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第四十三話・パラダイムの文字

俺たち三人はこれからの予定を話し合うため

王都クルーゼで宿を取ってそこの応接室に居る。

「雪平の剣が仕上がるまで二週間かあ……

大分間が空いちゃうわねえ……

ドミンを倒して得た冷穴の褒賞もあるし

滞在費用とかは全然問題ないけど」

「バスター活動の方を如何するかだな……

本格的な怪物狩りは雪平の武具を新調した後でもいいだろう。

訓練や修養をするという手も有るが……

俺は有用な霊薬や魔道具を入手したり

次に挑む適度な冷穴についての情報を仕入れたい」

「折角王都に来たんだし息抜きに少しだけ観光するのも良いかもね」

「……休養の日はそうしてもいいかもな」

ヴァイスとミルクがそう話す中で俺は切り出した。

「その事だけどさ……

時間があるなら俺はやりたい事があるんだ」

「やりたい事?」

「俺、転移魔法について詳しく一から知りたいんだ、仕組みから何から何まで。

ガイアの伝承についても知りたいし」

帰るためには転移魔法について詳しく知らないと不可能だ。

ほぼ確実に既存の術式をアレンジする必要があるだろう。

パラダイムの転移は地脈と言うものを利用していて

それが通っている場所と場所にしか行けない。

地脈の詳しい理屈についても調べないと……

ガイアが本当に俺の世界なのかも確かめないと……

「転移について?」

ミルクが少し不思議そうな顔をした。

「ああ、そういうのに付いて詳しく知れる資料とか有る場所って知らないか?」

「……そういう事ならば王都にはソーサラーや学者を擁する魔法学院が有る。

魔法に関する研究書や何やらの蔵書はあそこが一番充実しているだろう」

「伝承や神話や癒しの術なら神都の大聖堂の蔵書ね……

でもあそこは神官以外には印可を得た者以外入れないし……」

ヴァイスとミルクがそう答えてくれた。

「学院のほうは少し伝があるから

通常の魔法書を管理する書院には俺が頼めば入れるとは思うが……」

「どっちも誰でも自由に入れる訳じゃないのか」

俺の世界の図書館って物は皆に解放されてたけど……

「本当に極一般的な初級魔法を別として

基本的に部外者は高度な魔術書、魔法書を閲覧できない。

魔力操作が未熟なものが上位魔法に失敗すると大惨事になるからだ。

また悪用されても困るからな。

暗黒魔法などの禁書の類は特に厳重に管理されている」

ヴァイスがそう答えてくれた。

「怪物と戦うための高度な攻撃魔法で人間に被害が出るのは本末転倒よね」

「うーん……俺が用のあるのは転移魔法の詳しい理論と

ガイアや地脈について詳しく書いてある本だけだからなあ」

「……まあ、それくらいだったら何とかなるだろう」

ヴァイスが思案するように手を顎に当てて答えた。

「よっしゃ!!」

アニキは本当に頼りになるなあ……

「だけど一つ問題があってさ……

俺、自分の居たところの文字は覚えてるけど言葉がわかんなくってさ……

だからちょっと前にミルクに話してたじゃん。

文字について教えて欲しいって」

「そういえばそんな事話してたねえ……

でも文字を覚えるとなるとどの文字を勉強するつもり?

大体主要文字体系三つ覚えとけば何処でも通用するけど……」

「え?」

そういえば迂闊だった……

地球にいたときもそうだったけど

日本語、英語、フランス語、ドイツ語など沢山の言語がある。

言語体系や文字体系が国ごと種族ごとに有る可能性はあったのだ。

「やべえ、話し言葉が一つだからつい文字も一つだと……」

「そういえば雪平はなんだか記憶が所々抜け落ちちゃってたわねえ……

パラダイムの話し言葉は一つきりだけど

書き言葉や文字は種族毎に七つあるのよ」

人間族、鬼人族、獣人族、鳥人族、妖精族、竜人族、神族ごとにか……

「こりゃ思ってた以上に大変そうだぞ……」

「大丈夫よ、メジャーなのは王都、神都、帝都で使われてる

人間語と獣人語と鳥人語だけだし……

とりあえず今日の所は数字からいって見ましょう。

雪平も思い出した言葉あったら書いて見てよ」

「お、おう……」

う、ううむ……

日本語とか書いていいものだろうか……?

順調に行くかと思ったらこんなでかい壁にぶつかるとは……

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