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第三十五話・王都へ

俺達の魔法の修行にも一区切り付いた。

そして……俺達は今バスターズギルドに居る。

小冷孔のアカウント売却の手続きを取ってから

修行している間に一週間が経過したのだ。

そのため、報酬が準備出来たそうなのだ。

「お待たせしました、こちらが小冷孔アカウントの

代金金貨千枚になります」

そう答えるタジンギルドの老人の目の前には

皮袋が十個置いてある。

「三等分でいいな?」

「おう」

「もちろん異存は無いわよ」

そう俺とミルクが答えると

ヴァイスはまず金貨の袋を三つずつ俺達に渡した。

……意外と金貨は重いなあ。

ヴァイスは手際よく残り一つの袋を開けて

金貨を三十三枚ずつより分ける。

「……一枚余るな」

ヴァイスは一枚の金貨を眺め思案げな表情を作る。

千枚の金貨を三等分すれば一枚余るわな……

「俺は遠慮しとくわ。前の小冷孔の戦闘ではそんなに役立ってなかったし。

ヴァイスのアニキかミルクが貰ってくれよ」

俺は少し遠慮した。

三等分でもちょっと貰いすぎかなあと思うくらいなんだから。

しかしこれ日本円にしても大金だろうなあ。

全部で金貨三百三十三枚。

えーと、金貨一枚十万くらいか……

三千三百三十三万……大金だなあ。

あ、でも命掛かってる金だからなあ……

実際問題、俺はドミンに轢かれて大怪我を負った事を忘れてはいない。

ミルクの回復魔法が無ければ今もベッドで唸っていただろう。

高いと見るか安いと見るかは人によるな。

「俺は要らん、ミルクがとっておけ」

ヴァイスは些事だと言わんばかりにきっぱりと言った。

「ありがと、むう……

ちょっとした成金になっちゃったなあ……

で、これからどうするの?」

「……王都に行こうと思う」

ヴァイスの口からそんな言葉が出てきた。

聞いたことはあるが行ったことの無い地名だ。

話では大冷孔に出来た街だから

相当規模の大きい町である事は伺える。

アニキの事だから遊びに行くわけではなく明確な目的があるはずだが……

「この街の鍛冶屋ではドミンの大アギトを上手く加工できそうにないからな。

それからは王都周辺で手ごろな中冷孔の情報を探そうと思う」

「なるほどね」

「良い機会だからミルクもその金で装備を新調する事をお勧めする」

「そうね……私ももう少し魔力収束率と増幅率の高い武器が欲しいし……

王都ならいい装備も揃ってるでしょうし」

ミルクも頷いた。

「で、どうやって行くんだ?」

俺はそんな事を二人に尋ねていた。

馬車で護衛の仕事を受けつつ行くのか

それとも冷孔転移で一気に王都に行くのか……

「今回は冷孔転移で行こう」

「まあ、お金もあるしね」

「じゃあ、決まりだな」

「丁度明日が光の日で冷孔転移が使える。

宿に戻ったら引き払えるように

夜の内に全ての荷物を纏めておけよ」

タイミングが良かったなあ。

そういえば冷孔転移は一週間に一度だっけ……

「おう」

「はーい」

しかしこれで一旦タジンの街とはさよならか……

一番最初に来た町で

バスターとして最初に頑張り始めたから色々あったなあ……

「オープンドシールの皆様が王都に行ってしまうとなると寂しくなりますなあ」

ギルドのおじいさんが名残惜しげにそういった。

あ、覚えててもらえたんだ。

「皆様は近年まれに見るペースで怪物を狩っていましたからな。

しかしその速さが危うくも思えるのです。

バスターは常に命を危機に晒す職、死んだら元も子もありませぬからな……

王都でもお気をつけて……貴方方の成功をお祈りしていますよ」

「……ああ、世話になった」

「こっちに来る機会があったらまた宜しくねー」

「おう!!ギルドの爺さんも元気でな!!」

俺達はギルドの老人に別れを告げた。

王都か……どんなところなんだろうな。

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