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【火山転生】目覚めたら火山そのものだった〜マグマの力で最強の聖地を作ったら、麓に国ができていました〜  作者: 尾の長い虎(てぃが)


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7.十三人の侵入者

 朝靄の残る森の中を、十三人の男たちが進んでいた。


 剣を腰に下げた者。斧を担いだ者。弓を背負った者。

 全員が武装している。ただの狩りではない。空気が違った。

 先頭を歩くのはガレス・ヴォルグ。

 盗賊団の団長だ。

 その鋭い視線が、森の奥――火山へ向けられていた。


「団長、やっぱ考えすぎじゃねぇか?」


 後ろから軽い声が飛ぶ。

 若い男だった。


「二人が戻らねぇのは分かるが、山に化け物でもいるってのか?」


「馬鹿、そういう話じゃねぇ」


 別の男が苦笑する。


「迷ったか、足でも滑らせたかもしれねぇだろ」


 隊の空気を和らげようとしているのが分かった。

 誰も緊張を口にしたくないのだ。

 ガレスは短く言った。


「静かすぎる」


 その一言で、後ろが少し静かになる。

 ガレスは地面を見ていた。

 雪解けで柔らかくなった土に微かな足跡が残っている。

 二人のもので間違いない。

 だが、それより気になるものがあった。


(獣の気配がねぇ)


 鳥の声が少なく、小動物の気配も薄い。

 森が妙に静かだった。

 こういう静けさを、ガレスは知っている。

 戦場で何度も経験した。

 嫌な静けさだ。


「前方警戒を厚くしろ」


「左右も見るんだ」


 部下たちが頷く。

 軽口は消えていた。

 ガレスがここまで警戒するなら、何かある。

 皆そう理解していた。

 しばらく進んだところで、前方の男が足を止めた。


「団長!」


 全員の視線が向く。

 男が指差した先。

 そこには湯気が立ち上っていた。


「……なんだありゃ」


 自然にできたとは思えない。

 山の中にぽつんと現れた温泉。

 白い湯気が静かに立ち上っている。


「温泉?」


「こんな場所にか?」


 部下たちがざわつく。

 ガレスは無言で近づいた。

 しゃがみ込み、湯へ手を入れる。

 温かい。いや、温かすぎる。


 それに――。


「地面が熱い」


 低い声が漏れた。

 部下たちも顔を見合わせる。


「熱いって?」


「昨日までこんな場所なかったぞ」


 ガレスの違和感がさらに強くなる。

 二人が消えた。

 突然現れた温泉。

 静まり返った森。

 全てが噛み合っていない。


(何かが起きてる)


 そう確信した。

 その時。


「団長! こっちです!」


 別の男が声を上げる。

 岩場の近くだった。

 全員がそちらへ向かう。

 男が指差す先には、岩壁にできた裂け目があった。

 人が一人通れるほどの隙間。

 その奥から、わずかに熱気が漏れている。

 部下の一人が息を呑んだ。


「洞窟か?」


「いや……これは」


 ガレスの目が細くなる。

 嫌な予感が頂点に達していた。

 この先に何かある。

 二人が消えた理由も。

 温泉の異常も。

 全部、この先に繋がっている。


「全員、武器を抜け」


 低い声が響いた。

 全員が無言で従う。

 剣が抜かれ、斧が握り直され弓に手がかかる。

 空気が変わった。


「入るぞ」


 ガレスが一歩前に出る。

 裂け目の向こうは暗い。

 熱気だけが流れてくる。

 まるで何かが、こちらを見ているようだった。


 ◇ ◇ ◇


《生命反応:十三》


《火山領域へ侵入》


 視界の端に表示が浮かぶ。


(多くなぁぁい!?)


 思わず心の中で叫んだ。


 十三。

 二人じゃない。

 三人でも五人でもない。

 十三人。

 完全に団体様である。


(多い多い多い!!)


 コロも異変を感じたらしい。

 俺のコアの前でぴたりと止まり、炎を小さく揺らしていた。


「ぷ……」


(怖いよな)


 俺も怖い。

 だがパニックになっている場合ではなかった。

 深呼吸。

 できないけど。

 落ち着け。


 前回とは違う。

 俺には地脈がある。

 コロもいる。

 使えるものも増えた。


(……考えろ)


 連中の目的はおそらく二つ。

 二人の捜索。

 そして、この山の調査。

 それなら、まだいい。

 問題は、その先だ。

 もしコアまで辿り着かれたら終わる。

 またあの時みたいに剣を振り下ろされる。

 それだけは絶対に避けなければならない。


(全員止めるしかない)


 覚悟が決まる。

 殺したいわけじゃない。

 できれば帰ってほしい。

 でも。


 ここはもう、俺の山だ。

 守らなければならない。

 コロが俺を見上げる。


「ぷる」


 小さな炎が揺れていた。

 不安。

 でも、それだけじゃない。

 信じているようにも見えた。


(……大丈夫だ)


 自分に言い聞かせるように呟く。


 コロはたぶん弱い。

 戦いには参加させない。


(今度は、守る)


 十三人の侵入者が、ゆっくりと洞窟へ足を踏み入れる。

 盗賊団。

 そして団長ガレス・ヴォルグ。

 主人公カザンにとって初めての本格的な戦いが、今始まろうとしていた。

読んでいただきありがとうございます。


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