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僕が彼女を異世界に転移させたわけ  作者: 柚木 潤


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13話 タルフの世界

 かつて、タルフの世界では、社会にとって有能な者とそうで無い者とで二分化されていたのだ。

 科学の発展に伴い機械化が進み、人の働く場がどんどんと失われ、一部の有能な者以外は、行き場を失っていったのだ。

 そして多くの人達の生活は荒み犯罪に溢れ、この世界は生活の拠点も二つに分けられる事になったのだ。

 

 そんな世の中に納得のいかない者たちが、暴動を起こすまでには多くの時間はかからなかった。

 しかし、いわゆる上流階級にいる者達の優れた科学力により、そんな暴動を抑え込む事は簡単であった。

 その後も、世界を変える為に戦う者達が出てきたのだが、容赦ない反撃に太刀打ち出来なかったのだ。

 そして、この世界を支配する一部の者達の指示により、反逆者の一掃計画が進められたのだ。

 それは恐ろしい事に、上流階級の場所以外に住んでいる者達全てに対して、疑わしきは罰しても良いと言う考えであった。

 つまり、多くの人の虐殺が容認されたような計画であったのだ。


 だが、その計画が行われようとした時、ある女性が現れたのだ。

 彼女は高度な科学力にも全く解明することが出来ない、不思議な力を持った者であった。

 彼女は時間や空間、物質に至るまで、自由に操作する事が出来る人物であった。

 その為、何者もそんな彼女に影響を与える事が出来なかったのだ。

 上流階級の者達は、彼女をとても恐れたのだ。

 しかし彼女の願いは、二つに分かれてしまった世界を昔の様な一つにする事だけであった。

 争いの無い、共存出来る世界に・・・

 

 彼女の出現後、戦いが大きく変わったのだ。

 上流階級の人たちからの攻撃は、彼女の力で全てが無効化される事となり、虐げられた人達の暴動も沈静化させる事に成功したのだ。

 彼女は、すべての者に平和な未来のイメージを伝え続けたのだ。

 そして不思議な事に、小さな子供達の中に彼女と同じような力を持つ者が現れたのだ。

 しかし、それは彼女の力の一部を受け取る事が出来るだけであり、彼女の意に反する力を振るうことは出来なかった。

 そして、上流階級でもそのような子供が見受けられるようになったのだ。

 大人達は、不思議な力を目のあたりにした事で、彼女を崇拝する者が徐々に増えていったのだ。

 そして戦いの時代は終わり、数百年にわたり二つに分かれてしまった世界が、彼女が現れて十数年で一つに戻る事が出来たのだ。

 その後は、科学の発展と彼女の不思議な能力が絡み合うような世界に変わっていったのだ。


 この世界に平和が訪れると、彼女の意思は他へと向けられたのだ。

 発展した科学力と彼女の能力により、自分達の世界とは異なる世界が点在する事がわかったのだ。

 彼女の目は、それらの平和をもたらす事に向けられたのだ。

 そして、彼女のいなくなった今の世界でも、彼女の意思を受け継ぐ者が多数存在する事になったのだ。

 タルフもその一人だった。

 彼等は彼女の素晴らしい力を使うことは出来るのだが、彼女の考えに反する事や邪な事に使おうとしたならば、すでに肉体としての彼女は存在しないにも関わらず、彼女からの罰が下されるのだった。

 彼女の意思は、未だにこの世界の至る所に溢れていたのだった。

 

 今においては、突然現れた彼女も他の世界から来たのでは無いかと言われているが、それを証明する物は何も存在しなかったのだ。

 

 


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