた俺の視界には、その軌跡がはっきりと見えていた。


俺は全力で体を横に投げ出した。直後、さっきまで俺がいた場所のコンクリートの壁が、音を立てて激しく削り取られる。


「避けたか。やはり、面白い。」


影の言葉に、俺は床に手をつきながら冷や汗を流した。本能がなければ、今ので確実に終わっていた。

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