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【火山転生】目覚めたら火山そのものだった〜マグマの力で最強の聖地を作ったら、麓に国ができていました〜  作者: 尾の長い虎(てぃが)


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3/12

3.俺の心臓を壊すな

「ぶっ壊そうぜ」


 男が剣を振り上げる。


(待て待て待て待て待て!!)


《最重要器官の危機を確認》


 だから確認じゃない。助けろ。危機なのは見れば分かる。


《防衛行動を推奨》


(推奨じゃなくて何かしろ!)


 お役所仕事か。そんなツッコミを入れている間にも、男の剣は振り下ろされようとしていた。


 本気でまずい。


 そう思った瞬間、俺は反射的に地中へ意識を伸ばしていた。今の俺に使えるのは熱しかない。とにかく止まれ。それだけを願い、地中を流れる灼熱を押し上げる。


 ごうっ!!


 洞窟の壁面から猛烈な熱風が噴き出した。


「うおっ!?」


 剣を振り下ろそうとしていた男が慌てて飛び退く。刃はコアを掠めることなく空を切った。


(っっう!)


 本当に紙一重だった。心臓を包丁で刺されそうになっている人間は、たぶんこんな気分なんだろう。こんな気分を知ることになるとは。できれば知らない日々を過ごしたい。


「なんだ今の!?」

「熱風だ!」


 二人が周囲を警戒する。だが、逃げる気配はない。むしろ目の色が変わった。


「やっぱりダンジョンだ!」

「当たりだな!」


(帰れよ!!アポなし訪問お断り!!)


 普通は帰るだろ。なんでテンション上がってるんだ。俺なら全力で逃げる。だが盗賊たちは違った。危険より欲が勝っている。


「一気にやるぞ!」

「ああ!」


 二人が再びコアへ向かう。


 俺は必死に周囲へ意識を巡らせた。何かないのか。使えるもの。守れるもの。


 その時だった。


 洞窟全体の構造が、感覚として伝わってきた。


 ひび割れた岩盤。熱で脆くなった天井。支えを失えば崩れそうな地層。


(……あれ?)


 分かる。


 なぜか分かる。


 そこに少し熱を流し込めばどうなるか。たぶん火山だからだ。


(便利だな火山。いや感心してる場合じゃない)


 意識を集中する。


 ほんの少し。


 本当に、ほんの少しだけ熱を送り込む。


 ぱきっ。


 小さな音が響いた。


「ん?」


 盗賊の一人が顔を上げる。


 次の瞬間。


 どごぉぉん!!


 洞窟全体を揺らす轟音が響いた。


「なっ――」

「うわぁぁっ!?」


 天井が崩落した。巨大な岩塊が雨のように降り注ぎ、二人は慌てて逃げようとする。


 だが、間に合わなかった。


 轟音。


 悲鳴。


 土煙。


 そして、静寂。


(……え?)


 俺はしばらく何も考えられなかった。この後の状況を理解したくなかったのかもしれない。


 土煙が少しずつ晴れていく。


 崩れた岩の下から、人の気配は感じられない。


《侵入者の生命反応消失》


 表示は短く、淡々としていた。


(死んだ……?)


 返事はない。


 けれど分かってしまった。さっきまで喋っていた二人は、もういない。


 俺がやった。


 殺すつもりなんてなかった。追い払いたかっただけだった。コアを守りたかっただけだった。


 でも、結果は変わらない。


(……そうか)


 あるはずのない胸の奥が重かった。


 人を助けて死んだはずの自分が、今度は人を死なせた。相手が盗賊でも。俺の命を奪おうとしていた相手でも。


 気分の良いものではなかった。


 しばらく、洞窟の中に沈黙が落ちる。


(でも……止めなかったら、死んでたのは俺だ)


 そう言い聞かせる。


 完全に納得できたわけじゃない。それでも、受け入れるしかなかった。俺はもう人間じゃない。火山だ。守るものも、守り方も、きっと前とは違う。


(せっかくの新しい命、そう簡単に死んでたまるか!)


《生存意思を確認》


《火山の権能が成長しました》


 そう思った瞬間。淡々と告げられた言葉と共に、崩落した岩の向こう側、洞窟のさらに奥から微かな鼓動のようなものを感じた。


 どくん。


 それは自分の鼓動とは違う。もっと細く、けれど確かに大地の奥を流れている熱と魔力の気配。


《新たな地脈反応を確認》


 表示が浮かぶ。


 俺はまだ知らない。


 この小さな反応が、やがて山を育て、眷属を生み、村を呼び、信仰の始まりへと繋がっていくことを。


 ただ、その時の俺に分かったのは一つだけだった。


(……次に誰かが来る前に、ちゃんと守れるようにならないとな)


 面倒なことになった。


 でも、しょうがない。


 ここはもう、俺の山なのだから。

改行の密度を変えてみました。

どちらが読みやすいでしょうか?

感想お待ちしております。


読んでいただきありがとうございます。


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