想定外の順位です
テスト結果が大講堂に張り出される日。
ベラは緊張した面持ちでその大講堂へ向かっていた。
良い結果であることはすでにわかっているが、同じ試験を受けた者の中で何位に位置しているのかはまだわかっていない。
自分の実力がどの程度なのか、それが今回の試験結果でわかるのだ。
同じクラスで大講堂へ向かっている者はほとんどいない。基本的に大講堂で張り出される順位は上位50人ほどである。そのため、中位クラスの者がその順位表に載ることはまずない。クラス内の順位が公表されるまで、自分の結果を知らない者が大半である。
ただ、載らずとも順位を見に来るものは少なからず存在しているため、まったく居ないということはないが、自分の名前が載っているのかを確認するために来る者はまず居ない。
(ヤタ教諭が見に来るように言った以上、私が50位以内に入っているということなのでしょう。ただ、最上位のクラスへの移籍となるとどのあたりの順位になっているのかが気になります)
クラスの移籍に関する正式な話をするのはこの後になるが、ベラは事前にどのクラスへ移籍するのかの話は聞いていた。
それまではよくて上から2番目のクラスへの移籍になるだろうと考えていたベラだったが、その話を聞いて非常に驚いていた。
大講堂に到着したベラだったが少し来るのが早かったようで、まだ順位表は貼り出されてはおらず、その表を貼り出されるのを待っている生徒たちで大講堂は混雑していた。
順位表は各回生ごとに黒板の少し間を空けて貼り出されるため、それにより余計人が集まっている状況だ。
(今までここへ来たことはありませんでしたが、これほど人が集まる物なんですね。やはり自分の順位は気になる物なのでしょう)
貼り出されたとしても真っ先に確認する必要もないと、ベラはその混雑から少し離れた位置にあった机に備え付けられている椅子に腰かけ、順位表が張り出されるのを待った。
しばらくして大講堂に教師が数人入って来た。手には大きめの紙を抱えており、それが順位表であることは見れば分かった。
順位表が持ってこられたことで待っていた生徒たちによるざわめきが強くなる。
ワクワクした表情で順位表が貼り出されるのを待っている生徒や、祈るような表情で待っている生徒も居た。
前者はおそらく野次馬か今回の試験に自信のある者だろう。そして後者は前回の試験でギリギリ50位以内に入った者や入れなかった者だろう。
そうして教師により順位表が黒板に貼り出されると同時に、一瞬ざわめきが落ち着き静かになる。
しかし、その静寂は一瞬ですぐに先ほどよりも大きなざわめきが上がった。
(さすがにあの中に入るのは難しそうですね)
貼り出された順位表を見ようとその近くに詰め寄る生徒たちで黒板の近くは身動きが取り難い状態になっていた。
結果が気になるものの、あの中に入って順位表が見える場所に辿り着く自信がなかったベラはもう少し様子を見て、集まっている生徒の数が減り始めたところで見に行くことにした。
貼り出されて10分もすれば最初に群がっていた生徒たちも用は済んだと離れて行く者が増えてきた。
ここまで減ればあの場に行っても大丈夫だろうと判断したベラは立ち上がり、順位表が貼り出されている黒板の元へ向かった。
未だに黒板の前には人だかりはできているが、先ほどに比べればその数は少なく、あまりこういう場に来たことが無く慣れていないベラでも、十分順位表が確認できる位置まで行くことが出来た。
ベラは順位表に記載されている名前をしたから順番に確認していった。
(おかしいですね。私の名前がありません)
20位ほどまで自分の名前を見逃さないようじっくり確認していったが、ベラは自分の名前を見つけることが出来なかった。
そして徐々に不安になりながらもさらに上の順位まで確認していくと、ようやくベラは自分の名前であるベラ・アルコットの文字を見つけることが出来た。
しかし、ようやく見つけた自分の名前が想像していなかった位置に掛かれていたため、ベラは自分の名前を見つけてもすぐに反応することが出来なかった。
「1…位?」
ベラの名前は順位表の一番上に堂々と記載されていた。
それを見たベラはすぐに現実を飲み込むことが出来ず、小さく言葉を漏らした後、何度もそれが本当に自分の名前なのか確認をした。
(うそ、ですよね? まさか私が1位なわけがありません)
さすがに今回の試験で手ごたえを感じていたベラではあったが、さすがに1位を取れるとは思っていなかった。そのため、順位表の一番上に自分の名前が表示されていることを信じられないでいた。
見間違いではないかと、何度見ても1位の位置に自分の名前があることは変わらなかった。次第にその困惑が裏返り、ベラはいつものような冷静な思考を取り戻していた。
(驚きではありますが、この順位なら不正を疑われても仕方はないですね。2位の方と僅差とは言え、まさか1位を取れるとは思っていませんでしたし)
想定外の順位ではあったが、順位表の確認も済んだためベラはこのまま教室へ戻ろうと踵を返そうとしたところで、ある人物の名前が聞こえて来た。
「ゴードンこれだ、見てくれ」
「順位表なんて俺たちが見る必要はないだろう。載っているわけがないんだから」
聞こえて来た名前とその後に聞こえてきた呆れ声につられ、ベラはその声が聞こえた方向へ視線を向けた。
そこには友人に連れられる形で順位表を見に来たゴードンの姿があった。




