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【完結】貴方が要らないとおっしゃった馬鹿な女はもう居ませんのでご安心ください  作者: にがりの少なかった豆腐


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23/27

卒業式当日です

 本日2話目になります。

 まだ本日の朝の更新分を読んでいない方はご注意ください。

  

 卒業式当日の夕方。

 この日のために誂えたドレスやタキシードを身にまとい華やかに着飾った卒業生とその婚約者たちが、卒業式が行われるホールに集まってきていた。

 ホールの中には卒業生が座るための円形テーブルと椅子が数多く設置されて、所々豪華な式典花が置かれているが、それでも狭いと感じないほどに広い。


 このホールは基本的に卒業式などの学園内で行われる式典などに使われる場所だ。この後行われる夜会は別のホールを使うことになるが、そちらが学園内にあるホールの中で一番広い場所になっている。


 卒業式が始まるまでもう少し。卒業生の動きも予定通りにことは進んでいるため残り30分もしないうちに卒業式は始まるだろう。


「もう少し君を眺めていたかったが、それは戻って来た後でもできるか。それでは行ってくる」

「はい。頑張って来てくださいませ」

「ああ」


 名残惜しそうな表情でそう言ったエリオットはホールにある舞台袖の待機所に続く通路に向かって行った。


 卒業式に出席する側であるエリオットだが、王族かつ学年主席という立場もあり、卒業式の中で卒業生代表として挨拶をすることになっていた。

 先ほどまで打ち合わせをしており、それが終わってから一度待機していたベラの元に戻って来ていたが、さすがに舞台袖の近くで待機しておかなければならない時間になってしまったため、今ベラの元から離れて行ったわけだ。


 エリオットを見送った後、ベラは待機所に置かれた椅子に腰かけ、やることが無くなったことで近くにいる卒業生やその連れに当たる婚約者を観察していた。


(皆様華やかですね。来年は私もあちら側になるのですね)


 卒業生たちのドレスやタキシードを見てベラは純粋にそう思った。


 エリオットが居なくなってからしばらくした後、卒業式後のダンスに誘われそうになったが、婚約者が居ることを知らせる印を示し、その場を切り抜けた。


 卒業式の後にあるダンスに参加する婚約者のいない者によるダンスの相手を卒業式前に見付けておく行動は、毎年よく見られる光景だ。

 そもそも婚約者の居ない生徒たちの中で必ず男女比が均等というわけではないのだ。ダンスが始まってから相手を探すにも、出遅れると最初の相手を見つけられず、ダンスの時間内に踊ってもらえる相手が減るうえ、最悪1度目のダンスで相手が決まってしまう場合もある。そうなれば候補が減り、より相手を探すのが難しくなる。


 とはいえ、明らかに待機所とわかる場所で待機していたベラに声を掛けたのは、さすがに周りが見えていないと言わざるを得ないが、それだけその卒業生は焦っていたのか、それともそれが目に入らないほどにベラが魅力的に見えたのか、そのどちらかだろう。


 そろそろ卒業式が始まることを司会者がホール内に居る者たちに伝えた。

 基本的に卒業式の間は席から立つことはない。

 学園長の挨拶から始まり、卒業生代表としてエリオットの話が続く。その後に来賓関連の流れとなり、それが終われば卒業式は終了となる。そしてその後に少し休憩を挟んだ後、次の夜会へ移る。

 卒業式は予定だと1時間ほどとなっているが、例年通りの進行速度であればもう少し時間はかかることになるだろう。


 司会の言葉を聞いて、席の近くで思い出話などをして話に花を咲かせていた卒業生たちが席に着き始める。

 卒業生たちが着席していったことで、ホールの中、各所で行われていた会話の数が少なくなり、雑談によるざわめきが小さくなっていく。


 もうすぐ卒業式が始まる、そのタイミングでホールの外で会話をしていたのだろう、複数の卒業生たちが足早にホールの中に入って来たのがベラの視界に映った。


 ベラが待機している場所はちょうどホールの出入り口の1つに近く、ベラの近くを先ほど視界に入った卒業生たちと同じように、ホールの外で会話をしていたのであろう卒業生たちが通り過ぎて行った。


 ホール内に設置されている席は卒業生と婚約者を合わせた数より多く存在しているため、遅れたため座れないという事態は起こらないが、複数組で相席することになるため、仲の良い相手と同じテーブルを囲むには早めに席に着いておく必要はある。

 とはいえ、このタイミングでホールの中に入って来るような卒業生たちは事前に席を確保しているか、座れるなら何処でも良いと考えている者くらいだろう。


 そんな中、ベラは自分の後ろに誰かが立ち止まった音を聞いた。一瞬何事かと思いはしたが、何か理由があって立ち止まっただけだろうと判断し、ベラは背後で立ち止まった者から意識を逸らした。


「どうしたの?」

「いや、まさかな」


 立ち止まった者と一緒に居た者が不思議そうにそう聞いていた。それに対し、その者は歯切れの悪い言葉を返し、さらに言葉をつづけた。


「まさかお前、ベラ・アルコットか?」

「え?」


 ベラは背後からかけられたその言葉に、そしてその声に驚いた。

 すでに養子縁組が済んでおり、今はもうベラはアルコット家の者ではないため、この問いかけに反応するのは間違っているのだが、背後から聞こえて来た聞き覚えのある声にベラは振り返った。


 他の卒業生たちが空いている席を探し、続々と着席していく姿が視界に映る中、その振り返った先にはタキシード姿のゴードンが立っており、その隣にはこの卒業式に出席する3回生のイシュカ・ベレア伯爵令嬢が立っていた。

 

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