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第四十一話・剣を取る理由

暫くクラフト武具店の主人は

ヴァイスがテーブルに置いた指輪をじっと見ていた。

彼の店の片隅に隠されるように置かれていた一品だ。

「なるほど……それなりに目端は利くみてぇだな……」

それからヴァイスの着ている鎧や剣を値踏みするように眺め回した。

「……随分面白い鎧着てるじゃねえか」

「これのことか?」

「見たことのねえ怪物の甲殻だな……

随分と使い込まれてるみてぇだが随分上等な作りだ……

その剣もそうだが……一体何処で手に入れた?」

「……家にずっと伝わっているものだ」

ヴァイスがそう答えると

「……あんたには悪いが

今着てるその剣と鎧以上のもとなると少なくとも

中冷孔の主以上のものが要る……

今すぐには無理だ、素材がねえ」

ばつの悪そうにクラフト武具店の主人は答えた。

「ああ、まだ説明してなかったな……

作って欲しいのは俺の武具ではなく仲間の物なんだ」

「なに?」

「雪平、ちょっとこっちに来い」

「わかったぜ」

ヴァイスに呼ばれてクラフトとヴァイスが話している席まで行く。

「よろしくお願いします」

「……おい、坊主、手を見せてみろ」

俺は言われたとおり掌をクラフトにみせる。

「何度も潰れた跡の有る剣ダコ……

……それなりに剣は振って来てるようだな……

……バスターカードは有るか?」

「はい」

そう言って俺はバスターカードを取り出した。

「シルバーか……

おい、坊主、お前さんの剣を手に取る理由は何だ?

なぜ新しい剣を求める?」

「理由は色々あるけど……今一番大きい理由は

俺は故郷に帰る為に剣を振ってる。

そのためにはどうしても大冷孔の怪物を倒さなきゃならないんだ」

「ほう……でっかくでたな……

だが倒さなくても故郷に帰れるんじゃないか?」

そう答えるとクラフトは軽く笑みを漏らしそう尋ねてきた。

「……それじゃ駄目なんだよ。

俺はどうあってもやらなきゃならないんだ。

諦めたなら俺はタジンの街で暮らしてる。

それに……冷孔の主と戦って俺の力不足を痛感したんだ。

ミルクやヴァイスにこれ以上負担を掛けたくない。

だから、怪物を両断できるもっと強い剣が欲しい」

そう答えるとクラフトはしばし考え込む様子を見せた。

「ふうむ……故郷に錦を飾る夢のため、仲間のため……

そして強さを求める……男の理由としちゃ悪くない……

手とバスターカードを見る限り戦歴もそこそこ……

いいだろう、気に入ったぞ坊主、お前の為に仕事を受けてやろう」

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

そういって俺は頭を下げた。

どうやらそっちの意味でクラフトさんが

上手い事勘違いしてくれたようでちょっとほっとした。

異世界から来たといっても信じてはくれまい。

「何か注文は有るか?」

「あ、皆で仕留めた小冷孔のヌシ、ドミンの大アギトがあるから

それを使ってもらいたいんだけど……」

そう伝えるとクラフトさんは大いに喜びが混じった声で豪快に笑った。

「ガッハッハッハッ!!中々手ごわい奴を倒してきたじゃねぇか!!

こいつは久々にいい仕事が出来そうだ!!」

ガタン、と大きな音を立ててクラフトはイスから立ち上がる。

「おらさっさと付いて来い小僧ども!!やる事が山ほどあるぞ!!」

さっきまでの呑んだくれていた様子は何処へやら。

すっかりテンションが上がっている。

「良かったわね雪平、剣を作ってもらえる事になって」

ジュースを飲み終わったミルクが俺に声を掛けてきた。

「ああ。気難しい人だから心配だったけどその気になってもらってよかったよ」

上機嫌で会計を済ませるクラフトの背を見ながら

ヴァイスが小さくこういう風に呟いたのを俺は聞いた。

「店は豪華になっていたが……志は変わらず受け継がれている用で何より。

全く……クラフトの子孫がちっとも変わっていないようで安心した。

年月の果てに初心を忘れていたらどうしようかと思っていたところだ」

ううむ、ヴァイスのアニキも謎な人だよなあ……

まるで昔から彼のことを知っているみたいだった。

でもまあ細かいことはいいか。

剣を作ってもらえることになったし。

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